基礎知識:東葛中受検の流れ
今回は、東葛中の受検が全体的にどのような流れで実施されるのかについて、基礎知識を説明したいと思います。
受検生の親は、東葛中だけでなく併願する私立校も含めた全体のスケジュールを事前に把握して整理し、過去問の実施時期、出願時期、併願する私立校の出願パターン策定など、様々なことを検討し準備しておく必要があります。
※以下の検査方法や日程は、変更になる可能性もありますので、詳しい内容は募集要項や学校のホームページを必ずご確認ください。
8月:学校説明会
例年は夏に学校説明会が開催されます。この場で、その年度の手続きや検査の流れが説明されたり、生徒からプレゼンが実施されたりします。多少の質疑応答もあるそうです。但し、2020年はコロナ禍の影響で中止になりましたし、2021年も開催されない可能性はあると思います。「東葛中学校説明会中止について思うこと」でも述べましたが、そもそも会場に定員があるため志望者全員が来ても会場に入りきれませんし、今後はオンライン開催もしくはリアルとオンラインの併用を視野に入れるべきだと私は思います。
11月:出願
入学願書を提出します。提出書類は原則持参です。「公立と私立の出願方法について」で述べましたが、個人的には受検費用を上げてでも、オンライン化を進めた方が学校も受検生の親もお互いに負担が減ると私は思います。特に一次検査は特別な書類の提出もありませんので、千葉県立中学でオンライン出願を導入できない理由は無いように思います。ちなみに、2020年の大学入試では国立大学の6割がオンライン出願だったそうです。
※2022年から一次検査はオンライン出願も可能になりました
12月:一次検査と合格発表
例年は12月上旬の土曜日の午後に一次検査が実施されています。検査結果(正式には二次検査受検候補者)は、2週間弱で学校の掲示とホームページで朝9時に発表になりますが、大半の方はホームページで合否確認するようです。詳しくは「東葛中の一次検査と合格発表」をご参照ください。(一次検査の繰り上げ合格はありません)
参考までに、2020年(2021年度入学)の一次検査は定員80名(男子40名、女子40名)に対して819名(男子436名、女子383名)が受検し、321名(男子160名、女子161名)が一次合格しました。一次検査の通過者数は毎回ほぼ320名で一定です。
1月前半:二次検査の書類提出
一次検査を通過した場合は、二次検査の書類提出が必要です。こちらは持参ではなく郵送になります。「東葛中に関する相談」でも触れましたが、小学校の先生も多忙ですので早めに書類作成の依頼をしましょう。ここで、志望理由書と内申書(報告書)の提出も必要になります。志望理由書と内申書については、「志望理由書の書き方」と「内申点の考察」で詳細を記載しています。
1月下旬:二次検査
いよいよ本番です。二次検査は、午前中が筆記で午後が面接です(※2021年は面接が中止になりました)。2022年の二次検査は1月24日(月曜日)となり、従来の土曜日開催が変わり、初の平日開催になりました。今後の開催日程は曜日ではなく日にちでフィックスされるのかもしれません。面接については、「二次検査面接の内容」で詳細を記載しています。
2月1日:合格発表
※日にちは年度により変わる可能性があります
※2023年は1月31日となったため、今後は1月31日にフィックスされる可能性があります
運命の合格発表です。一次検査同様に学校の掲示とホームページで朝9時に80名(男子40名、女子40名)が発表になります。合格発表当日の様子は「あきらめムードの合格発表から歓喜の東葛中合格」でも記しましたが、一次検査同様にホームページで合否確認する方が大半のようです。
参考までに、2021年は定員80名に対して、299名(男子151名、女子148名)が受検しています。一次検査合格者のうち22名が辞退(二次検査を受けていない)していますが、おそらく東葛中の前に合格発表のあった市川に合格した層が多いのではないかと思います。
2月2日:誓約書提出期限と繰り上げ合格連絡
※日にちは年度により変わる可能性があります
※2023年は2月1日となったため、今後は2月1日にフィックスされる可能性があります
二次検査に合格したら誓約書の提出が必要です。誓約書提出期限は合格発表当日と翌日の2日間のみですが、土日を挟む場合は期限が伸びる可能性もあります。そして、誓約書提出の締め切り(通常は2月2日午後16時)の後から、繰り上げ合格の連絡が開始されます。私の推測では、定員80名(男子40名、女子40名)に対して半数程の辞退者が出るため、少なくとも40名前後の繰り上げ合格があると考えています。
※千葉県は繰り上げ合格者数を公表していません。
[繰り上げ合格の関連記事]
「東葛中の合格者層」
「2021年度東葛中の繰り上げ合格」
得点開示請求
二次検査の合格発表の少し後から、得点開示請求ができます。開示請求の期間中に直接高校に行き、一次検査と二次検査の得点を聞くことと、内申書のコピーを貰うことが可能です(受検生本人が同伴しない場合は提出が必要な書類もあります)。通塾している場合は、塾からも情報共有を依頼されると思います。また、私は実施していませんが、千葉県庁に保管されている解答用紙を閲覧することも可能なのだそうです。解答用紙を閲覧すれば、作図や記述の詳しい採点基準や部分点の有無を確認できるかもしれません。
[得点開示請求の関連記事]
「得点開示請求からみる合格最低点」
「合格最低点の考察2021年版」
東葛中受検の流れは以上です。東葛中の検査は、願書提出から合格発表まで2ヶ月以上かかる長丁場になります。一方で、私立校によっては当日出願OKで当日夜には合格発表までされる学校もあります。公立であるが故の制約や予算などの事情があるのかもしれませんが、旧来のやり方が現在も最適なのかは、常に検討が必要だ思います。
合格最低点の考察 2021年版
過去問を解く際に、各年度の合格最低点いわゆるボーダーラインを知っておくことは重要です。今回は、ネット上に出ている得点開示請求の情報を元に、2021年の検査のボーダーラインを考察してみます。
先ず予備知識として、千葉県立中学(東葛中と県千葉中)合否は、一次検査+二次検査+内申点+面接点によって判定されているというのが"通説"です。何故"通説"なのかと言うと、正式には合否判定の計算方法が具体的な数字で明文化されていないからです。
そこで、今回は最も分かりやすい一次検査と二次検査の合計得点のみで、ボーダーラインを考えてみます。ちなみに、一次検査+二次検査はそれぞれ200点の計400点満点ですが、合計200点前後が毎年のボーダーラインの目安と塾からは聞きました。(千葉県から合格最低点の情報開示はされません)
もちろん、多くの受検者を輩出している塾であれば、1点単位の合否データを持っているかもしれませんが、ネット上では具体的な情報が非常に少ないため、合格者数の少ない塾へ通っていたり塾なしの受検生にとっては非常に貴重な情報です。我が子の受検でもその点に苦慮しました。
ネット上の情報による得点開示請求の結果は、以下のとおりです。
【東葛飾中】
2021年:男子 220点で不合格(合格点の情報なし)、女子 210点で繰り上げ合格
【県千葉中】
2021年:男子 233点で不合格、230点前半で繰り上げ合格、女子は情報なし
情報はこれだけですが、今回は貴重な東葛中の情報もありました。女子のボーダーが男子よりも10点程低く、更に東葛中のボーダーが県千葉中より10点低いと仮定すると、内申点の差も多少あると思いますが、東葛中は男子220点前半、女子210点弱、県千葉中は男子230点前半、女子220点弱と推察されます。
過去のボーダーについては、「得点開示請求からの合格最低点」で記載していますが、2020年の東葛中のボーダーが160~170点、県千葉中のボーダーが170~180点と仮定すると、2021年は2020年よりも約40点もボーダーが上がったことになります。2020年の問題(特に二次検査)が難し過ぎたため、2021年の問題が前年よりも軟化することは予測していましたし、私自身が実際に問題を解いてみた感触でも例年並みの難易度と思っていましたが、予想以上にボーダーが上がったため正直驚きました。
[2021年の一次検査と二次検査の問題に関する記事]
「2021年度一次検査を解いてみた」
「2021年度二次検査を解いてみた」
ここからは私の勝手な推測です。今回ボーダーが上がった理由は、問題の軟化だけでなく、今年の受検生が優秀だったとも考えられますが、記述の採点基準が緩くなった(部分点を多めに与えるようになった)可能性もあるように私は考えています。
その理由は、2020年に受検した我が子の記述(特に適性検査2-2)の得点が自己採点と比べて予想外に低かったからです。我が子を過大評価しているつもりは無いのですが、我が子は典型的な文系で、過去問の得点源は記述中心の適性検査2-2でしたし、模試や特別講習でもそのような結果でした。しかし、得点開示の結果では、適正検査2-2の結果が想像以上に低く、問題傾向が大幅に変わったことを考慮しても正直びっくりする点数でした。前評判でも記述の採点基準が厳しいという情報を得ていましたが、実際に非常に厳しい採点基準だったと感じています。
そのため、2021年の適性検査2-2の難易度が軟化したとはいえ、今回程に合格最低点を引き上げたのは、採点基準そのものを見直した可能性を否定できないように私は思います。
詳しい分析結果は、プロである塾に聞くことが間違いないと思いますが、ここ数年の検査の結果から、私は千葉県の検査に対する考え方に変化を感じています。例えば、2021年の問題文の説明(本文ではない)は以前より分かりやすくなったように感じましたし、減点よりも加点する方針に転換したのかもしれません。もしそうだとすれば、子供の悪い所よりも良い所を見ようとしていると解釈することができますので、「検査」という建前を考えても、良い傾向だと思います。
一方で、個人的な意見やアイデアを問う問題はほぼ姿を消し、ある条件を与えた上で論理的な思考のみを問う問題に変わってきた印象もあります。これが良いか悪いかは論じませんが、難関私立向けの勉強を積み重ねた受験生にとっては、益々対応し易い問題になってきたようにも感じます。
これ以降は、これから受検する子供やご家族のためにも、私の勝手な要望を2つ書かせていただきます。
1つ目は、適正検査の回数を千葉県立高校と同様に1回に集約することです。2ヶ月間の長期に渡って12歳程の受検生とその家族にストレスを与え続ける理由が理解できませんし、このために東葛中(県千葉中も)の生徒の授業時間は減り、逆に学校の先生の負荷は増えます。これは、正直誰も得していない仕組みだと思います。
2つ目は、記述の採点基準(部分点の考え方等)や内申点(報告書)の計算方法も公開することです。参考に、千葉県立高校の内申点の計算方法は公開されています。面接点の公開は難しいかもしれませんが、可能な限り情報公開しても誰かの不利益になることは無いと思います。
最後に、いつも話題が逸れてしまいますが、この記事を書いていて思い出したことがあります。セダー・ヒダルゴ氏というMIT(マサチューセッツ工科大学)の准教授だった物理学者の講演で、知識の価値に関する話を聞く機会がありました。その方曰く「知識には競争が無く無限に共有できるから価値がある」のだそうです。
そこで、知識=情報と解釈すれば、情報は財産や物と違い、無限にしかも時間をかけずに、いつでもどこでも誰にでも共有が可能で消耗もしません。どんどん情報共有することで、収入や地域等の格差を無くすことも可能ですし、考えることと行動することに時間を割けます。ちなみに、「知る→考える→行動する」のプロセスは、2021年の適正検査2-2でも取り上げられたテーマです。(適正検査の参考記事は「2021年度二次検査を解いてみた」を参照ください)
企業においても、特定の情報を抱え込むことで自身の価値を上げようとする人を見たことがありますが、その行為に価値は無いと私は思います。(企業秘密やインサイダー情報は別です)
加えて、情報は鮮度(スピード)も大切です。正しい情報の活用方法は、鮮度の高い情報を広く共有して、多様なメンバーのアイデアを加えたりフィードバックを得ることで、情報の価値を短時間に高めることです。そうすることで、一人では考えつかなかったようなイノベーションを起こし、非連続な(現在の延長線上ではない)成長や進化が可能になるのです。
つまり、私が何が言いたいかというと、人が成長し進化するために、情報共有や情報公開は非常に大切な第一歩だということです。そして、人の育成を目的とする教育機関としても、情報共有や情報公開は重要な使命の筈だと私は思いますので、情報が透明化されていくことを期待しています。
東葛中入学で購入したもの
我が子が東葛中に入学するにあたり、購入して一番良かったものは、コロナ禍の休校期間中に購入したパソコン(PC)です。東葛中に入学する際は、子供が自由に使えるPCが1台あると便利だと思います。
東葛中としては、公立校であるためか、声高に「家庭でPCを用意してください」とは言いにくい事情があるようですが、先々の勉強のことを考えても、PCは必須のツールだと思います。(高スペックである必要はありません)
我が家の場合は、元々1台PCがあったのですが、東葛中入学を機に、我が子が自由に使える2台目のPCを購入しました。
PCの具体的な購入理由は、①学校の課題への対応、②オンライン授業への備え、の2つです。
学校の課題への対応(資料の作成や提出)については、家庭にもPCが無いと不便だと思います。可能であれば、OSはWindowsで、ソフトにPowerPointが入っていると安心です。その理由は、学校で使用するPCが Windowsですし、情報共有用のプラットフォームにMicrosoftのTeamsが採用されているからです。また、実際に家で課題の資料をパワポで作りTeamsで共有する機会もよくあります。
Teamsはクラウドですので、 iPadのようなタブレット端末やスマホ、他のOSでも、一部制約はあるものの利用は可能です。参考までに、企業で一番有名な情報共有プラットフォームはSlackだと思いますが、学校への導入に関しては、MicrosoftのTeamsとGoogleのGoogle Workspace(旧G Suite)がしのぎを削っているようです。
オンライン授業については、東葛中で正式には実施されていませんが、怪我をして一時的に通学できなかった生徒が家庭からオンラインで授業に参加した実績があると聞いていますので、オンライン授業も可能な状態にはなっています。
以前「東葛中学校説明会中止について思うこと」でも触れましたが、文科省の方針で2020年度中に全ての小中学校において1人1台PCとなる予定です。(実際どこまで進んでいるのかは不明です)
実は、東葛中でも既に1人1台PCが実現していますが、新しいPCは2・3年生に優先されたため、1年生は以前からあった旧スペックPC(レガシーPCと呼ばれているらしい)のままなのだそうです。
この文科省の方針は、「GIGAスクール構想」というもので、PC配布だけでなく情報共有プラットフォームの導入や学校内の高速通信環境整備もセットの施策なのですが、東葛中のWi-Fi環境はまだ良くないそうで、クラス全員がPCを接続すると端末が動かなくなってしまう、という残念な状態だと聞いています。この点は、早期の改善を期待したいと思います。
ここで、学校のデジタル化に関して物申させて頂くと、デジタル化推進の鍵はペーパーレス化です。如何に紙を減らせるかを追求することが、最も簡単で分かりやすいデジタル化の手法だと私は思います。この点で、今の学校に一番必要なことは教科書のデジタル化なのですが、これもいろいろ制約があるようで、2024年度までの導入を目指しているようです。個人的には、そこまで時間がかかる理由が理解できませんし、残念ながら我が子の東葛中在学中には実現しなさそうです。
そもそも、東葛中では教科書をあまり使っていない、という話も聞きますが、それでも毎日重そうなリュックを背負って我が子は通学しています。この点では、PCだけでなく通学用のリュックも入学前に準備が必要なアイテムだと思います。
最後に、紙を使うことのメリットも否定しませんが、紙文化やハンコ文化が企業のテレワークやデジタル化の阻害要因であるとも言われています。SDGsや低炭素社会の実現に向けても、国を挙げて取り組むべき課題だと思います。
一般の公立中学の学習環境
今回は、東葛中の話からは少し離れて、地元の学区の一般の公立中学について、どのような学習環境にあるのか、これまでに知った情報を踏まえて、私なりの考えを述べたいと思います。
一般の公立中学の面倒見
小学生を持つ親が中学受験を考え始める理由の一つに、一般の公立中学の教育体制や環境に不安があることを挙げる方もいると思います。しかし、そこには誤解もあるようです。先に結論から言うと、今時の一般の公立中学はとても”面倒見が良い”と思います。特に、自習用のテキストは充実しています。
※我が子の学区の一般の公立中学の例ですので、一例とお考えください。
例えば、自習用のテキストに「ワーク」というものが存在します。これは教科書業者が自習用に提供している補助教材で、市販されていません(「教科書ワーク」という似た教材は市販されています)。ワークでの自習が宿題となる場合もありますが、教科によってはワークに1回書き込んで終わりではなく、2回書き込めるように別のノートも用意されていたり、作りはとても親切ですし、内容もまとまっていてとても良くできた教材だと思います。もし、これらのツールをしっかり"使い倒す"ことができれば、授業で教わる内容に関してはほぼ完璧に学習できますので、参考書も不要だと思います。(東葛中にワークはありません)
授業についても、ノート等を確認する限り、今時は板書をひたすら書き写すような作業も少なく、丁寧に教えている印象です。また、授業効率化の狙いもあると思いますが、プリントの配布が中心のようです。(東葛中でもプリントはよく使われています)
他にも、定期テスト前は、1ヶ月程前から出題範囲が公表されて、テスト当日までの勉強スケジュールの管理表も提供されており、とても親切だと感じました。しかも、担任の先生が管理表の進捗状況を毎日チェックまでしてくれます。(東葛中にこのような管理表は存在しません)
通塾が必要になる理由
我が子の学区の公立中学では、既に中学1年時で通塾していないのは少数派だと聞いています。(学校や地域によりバラツキはあると思います)
学校は面倒見が良く、授業もツールも充実しているのに、何故通塾が必要なのでしょうか?もちろん、難関私立高校を目指すのであれば、学校の勉強内容だけでは太刀打ちできないと思いますので、通塾等が必要になると思います。しかし、大半の中学生の第一志望は地元の公立高校(県立高校もしくは市立高校)です。実際に千葉県立高校の過去問を解いてみましたが、千葉県の県立高校入試では東葛中のような難問は出ませんし、問題量もそこまで多くありません。例えば、東葛中の検査のボーダーラインは一次と二次の合計で200/400点程(50%の得点率)と言われていますが、東葛飾高校の入試ボーダーラインは内申点を除いて420/500点程(84%の得点率)のようです。入試ではなく、特に中学校の定期試験への対策であれば、本来は学校の授業と補助教材の学習で充分と考えても良い筈です。
※念のため、通塾するメリットはいろいろありますので、通塾自体は悪い選択ではないと思います。
通塾が必要となる理由を解明するには、先に小学校と中学校で必要な学習方法の違いを理解する必要があります。親であれば感覚的に分かっていると思いますが、学校の授業と宿題だけでそこそこテストの点数が取れるのが小学校、学校での授業と宿題に加えて、家庭での学習をしっかりやらないとテストの点数が取れないのが中学校です。
中学生になると、学ぶ範囲の広さや深さが小学生と大きく変わります。例えば、算数は数学に呼び方が変わるだけでなく内容も深まりますし、国語には古文などが加わり漢字も難易度や量が増します。英語も本格的な内容になりますので、これらの教科を授業と宿題だけで全て理解したり知識を定着させるのは、至難の業です。
そこで必要になるのは、日々の学習内容の理解度を確認したり理解を深めるための振り返りや、知識を定着させるための日々の復習です。しかし、小学生の時に振り返りや復習の習慣を身に付ける機会がなかった子供が、中学生になって急にそれらの学習を自力でできるようになる筈もありません。
加えて、中学生になると授業時間も増え、部活に入れば帰宅時間も更に遅くなるため、就寝時間を遅くしたり帰宅後の過ごし方などの生活習慣を見直さない限り、家庭で勉強する時間を確保できません。(地域差はあると思いますが、千葉県はとても部活が好きな地域のようで、小学校から部活が盛んな印象です)
そのため、小学校までの学習スタイルとの切り替えが中学校で上手くいかず、中学生から通塾の必要性を感じる家庭が急増するのだと思います。もちろん、それを見込んで中学生からの通塾を予め決めている家庭も少なくないと思います。
勉強しても学校の成績が伸びない理由
ちゃんと勉強している筈なのになかなか中学校の成績が伸びない、という話を実際に耳にしたことがあります。次は、この理由について考えてみます。
中学生になってからは、小学生までの勉強方法を見直したり、通塾等を開始する子供が増えますので、小学生の頃よりはそこそこ勉強する層(Bグループとします)のボリュームが増えます。そして、Bグループだけ(沢山勉強する層のAグループとあまり勉強しない層のCグループを除いた層)を抜き出して考えると、Bグループの得点分布の山のピークは、全体の平均点よりも少し高い位置になる現象が起きます。(AグループとCグループの山は、Bグループの前後にできるため、ABC三つの山ができます)
参考に、一般的に公立小学校のテスト(カラーの紙のテスト)の平均点は85点位、一般の公立中学校の定期テストの平均点は60〜70点を目安に作成されているそうです。(実際には中学の学年が上がるにつれて上下の得点差が激しくなり、平均点は下がる傾向だと思います)
そこで、仮に全体の平均点を65点とした場合、Bグループだけを抜き出した平均点が70点位になると仮定すると、Bグループのボリュームゾーンは65〜75点位になると考えられます。すると、仮に平均点の65点付近の子供が10点上乗せしてBグループのボリュームゾーンを超えて75点以上に抜けるには、小学生時代とは比較にならない努力が必要になります。その結果、そこそこ勉強している筈なのに平均点周辺のメンバーからなかなか抜け出せない、という現象が起こるのだと思います。(図で説明できればわかりやすいのですが、テクニックがありませんので御勘弁ください)
このような背景を考えると「小学生のうちは学校の勉強だけやっていれば良い」と考えて、中学生になっても小学校からの学習スタイルを変えない、もしくは少し変えた程度でいると、小学生までの成績(テストの点数)は悪くなかったのに中学生になって成績が悪化する、もしくは小学生の頃よりは勉強している筈なのに成績が伸びない、という現象が起こるため、塾の力を借りて本人の意識や学習スタイルを変える必要性に迫られるのだと思います。
これは、俗に”中1ギャップ”と呼ばれる現象の一つだと思います。
中1ギャップを防ぐ方法
勉強面の”中1ギャップ”を防ぐためには、小学生と中学生のギャップを小さくすることが必要で、その方法は2つあると私は考えています。
1つ目は、小学生のうちから学校の宿題以外にも地道に勉強する機会を設けて、勉強習慣もしくは勉強体力を培っておき、勉強量の中1ギャップを減らすことです。(勉強体力については、「中学受験で得たもの」で触れています)
そのためには、小学生のうちから市販のテキストなどで自習する時間を確保したり、塾や学習系の習い事で学んだことを、自宅でしっかり復習することを身に付けておく必要があると思います。つまり、学校や塾でのインプットだけでなく、小学生のうちから自宅でアウトプットする時間も充分に確保する習慣を身に付けておくことで、中学生にソフトランディングできるのです。
ちなみに、脳科学的にはインプットとアウトプットの比率は、3:7が理想だと言う説があります。しかし、実生活を考えるとアウトプット7の比率は結構高いハードルだと思います。問題を解いたり書くことだけでアウトプット7とするのも大変ですので、例えば、授業や塾で学んだポイントを口頭や図で説明することをアウトプットと解釈し、親から「今日学校で学んだことはどんな内容だった?」と問いかけて、子供に言葉や図でアウトプット(説明)させることが効果的かもしれません。これによって、子供の学習内容を把握でき、親子のコミュニケーションと子供のアウトプットもできるため、一石三鳥だと思います。また、塾に通うこともインプットが中心ですので、塾が終わってからのアウトプットがとても大切だと思います。
テストに関しては、定期テストだけでなく、学校の小テストや塾のテストの結果を自身でしっかり振り返り、間違った問題の要因(ミス?、理解不足?、覚えていない?)を解明し、その対策をした上で、必ず2回目は解けるようにして、復習の"質"を高めることが必要だと思います。(テストの復習方法については「テスト結果の活用法」でも触れています)
2つ目は、そもそも自分にとって何のために勉強が必要なのか?をしっかり理解させて、ぼんやりでも良いので何か目標を持つことで、意識面の”中1ギャップ”を減らすことだと思います。特に思春期になると、やらされ感が一番の障害です。私も中学生の頃は、親に勉強のことを言われて反発した覚えがあります。
中学生にもなれば、自分が将来ありたい姿をイメージして、そのために必要な手段が勉強なのだ、という結論にならない限り、モチベーションを保つことは難しいと思います。もし、自分の将来像がイメージできないのであれば、将来の選択肢を狭めず、可能性を広げるためにも、尚更勉強しておくことが得策であることを理解する必要があると思います。(親が言っても駄目な場合は、子供が信頼する第三者の大人の力を借りても良いと思います)
例えば、職業の選択肢に関しては、大学を卒業しなければ取れない資格や取りにくい資格が沢山ありますし、求人条件に大卒以上を求める企業や職種も沢山あります。もちろん公務員も然りです。ベンチャーで事業を立ち上げるにしても、大学時代の友人と起業したり、有名企業に勤めた後に起業している例は少なくありません。
このように、未来志向で今やるべきことを考える手法は”バックキャスティング”と呼ばれています。企業において、中長期の事業方針を考えたり、革新的な新商品やサービスの開発をするために、10年後などのあるべき姿を想像し、現在とのギャップから逆算して、これからどうすべきかを考える方法です。
小学生や中学生も案外大人です。但し、知識や経験が不足していますので、とても視野が狭いことも事実です。もし、”バックキャスティング”の考え方を伝えて理解を得ることができれば、今もしくはこれから何をすべきか?何をした方が得策なのか?自分が求めることを学ぶためにはどのような中学や高校に進学すればその確率が高まるのか?の答えは、本人なりに導き出せるように思います。そして、子供が自分でそのような結論を導き出せるような情報を提供したりサポートをするのが親の役割なのだと私は思います。
最後に
以上、偉そうに書いてしまいましたが、私も完璧に親の役割を果たせているとは思っていません。しかし、そうありたいと心掛けてはいます。また、正直なところ、我が子がどの程度これらのことを理解できているか確認できていませんが、東葛中を目指し始めた頃から、将来の選択肢や可能性を広げることにはつながっているように感じていますし、中1ギャップも発生していないように思われます。但し、放っておくとのんびりしがちな部分もありますので、我が家も本人の自主性に任せきれていないのが実情ですし、それが中学生なのかとも思います。まだまだ親の苦労は続きそうです。
2021年度東葛中の繰り上げ合格
東葛中6期生として合格された皆さん、本当におめでとうございます。
2021年度の東葛中の合否結果が出て、ホームページでも繰り上げ合格の連絡が終了したことが告知されました。
今回は、塾発表の合格者数推移から、どの程度繰り上げ合格になっているのかを調べてみます。
[2020年度の繰り上げ合格に関する参考記事]
「東葛中の合格者層」
そこで、入学確約書提出期限の2月2日午後16時までの塾別合格者数と、繰り上げ合格締め切り後の合格者数を比較してみます。ちなみに、繰り上げ合格の連絡は2月2日の午後16時以降に実施されています。(参考データとして県千葉中も調査)
【2月2日 午後16時まで】
※早稲田アカデミーのみ21時発表のため繰り上げ合格も一部含まれていると思います
栄光ゼミナール 東葛飾2名 千葉1名
※市進学院等は未発表
【2月4日 午後21時まで】※2月15日に更新
栄光ゼミナール 東葛飾2名 千葉12名
誉田進学塾 東葛飾0名 千葉13名
※以下は2月6日以降の発表
市進学院 東葛飾7072名 千葉42名
京葉学院 東葛飾3名 千葉20名
上記の結果より、2月2日で発表のあったSAPIX、早稲田アカデミー、日能研、栄光ゼミナールの4塾について、2月4日11日の合格者数を比較してみます。
東葛中16名→3133名(1.92.1倍 ※昨年は1.6倍)、県千葉中29名→4755名(1.61.9倍 ※昨年は2.0倍)となっています。2月2日に集計しきれなかった分もあるとは思いますが、この結果からも各校の定員数80名に対して1.5倍程の合格者、つまり120名以上の合格者がいる可能性は否定できないと思います。(ダブルスクールの重複カウントもあると思います)
※千葉県立中学の最終的な合格者数は公式発表されません。
更に、四谷大塚の2020年入試結果の80偏差値で、東葛中(男子62、女子62)と県千葉中(男子64、女子65)いづれかよりも偏差値が高く、2月1日入試で2月2日に合格発表のあった東京の私立校は、男子校が武蔵(64)、駒場東邦(64)、早稲田(64)、海城(63)、女子高が桜蔭(70)、女子学院(70)、雙葉(68)、共学校が渋谷渋谷(男子66、女子69)の計8校のみで、いづれも最難関の私立校です(午後入試や特殊科目入試を除く)。また、渋谷幕張(男子70、女子72)の合格発表日が東葛中や県千葉中の二次検査日と重なっています。(御三家中では開成と麻布のみ2月3日の合格発表です)
これらのことから、東葛中や県千葉中の合格を辞退しているのは、上記の最難関私立校に合格したメンバーであると考えるのが自然だと思いますので、今年も最難関私立の併願組(もちろん東葛中や県千葉中が第一志望ではない)の強さが目立つ結果になったと感じます。
個人的には、東葛中がこれら最難関校の併願校に選ばれるだけで光栄なことだと考えてしまいますが、東葛中を受検をする上では、このような桁違いの学校への合格を目指す層と勝負しなければいけない厳しさを、再認識してしまいます。
参考までに、来年度の東葛中の検査日程も既に発表されています。一次検査が2021年12月11日(土)、二次検査が2022年1月24日(月)、合格発表が2022年2月1日(火)で、二次検査が初の平日開催となる予定です。
もし、これから東葛中や県千葉中の受検を検討される場合は、これらの状況もふまえて、塾やコースの選択をすることをお勧めいたします。
2021年度東葛中合格発表
本日2月1日は、東葛中合格発表の日でした。実は、私がこのブログを始めて丁度一年にあたります。(詳しくは「あきらめムードの合格発表から歓喜の東葛中合格」をご参照ください)
一年前の合格発表の日の自分を思い返すと、合格発表前の我が子に対して「今日は厳しいと思うけど、繰り上げがあるからな。」などと、何の気休めにもならない言葉を我が子にかけて、重い足取りで合格発表のある東葛中に向かっていた自分を思い出します。
そして、我が子の合格を確認した後は、入学確約書を提出し、積み立てや給食費用の郵便口座を作り、教育委員会に学区の公立中学への進学辞退書類を提出しに行くなど、忙しい一日を過ごしましたのが、昨日のように思えます。
先ず、本日東葛中に合格された方は、本当におめでとうございます。もし、東葛中へ入学することを決めた方は、東葛中6期生となります。我が子の初の後輩となりますし、これで東葛高校から東葛中までの全学年に東葛中のDNAを持つ生徒が揃うことになり、東葛生全員にとって東葛中がある状態が当たり前になります。最近はコロナ禍の対策により、中学の先輩や高校生との交流機会が減っていることが残念ですが、どうぞよろしくお願いします。
そして、本日残念な結果だった方は、一年前に私が我が子に掛けた気休めの言葉と同じになってしまいますが、繰り上げ合格の電話が鳴るまで、もう少し待ってみてください。もし、定員80名の半数にあたる約40名が繰り上げ合格であれば、東葛中に繰り上げ合格し入学することは普通のことです。良い結果が来ることをお祈りいたします。(繰り上げ合格者数の推察については「東葛中の合格者層」をご参照ください)
最後に、どのような結果になっても、仮に次の通過点を大学進学に設定すると、これからの6年間をどのように過ごすかが本当の勝負だと思います。「中学受験で得たもの」でも述べましたが、これからの未来を築くのは子供自身ですし、まだまだ親のサポートも必要ですので、お互いに頑張っていきましょう。
2021年度二次検査を解いてみた
1月24日は、2021年度(令和3年度)の東葛中二次検査でした。そして、父思い?の我が子が、学校に置いてあった二次検査の問題用紙を持ち帰って来ました。「2021年度一次検査を解いてみた」に引き続き、早速2021年度のニ次検査(適性検査2-1と2-2)を解いてみましたので、問題の内容と感想を述べたいと思います。
※感想はあくまで私見ですので、より正確な情報が必要な場合は塾などからの入手をお勧めします。
【適性検査2-1】理系問題
内容は、大問1の球の運動と大問2のタイル割り付けでした。私は持ち時間の45分で全く時間が足りず、一次検査に引き続き惨敗でした。
大問1の球の運動は、いわゆるエネルギー保存の法則です。「多忙だった二次検査対策」で記載しましたが、昨年私が山掛けして我が子に伝授していた等速度運動や自由落下運動と関連のある問題が1年遅れで出題されました。
これは、過去問の傾向からそろそろ出題されそうな分野でしたので、塾でも対策されていたかもしれません。(参考に、昨年山掛けしたもう一つの分野は「滑車とテコの原理」です)
エネルギー保存の法則を知っていれば、大問1の前半はあまり問題を読まずとも解きやすかったように思います。例えば、ジェットコースターの原理や「ニュートンのゆりかご」という、振り子を玉突きさせてカチカチ音を鳴らすおもちゃを知っていれば理解し易かったかもしれません。
但し、大問1の後半はやや曲者で、床に落下した球の弾む高さが徐々に弱まることを問う数列問題でした。その中でも、球が弾む高さの合計値がある数に向かって収束するという、高校数学の微積分の概念を思わせる出題があり、素直に問題の流れに誘導されれば解けるように思いますが、受検生は戸惑ったかもしれません。
大問2は、タイルの割り付けですが、タイルで割り付けできる枚数の算出方法を、最大公約数を面積に置き換えることで説明していました。但し、途中割り切れない3桁の素数が出くるのは少し意地悪だと思いましたし、テトリスのような組み合わせや数列的要素も含まれているため、こちらも特に後半は苦戦したように思います。
適性検査2-1の総合的な難易度は、昨年よりはやや軟化した印象ですが、例年並みだったように思います。
【適性検査2-2】国語+少し道徳
時間は計らず、放送問題と最後の記述を割愛して解きました。設問形式は昨年2020年に変更されたパターンを踏襲していました。
放送問題の内容が推測になりますが、主な内容は以下になります。
最初の放送問題は、東大教授で経済学者の玄田有史氏の「知る→考える」のプロセスを説明する話でした。これは、「知る→考える→行動する」という自己実現プロセスの一部です。
ニつ目の論説文は、発達心理学の浜田寿美男氏(苅谷剛彦氏編著『いまこの国で大人になるということ』)の「発達の大原則」についての説明で、私の解釈では「いまある力を最大限使って出した結果に加えて、新しい力を伸ばすことで人は発達する」という趣旨と理解しました。
三つ目の論説文は、演出家の栗山民也氏の『演出家の仕事』から、俳優の研修生を育てる事例の紹介で、「人材育成」がテーマでした。
また、途中に問題文の内容を用いて「クラブ活動で後輩の指導に悩む友人にアドバイスする方法」を問う設問があるなど、最近出題されなくなった道徳問題を無理矢理ねじ込んできた印象も持ちました。
最後の作文は、これら3つの文章を踏まえて、「自分の可能性を広げるために」をテーマに、学級活動用の発表原稿を書くという問題でしたが、全体を通した隠しテーマはSDGsであり、持続可能な成長がキーワードだったように思います。
但し、回答に個人的な意見は求めていないため、文章の趣旨や設問の指示を理解した上で文中のキーワードを押さえて、要約や置き換え、抽象化や具体化をするという、入試論文の基本テクニックが必要だと思いますし、そこから外れると得点にならないのだと思います。(適性検査2-2の採点基準はかなり厳しいと思います)
適性検査2-2の総合的な難易度は、文章の内容や設問の設定方法も含めて、昨年よりはやや軟化したと思います。
少し話題は逸れますが、今回のテーマは、トヨタ生産方式の本質である改善と人財育成の仕組みに通じるものがあると思います。つまり、改善後の結果が次の改善前と考えて改善を継続する、その改善の積み重ねが変革を起こし、その改善プロセスが人財育成にもつながるという普遍的な考え方です。(トヨタ生産方式の生みの親の大野耐一氏や最後の直弟子の林南八氏の受け売りです)
最後に、適性検査2-2に関しては、「これまで勉強してきた努力は無駄にならないので、とにかく今は全力を尽くそう。そして、どのような結果になっても、これからの可能性はあなた次第で広がります。」という、受検生に向けてのメッセージであったようにも感じました。
中学受験で得たもの
結果がどうであれ、真剣に中学受験に取り組んだ経験は財産になると私は考えていますし、その実感もしています。
今回は、我が子が東葛中に入学して9ヶ月余りが経過し、現時点までに実感したことと気付いたことを踏まえて、我が子が中学受験で得たものは何だったのか?を考えてみます。
先ず結論から述べると、我が子が中学受験で得たものは、勉強体力です。勉強もスポーツと一緒で、才能だけで結果を出し続けるには限界があり、日々の継続的な鍛錬により培われる部分が多分にあると思いますし、継続できる体力が必要です。
そして、中学受験で得た勉強体力は、東葛中入学後も実際に役立っていると感じています。
例えば、東葛中では、MYP(Make You Powerful )ノートと称して、2ページ以上の英語自習を365日継続することが求められています。それ程時間を要する内容ではありませんが、地味な学習の継続にも関わらず、我が子は特に苦ではないようです。(たまにサボることもあるのはご愛嬌ですが)
たいしたことでは無いと感じる方もいると思いますが、仮に勉強体力が無い状態で中学生になり、思春期や反抗期を迎えてしまうと、簡単には受け入れられない作業になると思います。
他にも、我が子が昨年東葛中に合格した後は、暫くのんびりした生活を送り、その後のコロナ禍による4ヶ月近い休校期間ですっかり勉強のペースを崩してしまいましたが(休校中の様子は「休校中の先生からのメッセージ」と「東葛中の休校中の過ごし方」に記載)、幸いにも勉強体力は失われなかったようで、今では勉強のペースも取り戻し、必要であれば長時間の勉強も可能ですし、塾の力を借りずに最低限の自習を継続できているようです。(念のため、中学で通塾することを否定したい訳ではありませんが、通塾不要であれば家計には優しいです)
入学後も勉強体力の維持が必要ですので、このような地道な自習を6年間持続できるかどうかが今後の成長の鍵になると思いますが、苦しいだけでは長続きしません。希望していたアクティブラーニングなどの学校の活動を通じて、できるだけ楽しみながら学びを持続させられることを願っています。
但し、中学入学までに勉強体力を身に付けるには、一つの前提条件があると思います。それは、小学生の間に、真剣に勉強に取り組む体験や努力を積み重ねられていることです。
我が子の場合は、小学校4年生の春から四谷大塚の通信教育を開始し、その後徐々に通塾に切り替えましたが、試行錯誤を繰り返しながらほぼ3年間受験勉強に打ち込みました。親バカですが、本当によく頑張ったと思います。
[通信教育と塾についての参考記事]
「塾なしスタートの中学受験」
「塾なしは自分と孤独との闘い」
「塾選びの前に決めるべきこと」
「塾と通信のダブルスクール」
「塾のメリットとデメリット」
参考に、東葛中に入学した他の子供がどのような勉強をしてきたのかを聞いてみると、大手塾で難関私立向けにゴリゴリ勉強した子供、通信教育で地道に自習した子供、進学塾ではない塾でどんどん先の学年の内容を進めていた子供と様々でした。沢山のサンプルはありませんが、共通点は、どの子供もそれぞれの方法で勉強体力を地道に身に付けてきたのだと感じます。
一方で、企業活動に目を向けると、何年も前から働き方改革が叫ばれています。働き方改革は、残業削減などのネガティブなイメージもあり、働かせ方改革と揶揄されることもありますが、それは誤解です。
働き方改革とは、これまでの人口増加に伴う需要増を前提とした大量生産や薄利多売のビジネスモデル、長時間労働や年功序列などの旧来の構造を見直し、少子高齢化やグローバル化などが進む環境の変化に左右されずに、多様な人財がこれまでとは違う方法で効率的に働いて、多くの利益を生み出せるビジネスモデルに転換することです。そして、それらの効率化から生まれた余剰時間を自己の成長や充実時間に回すことで、企業と人の良い関係を築いてお互いが持続的に成長することを目的としています。
そのためには、加速化する環境変化や前提条件の変化に適用できるように、効率化と改善を継続することが必要ですし、常に自らを進化させて個の力を高めることが求められます。もちろん個の力だけでなく、チームで連携して変革スピードを上げることも重要です。60歳まで我武者羅に働いて余生をのんびり過ごす時代は終わりを告げて、人生100年時代を最期まで充実させるためにも、学びは学生時代に終わるのではなく、一生続くのです。
その一生続く学びに耐えられる勉強体力を付ける絶好の機会の一つが、中学受験ではないかと私は考えています。
もちろん、中学受験と引き換えに失ったものがあることも否定しません。我が子であれば、好きだった習い事を中断せざるを得ませんでした。しかし、東葛中に入ってからは習い事も再開しましたし、新しい活動も始めています。
最後に、中学受験の結果は大切だと思いますが、もっと大切なことは、中学受験で身に付けた勉強体力を持続させることだと思います。結果は、これまでの取り組みの結果でしかありませんので、この先の未来を築くのは、これからの自分であり、地道な努力の積み重ねです。
そして、恩着せがましく言うつもりはありませんが、小学生の早い段階でその経験を得られる環境にいられることは、とても恵まれているということも、いつの日か気付いてくれることを願っています。
2021年度一次検査を解いてみた
12月5日は、2021年度(令和3年度)の東葛中一次検査でした。生憎の雨模様で気温も低かったため、昨年も雨で雪が降りそうな寒さだったことを思い出します(一次検査当日の様子については「東葛中の一次検査と合格発表」を参照)。我が子の受験が終わったにもかかわらず、不思議と東葛中受検のことが気になってしまうのは私だけでしょうか。
一次検査で実際にどのような問題が出たのかも気になっていたのですが、なんと我が子が学校から問題用紙を持ち帰って来ました。学校には余った問題用紙が置いてあり、持ち帰り自由だったそうです。
そこで、早速私も2021年度の一次検査(適性検査1-1と1-2)を解いてみましたので、問題の内容と感想を述べたいと思います。
※感想はあくまで私見ですので、より正確な情報が必要な場合は塾などからの入手をお勧めします。
【適性検査1-1】文系問題(ほぼ社会)
主な内容は、地域の農林水産業の6次産業化と商店街や道の駅を起点とした地域活性化の取り組みをテーマにした問題でした。国語の問題は皆無で、社会に少しだけ計算を加えた問題構成でした。
6次産業とは、1次産業が消費者に直販する業態のことで、2次産業の加工と3次産業の販売まで手掛けるため、1+2+3=6で6次産業なのだそうです。6次産業というワードは知りませんでしたので、勉強になりました。
私は時間内に全問解き終えることはできませんでしたが、大人にとっては比較的理解しやすいテーマで、察しが良ければ本文を熟読しなくても資料の読み取りだけで先へ進められるため、難易度は例年よりもやや軟化した印象です。文系の受検生は、1-1で得点を稼がないと厳しいと感じました。
【適性検査1-2】理系問題
主な内容は、顕微鏡の倍率と見え方、浸透圧に関連した塩分濃度の組み合わせと淡水魚・海水魚の特徴、振動と音に関連した波動及びドップラー効果など、相変わらず凝った問題が多い印象です。
浸透圧は、ナメクジに塩をかけると縮むようなイタズラをした経験や料理の「さしすせそ」の理由を知っていれば理解し易かったかもしれません。浸透圧は以前「理系問題の気になる傾向」でも少し触れたテーマでした。
波動に関しては、高校生でも理解が難しい概念だと思いますので、我が子なら太刀打ちできなかったかもしれません。今回は、ピアノの弦の音階が変化する理由や、ドップラー効果による踏切の音程の変化など、身近な物理現象をテーマに取り上げられましたが、このような出題傾向は今後も引き継がれるように思います。
私は、途中から投げ出したくなる気持ちを抑えながら45分間を耐えて解きました。久々に問題に取り組んだことを言い訳にしたいところですが、時間も全然足らず惨敗でした。
とにかく問題の前提条件を理解するのに時間がかかる問題が多く、先ずはしっかり落ち着いて考えて、設問の意味を理解することが必要だと思いました。見慣れない設定やグラフに戸惑った受検生も少なくなかったと思います。
全問を解く必要はありませんので、解ける問題の見極めと理解した後のスピードが重要だったように思います。難易度は例年並みの印象です。
【全体的な感想】
出題内容は、コロナ禍に関連する問題が出るかもしれないと思いましたが、そのような時事問題は出題されませんでした。
前年と比較して、出題傾向や問題構成はあまり変わらず、ボーダーは例年どおり100点前後が目安になると思いますが、二次通過も視野に入れると100点にどれだけ上乗せできるかの勝負だと感じます。もし、100点に届かずに一次検査を通過した場合は、二次での挽回が必要になると思います。(自己採点になるため推定得点しか出せませんが)
二次検査については、2020年度は問題を難しくし過ぎて点差があまり付かなかっため、2021年度の二次検査は前年よりも軟化すると私は予測しています。
[合格最低点や検査対策についての参考記事]
「得点開示請求からみる合格最低点」
「東葛中の一次検査対策」
「多忙だった二次検査対策」
話題は変わりますが、一次検査の出願者数が前年よりも減り(東葛中826名 対前年39名減、千葉中605名 対前年117名減)、千葉中は大幅減(特に女子は対前年79名減)となりました。千葉中で出願者数大幅減となった要因は、コロナ禍でのオンライン対応の遅れによる公立校への不安、受験校選択の保守化、渋谷幕張の受験日程とのバッティングなど様々な理由が推察されますが、出願者数の減少に伴い、特に千葉中の繰り上げ合格数は減るのではないかと予測しております。一方で、東葛中の出願者は微減にとどまりましたが、仮に最難関私立校志望の上位層が抜けたのだとしたら、繰り上げ合格の数に若干の影響が出るように思います。
[合格者数や繰り上げ合格についての参考記事]
「東葛中の合格者層」
最後に、一年前の自分を振り返るとなんとも落ち着かない日々を過ごしたことを思い出しますが、東葛中受検は長期戦です。今年はインフルエンザに加えてコロナ対策も必要なのが厄介ですが、対策方法はインフルエンザと同様だと思いますので、親子共に心と体の健康に留意して、無事に受験を乗り切ることを願っております。
中学受験を決めたもう一つの理由
今回は、我が家が中学受験を決めたもう一つの理由に触れたいと思います。
東葛中受検を決めた一番の理由は、東葛中のアクティブラーニング中心の授業スタイルを我が子が希望したことにありましたが、もう一つの理由は、一般の公立中学における内申点稼ぎから我が子を解放したいという思いでした。
我が子の学区の公立中学では、内申点の加点を得るために、入りたくもない部活やボランティア活動などをしなければならない、という話しを以前より諸先輩方から耳にしていました。
もちろん、部活に打ち込みたい、ボランティアで社会貢献したい、という純粋な希望があるのでしたら、それはとても良いことです。しかし、それらが内申点の加点を目的とした手段になっているのであれば、私は違和感を感じてしまいますし、教師と生徒との歪んだ力関係が生じることも否定できないと思います。
定期試験以外で内申点を稼ぐという思想は、私が中学生だった頃よりも更に昔からあったことは事実ですし、中学生だった私もそのために英検を取ったことを思い出しますが、未だにこの風習が何十年も続いていることに、私は疑問を感じずにはいられません。
しかも、定期試験以外の要素も加味される内申点の採点方法は曖昧で明確な基準もなく、主観的要素が介在しています。通知表が絶対評価に移行したという割には、進学する中学の評価基準や平均学力の環境が違うだけで、同じような学力でも評価にギャップが出るケースを耳にします。評価を公平にすることは難しいと思いますが、公正な制度として運用されることは必要だと思います。
一方で、人を評価することの難しさも承知しています。例えば、以前から企業は成果主義へシフトすると言われていますが、実際には曖昧なプロセス評価の要素を残す企業も少なくありません。結果よりも、チャレンジしたことや多くの人を巻き込んだり同僚への貢献を評価する取り組みもありますが、未だにどの企業も完璧な評価制度を実現できていないことは事実だと思います。
中学校の内申点の扱われ方は、都道府県によって違いがあるようですが、千葉県においては、一部の進学校を除き、未だに内申点が存在感を持っていることは事実だと思いますし、その存在感が増す傾向にあるようにさえ感じます。
そして、内申点の存在感が増している要因は、公立高校の入試で内申点が加味されることよりも、私立高校における併願推薦(優遇、確約)という特殊な選考方法にあると思います。
併願推薦(優遇、確約)の仕組みは、都道府県によって運用方法も様々なようですが、中学の先生もしくは親が私立高校と直接交渉(事前相談)して、第一志望の公立高校が不合格だった場合に入学確約することを条件に、受験の前から合格内定を貰えてしまう制度です。(埼玉県は先生ではなく親が高校と直接交渉するそうで驚きました)
これは、入学者を事前に確定したい高校、中学浪人だけは阻止したい中学校、事前に安心したい受験生と親、三方にwin-win-winが成り立つ仕組みですが、その判定に使用されるのが内申点です。(地域によっては模試の成績が考慮されたり塾推薦もあるそうです)
併願や単願の推薦制度は否定しませんし、それなりに意味のある仕組みだと思いますが、重要な判断材料の内申点を決めるプロセスや基準が極めて不透明な点は、問題があると思います。
推薦を得るには、私立高校が提示する内申点を上回る必要がありますが、例えば、希望する学校に内定するための内申点が少し足りない場合、先生や親はどのような行動に出るでしょうか?1点でも足りなければ素直に諦めるでしょうか?
もし私が先生であれば、どうにか生徒に加点できる方法を考えるかもしれませんし、内申点が関係のない進学校志望の生徒の点を動かしてしまうかもしれません。親であれば、中学や高校に泣きついてしまうかもしれません。しかも、推薦を決定するプロセスには、中学と高校もしくは学校と親の「交渉」という要素が含まれていることは周知の事実です。
企業においても、そろそろ昇格させたいから今回はあいつの評価を良くしよう、という話しを実際に耳にした経験がありますが、「そろそろ」の人と一緒に、もし自分が実力で同じ土俵に立たされたとしたら、間違いなく不満に思う筈です。
そのような背景を考えれば、特に中学3年生の内申点が、機械的に決まるとはとても思えないですし、そのさじ加減の被害を受ける受験生もどこかにいる筈です。そして、中学3年生の最後の内申点を決める会議が中学校で開催され、私立高校の推薦が決まり出すのが、奇しくも東葛中の一次検査が実施される12月なのです。
これらの要素をふまえると、交渉や情報収集において高校受験で親の出る幕が無いのは幻想ですし、推薦入学が増加傾向にある大学受験も、同様の現象が起こってもおかしくないと私は思います。(念押しですが、推薦の制度自体は悪いことではないと思います)
もちろん、東葛高校にも大学の指定校推薦があると思いますし、大学の選考方法も多様化していますので、我が子がこの先も内申点と無縁ではない可能性はありますが、少なくとも中学3年間の多感な時期に、内申点を気にせず思い切り自分の好きなことに打ち込めるのは、大きなメリットだと思います。実際に、東葛中では教師と生徒に比較的フラットな関係が築けている印象があります。
中学受験でも、東葛中や千葉中、一部の私立校の合否判定の一部に内申点が使用されていますが、高校受験のような交渉事や先生の最後のさじ加減のような要素は少ないと思いますので、ほぼ試験の結果で決まる中学受験が最も純粋な受験のように思えます。(中学受験でも一部で推薦がありますが、高校や大学のような交渉はあまりないと思います)
間もなく東葛中の一次検査が始まります。ある意味過酷かもしれませんが、中学受験はほぼ試験だけで勝負が決まる世界です。体調に気を付けて、それぞれの受験生が本番で100%の力を出し切れることを切に願います。
東葛中に関する相談
東葛中の受検に関して、妻が相談される機会が増えたそうです。その内容を聞くと、東葛中や受検(受験)に関して誤解や情報収集不足があるようです。今回は何点か気になった内容について、私なりの考えを述べてみます。
東葛中は大学受験に有利?
いわゆる良い大学に合格することを目的に、東葛中を目指すことはお勧めしません。東葛中は(高校も)、大学受験で不利になることもないと思いますが、任せておけば大学受験まで安心な学校では無く、自主自律の言葉どおり結局は本人次第、むしろ大学生や社会人になってから役立つ知識や経験を得られる学校だと思います。
ビジネスの世界では、加速する世の中の変化に対応し生き残るために、一人の天才や一つの企業が生み出すアイデアよりも、多様な人材の交流やコラボレーション、企業同士の共創から生み出される非連続な(これまでの延長線上でない)イノベーションや成長を重視する考え方にシフトしています。そのためには、相互理解と自律的に個の力を高め続けることが必要で、東葛中での取り組みや経験は、その基礎になると思います。
例えば、東葛中はグループワークやディベート、ビブリオなどのプレゼンやアクティブラーニング中心の授業で、対話や交流による相互理解と共創に重きを置いています。そのためには、授業だけでなく朝や放課後にグループで打ち合わせしたり家での準備も必要ですし、授業で何かを決めるにも議論が必要な校風のため、はっきり言ってとても面倒くさい学校です。我が子はそれが楽しいようですし、それを期待して入学しました。実際に自分の席に座って授業している時間はあまり無いそうですし、それらの面倒とも言えるプロセスを経験することによって、相互理解や共創の手法を学ぶのだと思います。
また、英語の授業は、英語を使えるようになることを目指していますので、授業は話すこと中心で、英単語や文法の知識は自習で身に付けることが必要です。もちろん、先生に相談すれば自習方法を教えてくれますし、そのためのテキストも沢山用意されていますので、大学受験のようなペーパーテストを突破する力を身に付けるには、授業だけでなく自主性も必要になります。このことは、英語以外の教科も同様だと思います。
東葛には中学の方が受かりやすい?
東葛中と東葛高校の合格難易度の比較は難しいですが、一般的に中学受験の方が大変だとする意見が多いと思います。私も総合的に考えて親子の苦労が多いのは中学受験だと思いますし、特に我が家のように私立対策もする場合の勉強量は、相当な量だと思います。その理由は、小学校で学ぶ範囲(もしくは深さ)を完全に超えた内容を勉強するからです。実際に中学校で学ぶ内容(特に知識面)を確認しても、既視感のある内容は多々あります。ちなみに、私自身の高校受験や大学受験は受験戦争と言われた時代ですが、私よりも我が子の中学受験の方が勉強していると思います。
参考に、別の視点として2020年の中学と高校の募集定員や受検者数を比較してみます。東葛中は80名(男女40名ずつ)の入学ですが、仮に東葛中の入学辞退者が半数いるとすると約120名が合格します。一方で高校からは240名入学できて、辞退者は稀と思われますので、単純比較で合格者数の差は2倍です。倍率で比較しても、東葛中は865名が受検し、辞退者を含めた推定合格者数を120名とすると推定倍率7.2倍です。一方で、東葛高校は前期後期合わせて672名が受験し合格者数が241名で倍率2.8倍ですが、前期後期の重複受験もあるため、実質倍率はもっと低い筈です。(2021年から一発試験に変わります)
※追記:2021年の東葛高校の倍率は1.8倍でした。
また、中学からは英語が増えるため、科目の少ない東葛中の方が受かりやすい、という考えもあるそうですが、受験生は皆同じ条件ですので、科目数と難易度の相関は弱いと思います。中学受験と高校受験では受験者層も違いますが、仮に東葛高校に行くことが目的なのであれば、無理に東葛中を受検する必要は無く、高校受験で良いと思います。
親と子供の希望中学が違う
これは最も問題のあるケースだと思います。東葛中に限らずどこを受験しても同様ですが、親と子供の希望する学校が一致しない場合は、親子でしっかり話し合うことが先だと思います。本来は「塾選びの前に決めるべきこと」でも説明したとおり、もっと早い段階で親子の方針を一致させて、お互い納得した状態で、家族一丸となり受験に臨むべきだと思います。
もちろん、費用を負担するのも総合的な判断力があるのも親ですが、「何のために中学受験するのか?」「そのためにどの学校に行きたいのか?」は非常に重要な問いです。この点だけはしっかり話し合ってお互いに納得した状態になることが必要です。
親子の方向性を一致させずに良い結果を残せる程中学受験は甘くないと思いますし、親が希望する学校に無理に通学しても、充実した中高生活を送ることが難しくなるリスクが残ります。
妻が聞いたケースでは、東葛中の二次検査合格後に子供を説得する予定での相談だったのですが、東葛中に合格するために3年間の苦悩と研究を重ねた我が家にとっては、一次検査も受けていない段階で、東葛中に合格すること前提なのが驚きで、とても複雑な気持ちになりました。
小学校への配慮も必要
東葛中の場合は、一次検査を通過すると書類提出で小学校に依頼が必要になりますので、一次通過が決まったら直ぐに小学校へ書類作成の依頼をした方が良いです。
私立でも成績表の提出が必要な学校がありますし、同様の依頼が同時期に集中しがちですので、早めに先生に情報共有することが必要です。そもそも中学受験の書類作りが小学校の本業ではありませんので、受験のための対応は学校や先生にとって業務負荷を増やす要因であることの認識と配慮が必要だと思います。
また、私立受験が平日の場合は、公休として欠席扱いにしない学校もあります。学校を休むことに抵抗感のある子供もいると思いますので、その点も事前に確認してみて下さい。
東葛中に行くことが本当にコスパが良いかどうかは、大学受験までにかかる費用をトータルで試算する必要があります。
東葛中は義務教育の公立中学ですので、学費は不要です。但し、副教材費、合宿や海外研修の積み立て、保護者会費、通学代などの費用はかかりますし、一般の公立中学同様に制服代や給食費なども必要です。ちなみに、制服は私立よりも安い印象でした。旅行関係の積み立て額は3年間合計で60万円余りです。
学費が年間100万円前後かかると言われる私立と比べれば、費用は格段に安いと思いますが、東葛中に合格する力があれば、私立に特待合格できる可能性もありますので、私立と大きな差にならないケースもあります。
また、東葛中でも通塾を継続している生徒は少なからずいます。東葛中で通塾する理由は様々だと思いますが、中学受験の費用と中高での通塾も含めて資金計画を考える必要があります。
参考に、ネットから拾い集めた情報のためご自身でも確認していただきたいのですが、集団塾のフルコースで考えた場合、中学受験の通塾費用は3年間で200〜300万円(公立のみ受験2年通塾で100万円)、中高一貫校で通塾すると中学3年間で80万円、高校受験の通塾費用は中学3年間で200万円、大学受験の通塾費用は高校3年間で200万円という情報がありました(通う塾、受験校、教科数等の条件で変動します)。お金の話をすると頭がクラクラしてきますが、そのような現実を事前に調査して理解しておくことは必要だと思います。
東葛中期末試験を初体験
9月29日と30日は、東葛中の期末試験でした。コロナの影響で中間試験が無かったため、一年生にとっては今回が初めての定期試験です。
今回は受験がテーマではありませんが、定期試験の情報から東葛中の教育の一端が分かると思いますので、東葛中の試験内容について深掘りしてみます。
先ず、東葛中の定期試験の概要ですが、2学期制のため中間と期末で年4回の定期試験があります。
今回の前期期末試験は、英数国理社の5教科に技術家庭を加えた6教科で、試験時間は5教科が各50分、技術家庭は25分、各教科100点満点でした。
前期試験が終わると、数日の休みがあり、後期はテストの返却から始まりましたが、順位発表は無く平均点も英語と国語は未発表でした。(社会も平均点が出ませんが設問別の正答率が出たため計算できます)ありませんでした。(後日全教科の平均点付きの成績表が配布されました)
ここからは、英数国理社の5教科の問題内容について深掘りしてみます。併せて、各教科の進度も入学時に示されたシラバス(授業計画)で確認しています。
また、参考に我が子の地元の公立中学の期末試験の範囲や内容も調べてみました。(教科書や授業の進め方の違いがあるため単純比較はできません)
英語
出題範囲は疑問詞(What?, How?など)と三人称代名詞(him, hisなど)まで(一部三単現含む)で、ほぼシラバスどおりの進度です。
参考に、地元の公立中学は一般動詞の疑問文(Are?, Do?)や否定文(isn't, don'tなど)までに加えて、簡単な文章の疑問詞も含まれていました。
問題構成は、前半がリスニングで後半がライティング、配点はリスニングが6割程でした。平均点は未発表ですが、50点程という噂があるそうです。(あくまで噂です)平均点は50点代です。
リスニングは、TOEICのpart3やpart4のように、放送を聞いて選択肢から回答を選ぶ問題があったり、文章で使用されなかった単語を選ぶ問題など様々でした。東葛中の授業は文法よりも話すことが中心の授業ですが、授業以外にリスニングのトレーニングを積まないと、高得点は望めないと思います。
ライティングは、文法問題は授業の進度に沿った出題が中心でしたが、主語の単数形をsingular・複数形をplural、否定形をnegative formと英語で指示して英作文させていたのが印象的でした。(私もsingularとpluralという単語は知りませんでしたので勉強になりました)
文章問題は、会話文の中に先生が登場するなどユーモアのある問題もありましたが、授業の進度を越えた文法も含まれていました。
特に、コラムや記事を引用したと思われる長文読解は、中3レベルの文法(関係代名詞など)や私も知らない単語も含まれており、高校入試で使われても遜色無い内容だと思いました。
英作文の独特な出題方法や長文読解を除けば、文法問題そのものの難易度は高くはないと感じましたが、そもそも文法や英単語は個人学習任せに近い授業スタイルで、通常の公立中学より進度も早いため、英文法や英単語の自主学習方法を確立できていない生徒は苦戦したと思います。
数学
出題範囲は連立不等式までで、これもシラバスどおりの進度です。
参考に、地元の公立中学は一次方程式まででした。
問題構成は、前半が計算問題で後半が主に文章問題、配点も計算問題と文章問題で概ね半々、平均点は50点台でした。
問題は、授業やプリントで扱った内容をしっかり理解していれば解ける問題で、奇抜な問題や難問が無いのは意外でしたが、問題数は多めの印象です。
数学が得意で計算力もあれば、比較的高得点を狙えるかもしれませんが、平均点を考えると、計算ミスをしたり後半の文章問題に苦戦した生徒も少なくなかったのではないか思います。
数学に関しては、平均点以下を対象に追試、追試も悪ければ補習が実施されるようですので、学校のケアもある程度は期待できます。
【国語】
出題範囲は現代文(詩、物語文、論説文)でした。これもシラバスどおりの進度です。
問題構成は、最初に聞き取り問題があり、その後は漢字なども含む記述問題でした。平均点は未発表ですが、60〜70点は取って欲しいと先生に言われたそうで、平均点は70点前後と推測しています。70点代でした。
聞き取り問題は、東葛中の二次検査や千葉県立高校の入試でも採用されていますし、一般の公立中学でも実施しているため、千葉県は聞き取り問題を重視しているようです。
詩や読解は、全て授業で扱っていない本からの出典でした。生徒に事前予告されていましたが、通常の公立中学では教科書以外から出題されることは少ないと思いますので、特徴的だと思います。
また、授業でも実施したディベート問題が出題されました。テーマに対する反対意見と想定される反論を書く問題です。これも東葛中ならではの問題だと思いました。
理科
出題範囲は物質で、休校中に自習した生命は試験の範囲外でしたが、これもシラバスどおりの進度です。
参考に、地元の公立中学は生命と物質が範囲のためほぼ同じ進度と思います。
平均点は70点台でした。
出題内容は、授業に沿った問題だと思います。但し、理由や課題を答える記述問題もあり、授業で取り上げたテーマや先生が話した内容をしっかり理解していないと答えられないと感じました。
例えば、授業で液体窒素(瞬間的に花やバナナなどを凍らせることで知られた物質)を使ったらしく、一瞬であれば手にかけても大丈夫なのだそうで、それを授業で実演したそうです。テストでもその理由を問う問題が出題されました。
社会
今回の出題範囲は世界の地理でした。こちらもシラバスどおりの進度です。
参考に、地元の公立中学も世界の地理でほぼ同じ進度と思います。
平均点は70点台でした。
出題内容は、事前に記述の小テストを実施したこともあり、回答は全て選択肢でしたが、実際の高校入試やセンター試験の問題から出題されたようです。
私も、試しに千葉県立高校入試の地理問題を解いてみましたが、率直な感想としてはかなり浅い内容でした。今回のテストの範囲だけで比較すると、千葉県立高校入試よりも難しい問題だったように思います。
まとめ
東葛中の定期試験の内容は、一般の公立中学と比較すると、進度や授業内容の違いもありますが、独自性があり実際の入試問題のような出題形式で、難易度も高いと感じました。
出題範囲は、コロナ禍に関係無く当初予定のシラバス同様もしくはそれ以上の範囲でした。
定期試験で感じたことは、学校の授業だけでなく、個人が自習できる力も試されているということです。このことをふまえると、入学検査では、スポーツの体力のように入学後に必要な学習の体力が試されているのだと思いますし、受験勉強もそのための鍛錬だったように思います。
最後に
定期試験結果のデータに関する私なりの見解を述べたいと思います。
定期試験の目的は、これまでの取り組みを振り返り、今後の勉強に活かすことだと思います。そのために順位や平均点などのデータは重要指標だと思っていましたので、それが出ないことは驚きでした。
東葛飾高校でも定期試験の順位が出ないそうで、過去の経緯や伝統を尊重しているのかもしれませんが、一般の公立中学や私立校でも度数分布表のみであったり順位が出ない学校もあるようで、今時はそのような風潮なのかもしれません。
しかし、そもそもの試験の目的を考えれば、同じ授業を受けたメンバーと試験結果を相対的に比較して現状把握すること、自身の結果に関心を持ち自己分析することは、これからの授業への取り組み方や学習方法を考えるために大切なことだと思います。
経営やマーケティングにおいては、自身のポジションや強み弱みなどを総合的に分析して事業戦略を策定したり商品開発するのは良く知られた手法です。
また、日本のビジネス界では、DX(デジタル変革、デジタル・トランスフォーメーション)の必要性が数年前から叫ばれています。
テレビでお馴染みの落合陽一氏は、「DXとはデータとデジタル技術の活用」だと某セミナーでおっしゃっていました。
GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)を代表とする先進企業も、勘や経験ではなくデータから意思決定することが当たり前ですので、データの収集と分析はDXの第一歩です。
菅新内閣は、デジタル省を新設しましたが、これはコロナ禍で露呈した日本のデジタル化の遅れを受けての施策だと思います。実際に日本の世界デジタル競争力は、63カ国中27位(IMD世界競争力センター2020年10月発表、1位アメリカ、2位シンガポール、3位デンマーク)で、8位韓国、16位中国にも水を開けられています。
デジタル化にはスピードが重要です。ようやく国がデジタル化に舵を切りましたので、テストなどの身近なことの分析から始めて、子供達にも早い段階でデータを活用する知識と技術を身に付けさせることが必要だと思います。
東葛三大祭の新情報
東葛三大祭について、一部開催の動きが出てきました。
スポーツ祭は10月に部分開催が決定し、公式発表はまだありませんが、オンライン文化祭も企画されているようです。
※残念ながらオンライン文化祭は実現しなかったようです。
三大祭と呼ばれる、スポーツ祭、合唱祭、文化祭は、東葛生にとって大切なイベントだと思いますので、コロナ収束の保証がない来年に向けても吉報だと思います。
三大祭の中止については、「東葛中学校説明会中止について思うこと」でも触れましたが、コロナ禍で何もかも中止にするのではなく、これまでの方法にこだわらず、テクノロジーの力を借りたり工夫することで、一歩でも先に進むことは生徒にとって非常に良い経験になると思います。
オンライン文化祭については、灘中学と高校が開催することにも以前触れましたが、「高校生新聞」というサイトでも、私立に限らず多くの学校がオンライン開催する(した)ことを特集しています。
残念ながら今回は高校生のイベントのため、東葛中の生徒には関係が薄いのですが、このような前例を作って貰うことは心強いことだと思いますし、東葛高校の「自主自律」を体現する姿を中学生が見られる良い機会になることを期待しています。
二次検査面接の内容
東葛中の二次検査当日は、午前中に筆記を終えた後、午後に面接があります。(二次検査対策については「多忙だった二次検査対策」をご参照ください)
面接の準備は一次検査の結果を待ってからで充分ですが、今回は面接について深掘りしてみます。
先ずは、東葛中の面接の基本情報です。面接は男女別で5人毎の集団面接が約15分実施され、東葛中の場合は面接にプレゼンテーション的な内容が含まれます。
千葉県教育委員会作成の保護者向け資料によると、東葛中の面接官がみる内容は、「伝えたい事柄を相手に対して示し、的確に相手に理解・納得させる力」と説明されています。
面接の点数について、一説には配点が20点程あると言われていますが、実際の運用は非公開です。但し、仮に20点満点とすると、最大10点位の差が付くことはあり得ると思います。
面接の順番と組み合わせは、二次検査当日の朝に発表されます。高校の体育館の壁にも貼り出されますので、付き添いの親も確認が可能です。但し、当日の欠席者がいると、その後の人数調整で順番が繰り上がることもあります。
面接の組み合わせは、基本的に受検番号順になりますので、一次検査の出願は、友人等と一緒に出願するのはお勧めしません。但し、双子で出願して番号が連続する場合は、面接が一緒にならないような配慮があるようです。また、早く面接を終えたい場合は、早めに出願すると面接も早い順番になる可能性が高いと思います。
ここからは、面接がどのような内容だったのか詳しく説明します。
我が子が最初に聞かれたのは志望動機でした。志望動機は必ず聞かれると思いますので、志望理由書に書いた内容を簡潔に30秒〜1分程で答えられるように練習しておくことが必要です。(志望理由書の内容について質問されることはなかったそうです)
志望動機の次は、「プレゼンテーション的な内容」に移ります。プレゼン方法は、その場で試験官が見本を見せてくれるので、その要領に従って各自がプレゼンします。例えば、テーマが「好きな四文字熟語」だとすると、紙に「十人十色」などの四文字熟語を書いて、その理由を説明します。
我が子の場合は、「後世に残したいもの」というテーマが与えられ、面接官からは「思いやりの心」を見本にデモンストレーションがありました。受検生には3分程時間が与えられるので、紙にその回答を書いて考えをまとめておきます。そして、その内容を2分程プレゼンしました。(時間配分等の詳細は我が子の記憶違いがあるかもしれません)
面接については、塾でも何度かレクチャーしていただき、家でも最初の志望動機だけ少し練習しました。
合格確率で考えると、一緒に面接するメンバーから合格するのは1〜2名ですので、はっきりした受け答えをできた方が、印象は良いと思います。
参考に、プレゼンテーマは、前述した「後世に残したいもの」に加えて、過去には「外国人に伝えたい日本の魅力」「行ってみたい国」「好きな言葉」「好きな四文字熟語」が出たようですが、通塾している場合は塾に確認してみてください。
最後に、面接は沢山練習する必要は無いと思いますが、特にプレゼンは東葛中入学後にも必要なスキルです。殆どの受検生は初めての体験になると思いますので、どのような内容か事前に把握して練習しておくことで、少しは緊張も和らぐと思います。面接のプレゼンでは、論理的且つ簡潔に話せることが理想だと思いますが、子供らしく自分の言葉ではっきりと伝えることで、「伝えたい事柄を相手に対して示し、的確に相手に理解・納得させる力」を少しでも示すことができれば充分だと思います。
私立校の気になる動向
今回は少しテーマを変えて、2021年度入学に関して、「私立併願校の選び方」で取り上げた私立校の最近の気になる動向を取り上げてみます。
具体的には、開智と茗溪学園のクラス分け変更、江戸川学園取手の適正型入試導入、広尾学園の広尾学園小石川新設の情報がありました。
※詳しくは各校のパンフレットや説明会などでご確認ください。
開智
これまでは先端クラスと一貫クラスで分かれていましたが、2021年度より先端クラスに統一されます。その代わり4コース制に変わり、東大や早慶などの最難関大学を目指す先端ITコース、医学系を目指す先端MDコース、まだ進路を特定しない先端FDコース、海外の大学やIT分野を目指す先端GBコースを合格後に選択できるようです。また、申請中で認可待ちのようですが、1クラス増やして定員が40名増員される可能性もあるようです。
入試についても、算数特待という算数のみの特待試験が追加されました。推測ですが、算数が得意な子供の方が進学実績が良い、というデータの裏付けがあるのかもしれません。我が子と違って算数が得意な子供は、チャレンジしてみても良いと思います。
我が子の場合は、仮に開智に進学するのであれば先端クラスを希望していましたし、先端希望者にとっては朗報だと思いますが、4コースのどれを選択するかは迷うところだと思います。
開智は、進学実績を上げるための改革に躊躇しない学校の印象がありましたので、今回の変更に伴う志望者の増減、偏差値や進学実績の推移は気になるところです。
アカデミッククラス(ACクラス)が新設されました。従来のクラスよりもアクティブラーニング系の授業を強化したコースのようですので、我が子がもし受験するならACクラスを希望する気がします。
茗溪学園は、大学進学に関してのんびりした部分がある印象でしたので、進学実績を上げる意味で、校内へ良い刺激になるような気がします。
今回のクラス変更は、大学入試改革への対策もあると思いますが、茨城県は2020年度から2022年度にかけて公立中高一貫校が県内トップ校の土浦一高を含めて10校も新設されるため、生徒獲得の対抗策でもあると思いますし、茨城県全体の中学受験も過熱しているのだと推察しています。
茨城県の公立中高一貫校新設を意識しての施策だと思いますが、新しく適正型入試が実施されます。更に、東葛中の二次検査同様に面接があり、志望理由書の提出もあるそうです。
江戸川取手は、茨城県の並木中や千葉県の東葛中とエリア競合しています。入試日程は、茨城県立中高一貫校の一週間後、千葉県立中高一貫校の一週間前ですので、両県の受験生を狙った施策だと思います。
以前取り上げた土浦日大も適正型入試が導入されていますが、茨城県では他の私立でも導入されているようで、エリア的に増加傾向なのだと思います。
但し、志望理由書と面接については、少し悩ましいと思います。大きなお世話かもしれませんが、適正型入試で受験することは、第一希望ではないことを意味しますので、もし我が子が受験するとしたら、志望理由書がとても書きづらいし、面接の志望理由も答えにくいと個人的には思います。この点について、塾でどのような指導をするのかは気になるところです。
広尾学園小石川
個人的には、広尾学園の小石川校新設が一番のサプライズでした。開智日本橋の開校よりもインパクトがありましたし、課題はあると思いますが、渋谷渋谷のような成功例が頭によぎります。
母体の村田女子高校の共学化と中高一貫校化を実施してのスタートになりますが、2018年から広尾学園と教育連携していたそうで、3年以上かけて準備してきたようです。
山手線内の共学校で、進学校と言える学校はまだ少ない状況ですので、2020年7月時点の四谷大塚偏差値では50前後ですが、JR巣鴨駅から徒歩圏内ですし、千葉県の常磐線エリアや埼玉県からも比較的通学しやすい立地です。本体の広尾学園のように上手に人気を上げることに成功すれば、今後偏差値が上がる可能性を秘めていると思います。
最後に、今の渋谷幕張や渋谷渋谷も、私が学生だった頃からは想像できない程飛躍しましたし、渋谷幕張の飛躍が無ければ、東葛中の新設もなかったと思います。公立に子供を通わせる親としては、私立の頑張りや工夫が公立の成長にも良い影響を及ぼすことを期待したいと思います。