理系問題の気になる傾向
受験において過去問対策は必須ですが、理系問題の傾向が変化してきていると感じましたので、その傾向と対策について触れたいと思います。
我が子が受検した2020年の二次検査では、中学で学ぶ内容に関連した問題が2問出題されました。
1問目は、二つの商品の販売個数の関係を示す、いわゆる「つるかめ算」をグラフ化して二つの直線の交点を考える問題です。これはxとyを使った連立方程式の概念です。交点の意味することは何なのか?二つの直線で区切られた領域はどのようなことを意味するのか?を問う問題で、難問だったと思います。
2問目は、高地や圧力鍋の圧力や温度の問題です。これは圧力と体積と温度の関係を示すボイル=シャルルの法則です。高地でお菓子の袋が膨らんだり、無水調理ができる鍋のように圧力鍋の原理に興味を持ち理解していれば解けるかもしれませんが、こちらも比較的難問だったと思います。
過去にも、等速度運動と自由落下の関係を使った放物運動問題が出たことがありましたが、中学で学ぶ内容に関連する問題を一度に2問も出したのは今までになかったことだと思います。
当然ながら、中学の知識が無くても解けるように配慮されていますが、個人的には少し凝りすぎな印象です。
実際に今回の二次検査の平均点は、例年よりかなり低かったのではないでしょうか。
仮に公立高校の入試問題も同様の傾向だとしたら、大学入試改革を意識した問題に変化している可能性もあるように思います。
来年も同様の傾向が続くのかは不明ですが、千葉県立中学の問題作成の思想の中には、小学校で学んだことと中学・高校で学ぶこととの関連を示したり、実生活と学習の関係性をどの程度理解しているのかを試したいという思いがあるのかもしれません。
どこかの私立中学か塾の説明会で聞いた覚えがありますが、中学受験の問題は、学校からのメッセージでありラブレターなのだと言っていました。千葉県立中学に関しても、同様なのかもしれません。
これらの問題の対策は、なかなか難しいと思いますし、中学の領域まで学ぶ必要は無いと思いますが、日常で使っている生活の知恵や自然現象を科学的に説明するような親子の会話が役に立つかもしれません。
例えば、料理の「さしすせそ」の理由を浸透圧を使って説明したり、夏はジメジメして冬は乾燥する理由を飽和水蒸気量と気温の関係を使って説明するなど、大人にとって常識になっている生活の知恵や自然現象の理由を教えてあげると良いと思います。
少し話しはそれますが、東葛の学祭で、中学生の学習成果のプレゼンを見る機会がありました。自分達であるテーマを調査し分析して資料にまとめていましたが、そのような授業が多くなることを見越して検査問題を作っている部分もあると思います。
東葛中以外の私立でも、同様の授業をしているのを見聞きしていますので、東葛中だけが特別だとは思いませんが、企業も個人プレーよりもチームプレーを重視する傾向にありますし、日本の教育自体がチームで調査・研究をしたり、プロジェクトを組んで成果を出していくような方向に向かっているようにも感じました。
今の教育は、会社や研究室で資料を作って会議や学会で報告したりプレゼンするような訓練を、子供のうちから始めているのだという印象を持っています。
私の世代は、パワポを使っプレゼンするようなことを会社で学びましたが、今は学生の頃からそのようなスキルを身に付けていますし、中学生でも普通にパワポでプレゼンする時代です。
千葉県の検査問題では、グラフや表の読み取り問題が良く出ますので、我が家はそこまでできませんでしたが、会社の資料を使ってグラフや表の読み取りをしてみると、東葛中の受検勉強の良い練習になるかもしれません。