東葛中合格への道

2020年東葛飾中学合格。家族で挑んだ初めての中学受験3年間を父親目線で振り返る。入学後の情報も更新中。

東葛中に受かるのはどんな子供か?

今回は、どのような子供が、どのような勉強をして東葛中に合格しているのかを、我が子のケースもふまえて考えてみたいと思います。

東葛中にどんなタイプの子供が入学しているのか?

この点に関しては、私もたくさんの東葛中の生徒を知っているわけではありませんので、我が子から聞いた情報や実際に我が子が入学してから得た印象からの私見になります。(※私の偏見もあると思います)

先ず、東葛中の生徒は、1学年80名と少ない人数ながら多様で多彩な顔ぶれが多い印象です。

仮に五角形のようなレーダーチャートで表現すると、全てのカテゴリーでまんべんなくポイントが高くて綺麗な五角形ができる優等生タイプもいれば、一部のカテゴリーが突出したデコボコな五角形のできるタイプもいるようです。(余談ですが、運動面は苦手な生徒が多いようで、高入生との運動能力に差があるそうです)

そして、東葛中に限らず今時の子供全般の傾向かもしれませんが、小学校ではちょっと個性が強くて浮き気味だったような子供も、東葛中ではそのまま受け入れられている印象です。我が子も比較的フラットに人と接するタイプですので、学校の個性豊かな面々のエピソードを楽しそうに家で話しています。

我が子曰く、そのような個性豊かなメンバーでもグループワークなどの活動は皆好きで、発言も活発なようです。東葛中では、お互いの個性を認めながらも、協力すべき時は協力し、主張すべきことは主張しているのかもしれません。

つまり、東葛中の生徒のタイプを一言で表すことはできませんが、学習面や性格面でバランスの取れたタイプと、特定の分野や性格に偏りがあるタイプが混在した状態で、それぞれの特性を活かしたり受け入れながら協力して学べる子供が、比較的多く入学しているのだと思います。

参考に、我が子はどのようなタイプかと言うと、特に個性が強いという訳ではなく、逆に大人しかった訳でもないのですが、小学校では休み時間に皆と遊んだりするよりも、教室で読書するようなことが多いタイプでした。周囲からは少し大人びた印象があったかもしれませんが、人のことはよく観察していたようにも思います。そんな我が子の東葛中での立ち位置はよくわかりませんが、少なくとも違和感なく過ごせていると思います。また、文章を書くことは比較的得意で、グループでの調べものや発表も好きだったため、それが東葛中を志望した理由でもありますし、その点は入学後も期待どおりの学校だと感じています。

東葛中にはどんな子供が合格しているのか?

先に結論を書くと、至極当たり前の答えになりますが、東葛中に合格するのは適性検査で得点できる子供です。

合格しているのは、最難関の私立向けに勉強した子供、我が子のように東葛中志望で私立も併願した子供、東葛中単願の子供と概ね3パターンになると思いますが、それぞれの違いについては、後日述べるつもりです。

それでは、適正検査で得点するためにどのような準備をすれば良いのかを考えてみます。但し、先に断っておくと、千葉県立中学(東葛中、千葉中)の適正検査は、先取り知識や特殊算が不要なため、学校の勉強だけしっかりできていれば得点できる、という考え方に対して、私は否定的です。少なくとも、私が経験した我が子の東葛中受検に関しては、小学校の成績が良ければ合格できるような世界ではありませんでした。

例えば、我が子の場合、親バカと思われるかもしれませんが、私が客観的に見ても、小学校の成績は受験勉強を始める前の低学年の頃からかなり良かった印象で、親の私が小学生だった頃よりは圧倒的に良い成績でした。しかし、仮に学校の勉強に加えて過去問を解く程度の対策で受検したら、合格は無理だったと思います。

それではなぜ合格が無理だったのか、その理由を説明するためには、適正検査の内容を理解しておく必要があります。

今回は、適正検査の詳しい説明は割愛しますが、適性検査で得点する方法について、私なりの考えを述べてみます。

参考:適正検査の内容に関する記事
「東葛中の攻略法は?」
「東葛中の一次検査対策」
「2021年度一次検査を解いてみた」
「2021年度二次検査を解いてみた」

それでは、どうすれば適性検査で得点できるのか?その答えは、全て過去問に集約されています。そして、過去問からわかる千葉県立中学の適正検査のおおまかな特徴は以下のとおりです。

  1. 問題量が多く45分間では完答不可能で、合格得点ボーダーは約5割
  2. 算数や理科は中学の内容を小学生向けに噛み砕いた問題が出がち
  3. 表やグラフの読み取りが多い
  4. 単語系の知識は問わないが教養は問う

それでは、上記の特徴に対して、どのような対策が必要なのかを考えてみます。

問題量が多く45分間では完答できず、合格得点ボーダーは約5割

この攻略に必要なのはスピードです。何のスピードかというと、読解や記述、計算のスピードです。これらのスピードがあれば、自分が解ける問題を中心に得点を積み上げることができます。

そして、特に読解スピードを上げるために必要なのは、読書をすること以外無いと思います。速読を教えている塾もあるようですが、本格的に取り組まない限り、付け焼き刃では本番の役に立たないと思います。

また、計算スピードを身に付けるために必要なのは、日々の計算演習です。ソロバンや公文もある程度極めれば役に立つと思いますが、それらも結局は日々の計算演習の積み重ねで身に付く力です。難関私立志望の受験生が東葛中や千葉中にも強い理由は、年月をかけてこれら読解と計算のスピードを鍛えているからだと私は考えていますし、我が子も計算演習の地道な継続で計算力が徐々に向上しました。

算数や理科は中学の内容を小学生向けに噛み砕いた問題が出がち

この出題傾向は、特に算数や理科について難関私立向けに受験勉強している子供や、自主的に中学の分野を先取りしている子供には有利に働きます。

勘が良く知識もある子供であれば、問題に取り掛かってから比較的早い段階で、これは◯◯算や◯◯の原理を置き換えて説明しているのだと気付くので、問題の誘導にも乗りやすいですし、問題文や資料をあまり読まなくてもある程度結論が読めることもあります。

例えば、過去には中学の理科で習う、エネルギー保存の法則慣性の法則、ボイル・シャルルの法則、数学の一次関数の連立方程式とグラフの関係、などの分野からの出題がありました。

但し、中学の分野を先取りしなければ解けない訳ではありませんし、もちろん合格できない訳でもありません。また、先取りすること自体が効率的な勉強方ではありませんので、東葛中合格を目的に先取りすることは不要です。

表やグラフの読み取りが多い

表やグラフに関しては、しっかりとした対策が必要です。その理由は、小学校ではあまり表やグラフの読み取り方の説明をしないことと、難関私立向けでもこのような内容はあまり教えないからです。

この対策はなかなか難しいと思いますが、我が子の場合は、千葉県立中学向けの塾の特別講座のテキストが役に立ちました。他には、他の都道府県の公立中学の過去問が役に立つかもしれません。

グラフは、抽象的な数字の傾向や変化を視覚的に把握しやすくするためのツールですので、グラフ読み取りのコツをしっかり理解しておくことが必要です。

単語系の知識は問わないが教養は問う

先ず、適正検査では、語彙や地名等の知識を問う問題は出題されません。

但し、理数系の自然現象や物理現象、それらの原理が一般社会で応用されている事例、社会問題や論理的な思考方法などの教養は問われます。

例えば、二次検査の記述は、リスニングも含めて"あるテーマ"に基づいた複数の文章から出題される傾向にあります。教養があることで、早い段階でそのテーマに気付くことができますし、小学生にとってやや難解な文章も理解し易くなり、記述の作業に取り組み易くなります。

特に社会問題系の教養問題に関しては、学校の授業で学ぶ知識も必要ですが、日頃のニュースや世間の話題に敏感になっておくことも重要です。そして、この教養を養うには、ニュースを見たり新聞を読むことが理想ですが、朝の情報番組の視聴でも充分だと思います。大切なことは、その内容を大人の視点で子供に説明したり意見を聴くことです。例えば、芸能人のスキャンダルがテーマだとしても、それが何故問題視されているのか、逆にテレビ等の報道姿勢には妥当性があるのか等を様々な視点で説明したり、子供に問いかけることが大切です。

更に一番効果的なのは、テレビや新聞よりも、親の仕事や関連業界の内容を話すことだと私は考えています。このことは「親子の会話のすすめ」でも書きましたが、親が日々どんな仕事をしているのか、仕事をする上でどのような課題や取り組みがあり、それに対してどのような議論をしたり対策をしているのか、もしくはできていないのか、を話すことが大切だと思います。

つまり、重要なのは親子の対話です。大人との対話を通して子供が社会問題に疑問を抱いたり関心を持つようになり、教養問題にも対応しやすくなるように思いますし、これは塾でも教えられないことです。また、この教養は東葛中に入学してからの総合学習でも役に立ちますのでお勧めです。

実際の適性検査でも、過去にはSDGs地域活性化などのテーマが取り上げられましたが、今後注目のテーマは、サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラル等の環境に対する取り組み、そしてD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)などの人に対する考え方だと思います。これらのテーマに対して、企業や業界がどのように取り組んでいるのかを子供に説明しておくと良いと思います。

まとめ

受験は非情なもので、得点で合格か不合格かが判定されてしまう世界です。一方で、才能だけでなく、努力した時間に見合った見返りを受けることが可能な世界でもあると思います。

受験に絶対はありませんが、自己分析と受験校の分析をした上で、目標に向かって戦略を立てて正しい努力をすれば、良い結果を得られる可能性は高まると思いますし、真剣に取り組んだ経験は、必ず財産になる筈です。

そして親ができることは、時には参謀役、時には伴走者、時には鬼教官となり、我が子をサポートし続けることだと私は思います。

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