東葛中合格への道

2020年東葛飾中学合格。家族で挑んだ初めての中学受験3年間を父親目線で振り返る。入学後の情報も更新中。

東葛中の出願者数(2024年度入学)

2024年度(2024年来春入学)の千葉県立中学校(東葛飾中、県千葉中)の出願者数が千葉県より発表されました。両校の募集定員各80名(来年度より男女の区分けは廃止)に対する出願者数は以下のとおりです。

【2024年度】

  • 東葛飾:762名
  • 千葉:550名

2023年度と比較すると、東葛中が▲31名減、県千葉中が+20名増で、昨年と大きな変化はありませんでした。

参考に、2024年度に中学受験する人数は、史上最大であった昨年並みという予測が報道されていますので、全体的にみても受験生の母数は昨年と大きな変化はないようです。一方で、人数のピークを迎えた団塊ジュニアの50歳前後の親世代と比較すると、子供の数は約半数です。子供の減少傾向に反して、中学受験する比率が高まることで、中学受験そのものは厳しさを増してきています。

地元の公立中学ではなく、東葛中のような公立中高一貫校や私立中学を目指す理由は人それぞれですが、第一子ではない子供も多数いることを考えても、中学受験をして一般的な公立中学へ進学しないことにメリットを感じている家庭も、少なくないのだと思います。実際に東葛中へ我が子が通ったことを振り返っても、一般の公立中学では得られない時間を過ごすことができたと、親として感じています。ただ単に、大学受験に有利だとかそういうことではなく、中学受験の努力に見合ったリターンはあったという感想です。

一次検査の出願も終わり、いよいよ12月9日の本番が近づいてきました。合格に向けては、先ず一次検査を突破する必要があります。一次検査の得点は、二次検査の合否にも大きく影響を及ぼしますので、ここで大きなアドバンテージを得ることは、非常に重要です。

最後に、受検生の実力は、前日まで伸びますので、全ての受検生が全力を尽くせることをお祈りいたします。また、インフルエンザ等の感染症が猛威を振るっていますので、ご家族も含めて受験期間中は健康に過ごせることを切に願っております。

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令和6年度(2024年度)適正検査の変更点

令和6年度(現6年生)の適正検査より、新入生募集に関して大きな変更点が2点あります。1点目はインターネット出願への完全移行、2点目は男女の定員数の撤廃です。

インターネット出願に関しては、昨年も部分的にオリジナルのシステムで実施されましたが、今回からは私立中学受験ではお馴染みのmiraicompassに変更となります。学校説明会の申し込みがmiraicompassになったことがその布石だったのだ思いますが、特に私立校との併願をする方にとっては、登録の手間が省けますので朗報だと思います。

次に、東葛中及び県千葉中に入学できる男女の定員数が撤廃されることになりました。この情報は、受検生の間では周知の事実だったのかもしれませんが、私は令和6年度の募集要項で知りました。ちなみに、現役の東葛生の間でも、ちょっとした話題になっていたそうです。

元々、高校には男女の定員数はありませんし、都立高校も来年から男女の定員数が撤廃されますので、自然な流れなのかもしれません。

男女の定員数が撤廃されることにより高確率で起こることは、男子の易化と女子の難化です。これは、塾の模試などで男女別で出されている得点と偏差値の違いからもわかることです。

私が以前調べた適正検査の合格最低点でも、男女の得点差が約10点あります。このことから単純計算すると、男子のボーダーが約5点下がり、女子のボーダーが約5点上がることになります。5点の差は記述を除いて1〜2問分の差ですので、大きな差ではないのかもしれませんが、通常はボーダー付近に人数が集中する傾向がありますので、これまでとは違う結果になるケースが出てくるのだと思います。

夏休みも終わり、東葛高校(中学も)は文化祭の真っ只中です。久々の一般公開でもあり、受検を控えている6年生も見学する方は多いと思います。中学と高校では祭への取り組みに違いがありますが、東葛の勉強だけでない面を体験し、受検へのモチベーションを上げる意味でも良い機会になると思います。生徒たちが夏休み返上で準備してきた成果をぜひご覧ください。

最後に、これからは一次検査に向けて追い込みの時期になりますが、健康には気をつけて、全力を尽くせるよう応援しております。

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東葛生の進学先は?

東葛中に入学すると、高校受験はありませんが、その先の大学に関してはまた受験が控えています。東葛中を目指す動機は人それぞれですが、親としては、高校卒業後に、子供が進みたいと思う道へ進みやすい環境を提供したいという想いで、東葛中への進学を後押しするケースが多いのではないかと思います。

そこで今回は、東葛生の卒業後の進学先について、調べてみます。

東葛飾高校は、HPで現役と浪人合計の合格実績(重複合格含む)を公開していますが、内部向けには現役の進学結果も公開しています。

大学への進学は、親にとって関心の高い情報だと思います。そして、卒業生の学力面の実力をはかるには、重複のある合格実績よりも重複のない進学実績が適していると思いますので、本来は合格実績だけでなく、現役の進学実績も公開した方がよいと私は考えています。実際に、県立船橋高校は、進学指導重点校という位置付けだからかもしれませんが、進学実績まで公開しています。

今回は単年度の結果になりますが、2023年に卒業した東葛生が、現役でどのような大学へ進学したのかをまとめてみました。

先ず、卒業生316名中、現役で大学に進学したのは272名(専門学校進学を除く)です。現役での大学進学率は86%となり、東葛生の4割が浪人するという説は、昔の話のようです。

もう少し進学先を分類すると、現役で国公立大学防衛医大含む)へ進学したのは121名(進学率38%)で現役で大学進学した中の44%でした。その裏返しが私立大学になりますので、現役で151名(進学率48%)、現役中56%が私立大学へ進学しました。東葛高校では、6割弱が私立大学を選択しています。この情報は、学校のHPでも公開されています。ちなみに、海外大学への進学者はゼロです。

次は、現役の大学進学の内訳をいわゆる大学群でまとめてみます。

国公立大学旧帝大+一工の現役進学は、39名(進学率12%)でした。その内訳は、東京8、京都1、北海道4、東北3、名古屋1、大阪0、九州2、一橋11、東工9になります。

国公立大学で現役進学者が最も多いのは、筑波の34名(進学率11%)、次いで千葉29名(進学率9%)です。2割が筑波か千葉へ現役で進学したことになります。ちなみに3番目は一橋11名(進学率3%)でした。

私立の早慶上理GMARCHの現役進学は、111名(進学率35%)です。早慶だけに絞ると40名(進学率13%)、上理だけで24名(進学率8%)、GMRCHだけで47名(進学率15%)でした。

私立大学で最も現役進学者が多いのは、早稲田36名(進学率11%)、2番目は東京理科19名(進学率6%)、3番目が明治18名(進学率6%)でした。

国公立大+早慶上理GMARCHの現役進学は、232名(進学率73%)ですので、東葛高校の成績で7割以上のポジションにいれば、国公立大学かいわゆる難関私立大学に現役合格できるのかもしれません。もちろん、それらの大学に合格しながら浪人を選択する方もいると思いますので、実際の比率はもう少し上がる可能性があります。

これらの無機質な数字の裏側には、数字で語ることのできない苦悩や努力、さまざまな想いやストーリーがあると思いますので、私がどうこう意見を述べる立場ではありません。そして、東葛中学や東葛高校は、世間で言われる良い大学へ進学することを目的に選ぶ学校ではないことを、私自身も以前からお伝えしていますが、一般的にわかりやすく、客観的な数字でもあるため、今回は進学実績を取り上げてみました。

また、本来このような情報は、公立の高校こそ積極的に開示した方がよいと個人的には思いますので、今後情報公開が進むことを期待しております。さらに、残念ながら東葛中からの内進生の結果が公表されていませんが、それも大切な情報だと思います。(東大の現役合格8名中4名が東葛中出身だという説明だけあったようです)

それに最近私が感じている事は、東葛飾高校も、意外と言ったら失礼かもしれませんが、案外進学指導に熱心だという事です。先日開催されたPTA総会も、内容は「進学説明会」という感じだったそうですし、生徒に対しても、医歯薬コースへの選択を促したり、2年生からのコース選択も早い段階から意識付けしている印象です。

いずれにしても、実際に東葛に通っている中学生と高校生は、勉強もイベントも頑張っていますし、それらを楽しみながらたくさんのことを学んでいるようです。

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東葛中卒業そして東葛高校入学

少し前の話になりますが、我が子は3月に東葛中を卒業し4月に東葛高校へ入学しました。そして、中高一貫校である東葛中の内進生に対しても、中学の卒業式と高校の入学式は実施されました。

5月には、三大祭の一つのスポーツ祭(通称スポ祭)が開催され、我が子もクラスTシャツを着て競技に参加したようです。ちなみに、普通の高校の球技大会や体育祭は1日で終わると思いますが、お祭り好きな東葛では、3日間もスポ祭が開催されます。

入学後暫くは、部活をどうするのか、遠足はどこに行くのか(自分たちでいくつかの行き先を企画します)から始まり、スポ祭が終わった今は、定期テストも終えて、音楽祭や学校祭と、また祭の準備が始まっているそうで、いろいろ忙しく過ごしているようです。

おそらく、このようなイベントを重ねながら内進生と高入生との交わりが増え、同じ東葛生になっていくのかと感じています。

一方、我が子が東葛中を卒業したことで、私が東葛中のリアルな情報を入手していくことが難しくなったことも事実で、このブログを今後どのように維持していくかは悩ましいところですが、今のところは、高校の情報も交えて可能な限り継続していこうかと考えています。

東葛中の情報は、ネットからの一般的な情報しか持っていませんが、最近驚いたのは、先日募集をしていた授業公開に、民間システムのmiraicompassを使っていたことです。私立受験にとっては当たり前のシステムですが、変化が少ない高校と比べると、中学は今でも変化に積極的な印象がありますので、今後も期待したいと思います。

東葛高校の話題に戻すと、高校の授業に関しては、下馬評どおり東葛中とのギャップもあるようです。中学と高校の両方の授業を受け持っている先生もいますし、我が子と一緒に高校へ異動した先生もいるため、全員ではありませんが、東葛中のユニークな授業を経験していない先生が、従来型のインプット中心のスタイルの授業を実施していることも事実です。

この件に関しては、先生の入れ替えが少なくない公立高校の限界を感じる面もありますが、中学と高校の両方を受け持つ先生がいたり、中高の先生の入れ替えもあるため、学校がその課題の解決に取り組み、変化を起こそうとしていることも事実だと思います。

高校入学に際しては、中学と異なりパソコンが支給されないため、iPadSurface等のタブレット端末と、電子辞書(電子辞書はマストではない)を購入しました。他にも、学校での充電が不可のため、モバイルバッテリーを追加購入しています。私立と違って学費が安いのは助かるのですが、今時の公立高校は、このような出費が必要になるようです。

まだまだ我が子の東葛高校生活は始まったばかりですが、次回以降も東葛高校の情報を、親の目を通してお伝えしていこうと考えております。よろしくお願いいたします。

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公立高校入試のマークシート化と中学の適正検査への影響は?

令和5年度(2023年度)の千葉県の県立高校や市立高校における大量の採点ミスが発覚した問題について、動きがありました。

結論から言うと、マークシート方式が採用される可能性が高まりました。

これは、千葉県公立高等学校入学者選抜改善検討会議からの提言として示されていて、マークシート化は必然であり県教育委員会は早く予算化すべき、という方向性まで終盤では議論されていました。実際に採点に携わる先生からの要望も少なくなかったようですし、会議でも「ヒューマンエラーを防ぐことは難しい」と結論づけています。またマークシート化は学校の働き方改革にもつながることから、部分的かもしれませんがマークシート化の実現度はかなり高いと思われます。

もし入試が完全にマークシート化されれば、記述問題が無くなりますし、入試問題の易化が予測されます。少なくともこれまでとは問題の傾向が大きく変わることを示唆しています。

会議では、マークシート化による弊害として、思考力や表現力をみることが難しくなることも懸念していますが、東葛高校等で導入された「思考力を問う問題」で対応すればよいという意見もありました。

今後の予定は、今回の提言を受けて、7月中旬に県教育委員会が改善策を公表し、8月の高校の説明会にて具体的な説明がされるようです。

ただし、私が予測していた、「解答用紙の写しの返却」と「県立中学の適正検査の回数見直し」については議論されていないようですので、そこは変わらなさそうです。そもそも県立中学の適正検査自体が何も議論されていませんので、県立中学は何も変わらない可能性もあります。

いずれにしても、県教育委員会の結論を待つしかありませんが、保守的な県教育委員会が自らの改革に踏み込む意思を持っているのかの試金石にもなりますので、今後もこの動きを注視していこうと思います。

一番大切なことは、未来を担う子どもたちの可能性や能力を正しくはかるために、その手段である試験はどのようにあるべきか、どうなってはいけないのか、を考えることが重要だと私は思います。

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東葛中で身に付く英語力は?

東葛中は英語教育に力を入れていると言われています。授業は少人数制の20名単位、文法や単語の知識よりもチャンク(文節や文章のかたまり)や歌、動画等を使い、実際に英会話をしながら体で英語を覚える授業スタイルです。

また、学習面では、MYP(Makes You Powerful)と称するノートに毎日見開きページ以上の自習(書き込み)が求められます。この自習によって、授業時間では賄えない知識面やライティングの力を補完する仕組みになっています。

今回は、サンプル数1の結果ではありますが、我が子の英語力を参考に、東葛中3年間の英語教育で身に付けられる英語の実力を考えてみます。

先ず、我が子の英語歴を振り返ると、小学生の時は英語塾等には行かず、英語の知識は小学校の授業で得るのみでした。当時は、成績表の対象にもならないレベルの授業でしたし、覚えた英語は挨拶程度の印象です。(今の小学生は高学年から成績表で英語の評価が付くようです)

そして、東葛中の一年生からは、ほぼ英語の予備知識無しのフラットな状態で、しかもコロナ禍による休校期間につまずきながらの英語スタートでした。

東葛中における我が子の英語の成績ですが、定期試験の点数は、決して良いとは言えない成績です。地球が滅亡する前日までやらなければいけないと言われているMYPもサボりまくり(もしくは手抜き)でしたので、特に知識面はかなり怪しい状況でした。

実際に、テストの答案用紙を確認すると、単語や熟語、文法の知識に関しては、そんなことも知らないの?という印象でした。

当然ながら、英語の実力は不安材料満載でしたので、本人はかなり渋々でしたが、公的指標となる英検を受けさせて、英語の実力をはかることにしました。(学校からは英検受験の推奨などはありません)

その結果は、4級(中学中級程度)、3級(中学卒業程度)、準2級(高校中級程度)を順番に受けていき、どれも一発合格しました。正直なところ、どれも合格は難しいと思わせる勉強ぶりでしたし、中学卒業までに3級が取れるレベルに達していれば良いと考えていましたので、少々びっくりする結果でした。

ネットからの情報ですが、中学生の英検準2級の合格率は約38%なのだそうで、その38%には入れたようです。

準2級のスコアを確認すると、英検CSEスコアは2400点満点中の1900点台前半でしたので、満点スコアの80%以上は取れていました(正答率は70%強です)。ちなみに、準2級の合格基準は1728点(満点スコアの72%)です。我が子の英検CSEスコアの順位は、千葉県内の準2級受験者の上位8%でした。
※英検CSEスコアの説明は割愛します。

英検CSEスコアの内訳を見ると、特にリスニングは合格者平均を大きく上回っていました(リスニングの正答率は90%、スピーキングの得点率は91%)。リスニングとスピーキングの力が、合格に貢献したようです。

参考に、2級合格に必要な英検CSEスコアは1980点です。我が子の準2級のスコアが1900点台前半でしたので、知識面のリーディングやライティングをもう少し頑張れば、2級合格(高校卒業程度)も射程圏内に入るように思います。

また、英検バントという合格点との差を表す指標を見ても、一次試験の結果はまだ2級に届いていませんが、二次試験の結果は既に2級のレベルを大きく上回っていました。
※英検バントの説明も割愛します。

少しややこしくなりますが、英検では、他にもCEFR(セファール)という国際指標も出されて、我が子の場合はA2で「基礎段階の言語使用者」という評価でした。

補足情報ですが、ベネッセが実施しているGTECという英語試験を東葛中の生徒は受けています。5期生の中3の平均点が940点台で、CEFR-JというCEFRの日本版のような指標ではA2.2(810〜959点)「海外の高校の授業に参加できるレベル」であり、一つ上のB1.1「海外進学を視野に入れることができるレベル」の960点まであと一歩の評価でした。

ネット情報では、「中高一貫校であれば中3で英検2級以上は当たり前」みたいな書き込みも目にしますが、土曜日も授業のあるような私立に比べれば圧倒的に授業時間が少ないですし、我が子に関しては、自習量もかなり少ない割には「良くやったな」という感想です。

繰り返しになりますが、僅かサンプル数1の結果ですので、我が子一人の結果から東葛中の全てを語ることはできません。しかし、優等生とは言えない我が子の結果をふまえると、東葛中で普通に3年間過ごせば、英検準2級以上(ちゃんと勉強すれば2級以上)の力は自然に身に付く、と言えるのではないかと思います。

東葛中からも、中学3年間である程度英会話をできるようになる、という説明があったのですが、その看板に偽りはなかったようです。

これから東葛中を目指す方、これから東葛中で英語を学ぶ方は、我が子を反面教師とし、MYPをしっかりやって知識面を補えば、それなりの英語力は付くと思いますので、我が子のようにサボらずに地道に頑張って欲しいと思います。

そうすれば、東葛中の教育の総決算となる中3最後の海外研修(海外研修は1期生以来で、我が子の代の5期生から再開)も、思う存分楽しめるのではないでしょうか。

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公立高校の大量採点ミスが中学の適正検査に与える影響

令和5年度(2023年度)の千葉県立高校と市立高校の入試において、大量の採点ミスが発覚しました。県立高校92校で870件、市立高校6校で63件の採点ミスが見つかり、残念ながら県立高校4校で5名、市立高校1校で1名、本来合格とすべき受験生を不合格としていたことが判明しています。

個人的には、これ程の採点ミスがあったのであれば、これまでも全く起こらなかったとは考えにくく、また、高校だけでなく東葛中や県千葉中でも同様のことが起こった可能性は否定できませんので、再点検は必要ですし、今後同様のミスを起こさないための対策も必要です。

今回はこの件をふまえて、今後どのようなことが起こる可能性があるのかを考えてみます。

ただし、最初に断っておきますが、以下の見解は一個人の私見を述べているだけですので、東葛中や県千葉中を目指す子どもたちやその両親を動揺させる意図はありませんし、それが本意でもありません。

ぜひご自身でも情報収集をして正しく現状把握をした上で、今後の千葉県からのアナウンスを注視し、必要な対策をご検討いただきたいと思います。

ここからが本題です。先ず、来年度以降の千葉県公立高校入試及び県立中学の適正検査は、間違いなく今回の採点ミスの影響を受けると思います。そして、私が推測する変化は、以下3点です。

  1. 答案用紙の写しの返却(おそらく中高共に)
  2. 千葉県公立中学(東葛中、県千葉中、市立稲毛中)の適正検査と千葉県公立高校の入試問題の難易度の易化
  3. 千葉県立中学の適正検査が1回になる可能性もあり得る

3.は、既に来年度のスケジュールが発表になっていることもあり、可能性は高くないかもしれませんが、1.2.になる可能性は、かなり高いと私は考えています。そして、このようになると私が考える理由は、過去に神奈川県と茨城県で同様のことが起きたことと、その対応策が上記のようになった前例があるからです。

もう少し詳しく説明すると、神奈川県では、2016年度入試で県立高校88校で採点ミスがあり、その影響で2名が不合格になりました。また、2015年度入試でも71校でミスがあり、その影響で2名が不合格になりました。その対策は、答案の返却、一部マークシート化で、マークシート化により出題方式が変わると伴に記述問題が減少したため、難易度が易化しました。

茨城県では、2021年度入試で県立高校53校、県立中学7校で採点ミスがあり、その影響で3名が不合格になりました。また、2020年度入試で県立高校58校、県立中学5校で採点ミスがあり、その影響で1名が不合格になりました。その対策は、神奈川県同様に答案の返却、記述問題の減少で、その影響により問題の難易度が易化しました。

茨城県の県立中学の適正検査でどのようなことが起こったのか、更に詳しく説明します。

茨城県立中学の場合、適正検査は1日で終わる一発勝負なのですが、理数系の適性検査I(45分、100点)+国社系の適性検査II(45分、100点)を受検します。そして、採点ミスの発覚を受けて、記述式の問題がほぼ姿を消し、特に国社系の適正検査IIの難易度が大幅に下がり、満点付近の得点が続出しました。そのため、例えば並木中の場合、それまでのボーダーが200満点中100点程だったのに対して、ボーダーが50点程上がり、150点程に跳ね上がったようです。

神奈川県の場合は、マークシートが導入されたため、問題の傾向や難易度の変化はある程度予想できた気もしますが、茨城県の場合は、まさに青天の霹靂だったようです。

このような変化への対策は、日々取り組む問題の内容を偏らせることなく、しっかり勉強しておくしかないのですが、難関私立中を目指す子どもにとっては、益々有利になるように思えます。

また、私は神奈川県や茨城県の適正検査問題を解いたことがないのですが、それらが来年度の適正検査の参考になるかもしれません。

いづれにしても、ルールを決めるのも変えるのも、その権利を持つのは選ぶ側であり、受検生は与えられた条件を受け入れて、そのルールの中で勝負するしかありませんので、じっくりと実力を養っていただきたいと思います。

最後に、もしこのブログを千葉県の教育委員会の方が目にする機会があれば、今回の大量な採点ミスを機に、適正検査の回数を1回にすることを検討していただきたいです。2回の検査は、受検生はもちろんのこと、その家族、検査の対応が必要な学校の先生、授業時間が減る生徒、誰も得をしない制度だと私は考えています。検査回数を減らせば、ミスの確率も下がりますし、逆に今後増えるであろうチェックの手間も減ります。

学校の働き方改革にもつながる施策だと思いますので、ぜひご検討ください。

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東葛中塾別合格者数(2023年版)

東葛中の塾別合格者数が発表になっています。

そこで、今年も2023年の東葛中と県千葉中の塾別合格者数を調査しました。(見にくい表で済みません)

【2023年合格者数】※2月13日時点の集計

※両校の定員は80名
※占有率=塾別/塾合計×100%
※推定辞退者数=塾合計ー定員
※推定合格者数倍率=塾合計/定員
※個別指導の塾は重複の可能性が高いため除外
※提携塾を除いた合格者数が不明な四谷大塚は除外(現時点で未発表)

【参考1:通信教育の合格者数】
Z会:2023年 未発表、2022年 東葛飾9名 千葉19名
進研ゼミ:2023年 未発表、2022年 東葛飾10名 千葉3名

【参考2:2023年受検者数】
東葛飾793名、千葉570名

東葛中の合格者数トップは、もはや貫禄の域に達している市進学院59名で、おそらく過去最高を更新しました。更に注目なのは、県千葉中でもトップの46名で対前年+16名となり、こちらもおそらく過去最高を更新しました。実際の進学者数は不明ですが、東葛中で5割、県千葉中で3割を市進生が占める結果です。

兼塾の重複合格も多少あるとは思いますが、塾合計は、東葛中119名(対前年+3名)、県千葉中139名(対前年▲1名)となり、内定辞退者数は昨年と比較してあまり変化はなかったと思われます。また、実際の合格者数は、定員80名に対して東葛中1.5倍、県千葉中1.7倍の合格者数を出していると計算できます。

更に、両校には塾無しや通信教育で合格している層もいます。完全なる独学の塾無しは算出不可能ですが、通信教育大手のZ会と進研ゼミは、昨年度の合格者数を公表しています。Z会 東葛飾9名 千葉19名、進研ゼミ 東葛飾10名 千葉3名であり、これらを加えると合格者数は更に増加します。

参考までに、実質倍率を算出してみると、両校の受検者数は東葛中793名、県千葉中570名ですので、東葛中6.7倍、県千葉中4.1倍という結果になります。

今の時期は、新年度に向けて各塾が生徒の新規獲得に躍起になっている時期になりますし、東葛中や県千葉中の受検を検討している家庭にとっても、各塾の合格者数は非常に気になる情報だと思います。

最後に、これはいつも述べていることですが、実際の塾選びに関しては、志望校の合格者数だけでなく、立地や費用などの様々な条件で選定すると思います。仮に第一志望を東葛中や県千葉中で考えている場合は、どのようなコースから、何人が合格していて、実績に何人が進学したのかの情報が重要ですので、不明点は直接確認することを強くお勧めいたします。

2023年度東葛中の繰上げ合格

1月31日に東葛中と県千葉中の二次検査の合格発表が実施されました。

合格となった皆さま、おめでとうございます。

入学確約書の提出期限は2月1日の16時まででしたので、2月1日の夕方から2月6日までに繰上げ合格の連絡が実施されました。

ちなみに、来年2024年度のスケジュールも既に千葉県から公表されており、一次検査は12月9日(土)で結果発表が12月20日(水)、二次検査は1月24日(水)で合格発表が1月31日(水)となります。二次検査は曜日ではなく日にちでフィックスされたようですので、来年度以降の受験も、東葛中や県千葉中の合格をキープしながら東京の私立受験をすることが原則できなくなりました。

本題に戻りますが、繰上げ合格連絡の終了を受けて、各塾からの東葛中と県千葉中の合格速報がほぼ出揃いました。

塾別の合格者数の結果も気になるところですが、今回は繰上げ連絡が始まる2月1日16時よりも前の合格者数を発表したSAPIX早稲田アカデミー日能研の3塾の合格者数推移を確認してみます。

【2月1日 午後16時までの3塾別合格者数】

SAPIX 東葛飾7名 千葉13名
早稲アカ 東葛飾9名 千葉15名
日能研 東葛飾4名 千葉6名
3塾合計 東葛飾20名 千葉34名

【2月7日までの3塾別合格者数(繰上げ後)】

SAPIX 東葛飾9名 千葉26名
早稲アカ 東葛飾9名 千葉24名
日能研 東葛飾4名 千葉9名
3塾合計 東葛飾22名 千葉59名

上記のような結果になりました。

サンプル数が少なく、しかも最大の合格者数を輩出する市進のデータがないため、あくまで参考データになりますが、繰上げ後の増加倍率を比較すると、東葛中は1.1倍(20名→22名)、県千葉中は1.7倍(34名→59名)となりました。

過去からの傾向でも同様ですが、東葛中よりも県千葉中の方が、繰上げ合格者数が多い(辞退者数が多い)ようです。

先に記したように、2月1日から始まる東京の私立中学の結果を確認してから、東葛中や県千葉中へ入学確約書を提出することが原則できませんので(繰上げ合格することを前提にギャンブルで受験することも可能ではあります)、入学を辞退したのは、東葛中と県千葉中の二次検査日と合格発表日が重なった渋幕に合格した受験生が多かったのではないかと推測しています。

また、東葛中よりも県千葉中の辞退者数が多い理由は、県千葉中は渋幕との通学圏が被るため、県千葉中の方が渋幕との併願者が多いことが一因だと思います。

今回は3塾だけの調査でしたが、次回は各塾の最終的な合格者数を調査し、もう少し確度の高いデータで、繰上げ合格者数を推測してみたいと思います。

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ChatGPTに適正検査2-2の作文を解答させてみた

今話題のChatGPTをご存知でしょうか。

ChatGPTは、あのイーロン・マスク氏も出資していたOpenAIという団体が作り出したAIチャットで、数年で検索エンジンGoogleを駆逐するかもしれないとも噂され、世界を席巻しているGAFAなどのビッグテックや様々な業種、職種にとって破壊的ともなり得る新技術と言われています。

現時点では、日本語がまだ得意でないということもあるのか、質問内容によっては、間違った情報を自信満々に答えてくる場合があるのが難点ですが、注目すべき技術であることは間違いないようです。

今回は、ChatGPTに試験問題を解かせるとどのような解答を出してくるのか、2023年度適正検査2-2の最後の作文問題で試してみました。

なお、設問は、AIが理解しやすいように、一部私が要約や修正を加えております。また、文字数は15行以上20行以内という条件でしたので、一行20文字として、300文字から400文字以内としました。

【設問(入力した文章)】
※「 」内は私が書き加えた要約文です
※実際は余計な文字を削除して入力しています。

私の小学校で、六年生が卒業式前に、お世話になった方々へ感謝の気持ちを伝える活動を行うことになり、学級ごとにその内容を考えることになりました。そして、その活動の実行委員として活動を進めるための考えを、問題2「自分のための楽しみではなく、誰かのために時間や労力を使って一生懸命働く義務を果たすことがカッコいいのだ」と問題3「他への効力(効果を及ぼす力)を持つ存在になりたいという目的が、人間の学びの動機になる」という文章をふまえて、以下の条件に従って、書いてください。

以下の条件に従い、三つの段落に分けて書くこと。

一段落目の条件は、自分の学級が、誰に向けてどのような方法で伝えるのかを具体的に書き、その方法を説明すること。ただし、伝える相手は自分の学校の先生や子どもたち以外とする。

ニ段落目の条件は、問題2「自分のための楽しみではなく、誰かのために時間や労力を使って一生懸命働く義務を果たすことがカッコいいのだ」、という考え方を使って、どういうことを大切にして活動しようと考えるべきかを具体的に書くこと。

三段落目の条件は、実行委員として学級の活動を進めていく中で、問題3「始めたことを、渋々最後まで終わらせるよりも、嫌になったところで一旦やめて、また気分が上がったときに再開した方が良い結果になる」、という考え方を、どのように取り入れるかを書くこと。

文字数は、300文字から400文字以内で書くこと。

【ChatGPTの解答】

一段落目: 私たちの学級は、卒業式前に、保護者や地域の方々への感謝の気持ちを伝えることになりました。このために、学級一同で手作りのグリーティングカードを作り、地域のショッピングモールで展示することを計画しています。これによって、地域の皆さんに、学級一同からの感謝の気持ちを直接伝えることができます。

二段落目: 「自分のための楽しみではなく、誰かのために時間や労力を使って一生懸命働く義務を果たすことがカッコいいのだ」という考え方を大切にして、学級の活動を進めます。このために、グリーティングカードの作り方や展示の計画にあたっては、他人のために尽力することが大切だと考え、一人ひとりが最善を尽くすことを心がけます。

三段落目: 学級の活動を進める上で、「始めたことを、渋々最後まで終わらせるよりも、嫌になったところで一旦やめて、また気分が上がったときに再開した方が良い結果になる」という考え方を取り入れます。このために、グリーティングカード作りや展示の計画にあたっては、適切な休憩をとり、適宜休憩をとって、気分が上がったときに再開することが大切だと考えます。また、仲間と協力して仕事を進めることで、より良い結果を期待することができます。

【考察】

いかがでしょうか。

私は、なかなかの模範解答が出てきたように感じます。海外の学校で使用禁止になっている理由が理解できますし、段落や文字数制限の条件をしっかりクリアしている点も感心します。

また、題材となる文章は、私が要約したものですので、その文章自体もAIに読み込ませれば、更に精度が上がると思います。(私の要約力は自信ないので)

しかし、このAIの脅威は、テストや生徒に悪影響を与えるということではなく、文章の要約や論文を書く能力が、将来全く無意味になる可能性を示している気がします。(このAIが脅威となり得る理由は他にもたくさんありますが、今回は割愛します)

受験界では、要約の能力が重要視されていますが、その能力が将来を担う人材の「適正を検査」する判断基準となり得るのか、そのような能力はこれからも必要なのか、AIには取って代わることができない能力とは何なのか、考える時期なのかもしれません。

いずれにしても、もしこの解答を採点してそれなりの点数になるとしたら、次代のリーダーの育成を目指す教育機関として、AIにはない視点や発想を持っていたり引き出す力が必要なのか、それとも先ずはAIに負けない能力が必要なのかを考え、今後も同様の問題形式を千葉県は継続すべきか、違う方法があるのか、議論が必要だと私は思います。

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2023年度二次検査を解いてみた(適正検査2-2)

適正検査2-1に引き続き、適正検査2-2を解いてみました。

今回も、検査問題の内容の説明と、私見を述べたいと思いますが、先に今回の出題のメインテーマを説明しておくと、メインテーマは『義務』です。複数の文章における、義務に対する考え方や異なる視点が題材となっています。

【適性検査2-1】文系記述問題(ほぼ国語)

問題全体の構成は、大問1の放送問題、大問2と3の読解+大問3の最後の作文、という内容で、昨年とほぼ同様の構成でしたが、少し変わった点もあります。

昨年までは、放送問題をふまえて別の文章も読み、共通点などを回答する問題がありましたが、今年は放送問題と文章問題の設問内容が完全に分離されました。(おそらくテーマは共通なのだと思います)

また、放送問題の内容がわかりませんので、私は時間を計らずに解きましたが、文章の題材としては、小学生にとっても比較的理解しやすい内容がセレクトされた印象で、難易度は例年並みか、少し易化したかもしれません。

大問1.放送問題

最初は、例年どおりの放送問題です。二人が紹介した本の内容にある「今の自分がやるべきこと」と「共通した考え方」を指定された文字数で答え、次に「今後、行うとよいこと」を指定された言葉を使って書く、という問題でした。

大問2.読解問題

設問は、以下の二つの文章を読んで整理し、発表原稿を作る設定で、その原稿の空欄にあてはまる言葉を入れるものでした。

一つ目の文章は、宮本恵理子編・著『大人はどうして働くの?』という、宮本氏が7人の識者にインタビューしたものから、有川浩氏の『自分が楽しいから、好きだからではなく』を一部抜粋したものです。

文章の主旨は、「働く義務を果たせる理由は、誰かのためになっていると思えるからだ」というものでした。これは「利他」の考えのことだと私は思います。

二つ目の文章は、河野節也著『問う方法・考える方法』からの抜粋でした。

文章の主旨は、「他への効力(効果を及ぼす力)を持つ存在になりたいという目的が、人間の学びの動機になる」というものでした。これは「承認欲求や自己実現欲求」の考えのことだと私は思います。

今回の注目点は、もしかしたら受検生が読んだことがある可能性のある本が選ばれた点です。もし読んだことがあっても、特別有利になることは無いと思いますが、小学生でも理解しやすい題材にしたい、という意図があったのかもしれません。

大問3.読解問題&作文

文章は、武田双雲著『丁寧道』からで、始めたことを「義務感」に縛られながら最後までやり抜くよりも、嫌になったら一旦やめて、また気分が上がったら再開する方がいい結果になるという、大問2とは別の切り口の考えを説明したものでした。

設問は、最初は穴埋めで、武田氏の文章をまとめる問題でした。

次は、大問2と3の文章を読み比べて、義務と義務感の違いを答える問題でした。

最後は、例年どおり作文です。大問2と3それぞれの考え方の違いをふまえて、6年生が卒業前に、お世話になった方々へ感謝の気持ちを伝える活動を企画する設定で、決められた条件に従って自分の考えを記述する問題でした。

最後に

検査日当日は、午後に面接もあったため、とても疲れたと思います。しかし、時間をかけて受検の準備をしてきた子供にとっては、その集大成にふさわしい一日だったかもしれません。

そして、私がこの文章を書いている時点では、二次検査の結果はまだ出ていません。

綺麗ごとかもしれませんが、全ての受検生にとって、結果がどうであっても、良い経験になった、得るものがあった、と言える受検であったことを願っております。

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2023年度二次検査を解いてみた(適性検査2-1)

2023年1月24日(火)に、東葛中と千葉中の二次検査が実施されました。

検査日当時は、記録的な寒波の影響でとても寒く、しかも雨模様でしたので、受検生にとっては厳しい天候だったと思います。

千葉県の公式発表によると、東葛中と千葉中それぞれの二次検査候補者のうち、東葛中16名、千葉中21名が辞退したため、最終的な受検者数は、東葛中308名(男子157名、女子151名)、千葉中305名(男子154名、女子151名)だったそうです。

運命のニ次検査の結果は、1月31日(火)の午前9時に、学校への掲示とホームページにて通過者が発表される予定です。

今回も、二次検査の問題を入手しましたので、

先ずは、適正検査2-1の問題の内容と私見を述べたいと思います。

【適性検査2-1】理系問題(理科と算数)

今回の題材は、大問1が自動車が旋回する場合にタイヤが描く軌跡の問題、大問2がヒンメリという立体的な幾何学模様の飾りを吊るしたモビール(吊り合い)の問題でした。

私は、45分の時間内では全く解き終わらず、5〜6割程の回答率でした。本気で全問を解くのであれば、私には倍の時間が必要だと思います。(正当率は不明です)

問題の難易度は、例年よりも難解な問題が少なくて、比較的素直な問題であった印象です。

大問1.タイヤの軌跡問題(ほぼ算数)

最初は、自動車の四輪それぞれが描く円の半径を、縮小した図形から求める問題でした。内輪差やホイールベースなどの専門用語に惑わされず、図形の比がわかっていれば解ける問題でしたので、計算ミスに気をつければ、大丈夫だったと思います。

続いては、内輪と外輪のタイヤの回転数の違いを、計算式で表す問題でした。実際の自動車は、デフ(デフィレンシャルギヤ)という機能を使って、旋回時の内輪と外輪の回転数のギャップを解消しているのですが、今回はそこまで突っ込んだ問題は出しませんでした。(難易度を下げるために出さなかった可能性がある気がします)

続いては、三平方の定理を使って、別の自動車(バス)の場合の計算をする問題でした。この問題は、三平方の定理を知らなくても解けるのですが、知っていた方が、問題の意図をすんなり理解できたように思います。ただし、平方根を求めなければならないため、地道な計算が必要になり、後回しにした方が良いかもしれません。(簡単な計算方法があるのかもしれませんが、私はわかりませんでした)

前年に引き続き平方根が出題されましたので、千葉県教育委員会には、平方根マニアがいるのかもしれません。(私なら計算機を使います)

大問1の最後は、コンパスと三角定規を使った作図で、バスが左折する時に、どのような起動を描くかを作図するのですが、タイヤだけでなく、車体全体の大きさも考えなければならないことを考慮すると、少し厄介な問題だと思いました。

大問2.ヒンメリ(立体幾何学模様)問題(理科と算数)

最初は、ストローとテグス(釣り糸)を使って、ヒンメリの原型となる六面体を制作する問題です。

最初は、八面体を作るために、どのようなルートでストローにテグスを通せば良いか、という問題です。これは、少し考えればわかる問題だと思いました。

次は、八面体を9個つなげて輪の形を作る場合、必要なストローの本数とその公式を答える等差数列の問題と、最大で10個までしかつなげられない理由を記述する問題で、これは多角形の外角の和が360度であることを知っていれば、答えられたように思います。

その次は、ヒンメリが吊り合う吊るし方を答えるテコの原理の問題と、最後にヒンメリのストローを3種類の長さの金属製パイプに置き換えた上で、与えられた条件に基づいて作図する問題でしたが、ちゃんと作図できた子供は少数だと思います。

最後に、二次検査の対策は、正直なところとても難しいと思います。とにかく問題量が多いので、素早く設問の前提条件を理解して、時間をかけずに解ける問題を探し出して、一問でも多く解くことが、王道のように思います。

適正検査2-1の概要は以上になりますが、次回で適正検査2-2の内容に触れたいと思います。

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2023年度一次検査を解いてみた(適性検査1-2)

適性検査1-1に続き、適性検査1-2にも挑戦しましたので、問題の内容と私見を述べたいと思います。

【適性検査1-2】理系問題(理科と算数)

前半の大問は地球の自転、後半の大問は組み合わせがテーマでした。

今回の特徴は、例年よりも難解な問題が少なかった印象ですが、全体的な傾向は、例年どおりだと思います。少し気になったのは、難易度は高くないものの、やたらと計算が面倒な問題もあり、計算が得意な子供以外は手を出してはいけないと思われる問題もありました。私が45分の時間内で解答できたのは、2/3程度でした。(正解かどうかは不明です)

難易度は、例年よりもやや易化した気がしますが、素人の見解ですので、参考程度にお考えください。

以下で、各問題を詳しく見てみます。

大問1.地球の自転

大問1の最初の問題は、北極星を題材に、地球が自転する向きと、赤道と北極における、北極星の見え方の違いを問う問題でした。

次の問題は、「フーコーの振り子」(回転する台の上で振り子を動かす実験)を題材に、赤道上で計測した自転の速度の計算、回転する台から見た場合と真上から見た場合の振り子の軌道と周期、地球が自転する証拠を説明するために必要な調査内容の説明でした。

大問1の後半は、歩測とGPSの位置情報(緯度・経度)から、緯度と経度の細かい単位(分と秒)の意味を答える問題と、地球の円周を求める計算&説明問題でした。

ちなみに、私は自転速度と地球の円周の問題は、タイパが悪いと判断し、解きませんでした。

大問2.組み合わせ

大問2の前半は、人数が違う5年生と6年生の混合班の分け方、その分け方をxとyの式で表す方法、班分けの組み合わせを全て書く問題でした。

大問2の後半は、マス目状の通路に点在する施設を見学するルートが何通りあるのかを求める問題と、遊園地の乗り物別に移動時間・待ち時間・運転時間の3条件がある設定で、乗車回数と必要時間を求めたり説明する問題でした。

ちなみに、私は班分けの組み合わせを全て書く問題は、タイパが悪いと判断し、解きませんでした。

適性検査1-2については、全問解答を目指す必要はありませんので、時間内に一問でも多くの問題に解答することを考えながら、どの問題に手を出すかの見極めが必要だと思います。各問題の配点までは検査問題に記載されていませんが、過去問の配点は、時間がかかる問題でも、配点はさほど高くなかった印象です。

もし我が子にアドバイスするとしたら、「面倒な計算問題と組み合わせを全て出す問題は後回し」と言うと思います。

最後に、私がこの記事を書いたのは12月20日ですので、一次検査通過の発表は明日21日の朝9時です。我が子が受検生だった当時の今頃は、とても落ち着かない日々を過ごしていたことを今でも思い出します。

話は変わりますが、東葛飾高校は2024年に創立100周年を迎えます。来年2023年度に東葛中へ入学する8期生が高校一年生になると、高校創立101年となり、次の100年の歴史を築いていく生徒となります。そして、我が子は来年で中学を卒業し、高校一年生となります。

そのような区切りとなる年に東葛中に入学し、新しい歴史を共に築いていけるような結果が出ることを、陰ながらお祈りいたします。

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2023年度一次検査を解いてみた(適性検査1-1)

2022年12月10日(土)に、東葛中と千葉中の一次検査が実施され、今年も約2ヶ月にわたる長い戦いが始まりました。

千葉県の公式発表によると、東葛中と千葉中それぞれの志願者数、東葛中793名(男子396名、女子397名)、千葉中570名(男子292名、女子278名)に対し、実際は、東葛中774名(男子390名、女子384名)、千葉中564名(男子288名、女子276名)が受検したそうです。一次検査の結果は、12月21日(水)の午前9時に、学校への掲示とホームページにて通過者が発表される予定です。

今回は、今年も適性検査の問題を入手することができましたので、先ずは、一次検査の適性検査1-1に挑戦してみました。

以下に、問題の内容と私見を述べたいと思います。

【適性検査1-1】文系問題(ほぼ社会に少しだけ算数)

問題の主な題材は、賞味期限と保存食品、表示物のデザイン、問題解決の手法とサービスの電子化でした。

今回の特徴は、表やグラフの読み取りや計算が少な目で、考え方を問う問題が多く、子供にとっては難しいのかもしれませんが、大人にとっては答え易い内容でした。私は、45分の時間内でほぼ全問に解答することができました。(正解かどうかはわかりません)

全体的な感想は、昨年よりも難易度はやや易化した印象ですが、一方で、このような問題への対策をすることの難しさを感じさせる問題でもありました。

傾向としては昨年と同様で、前半は社会問題がテーマであり、後半はビジネスに用いられている考え方がテーマでした。

もう少し、各問題をみてみます。

大問1.食品関連(社会問題シリーズ)

一問目は、賞味期限の問題です。賞味期限は、3ヶ月以上の場合、日にちまで表示の必要がなく、仮に12月であれば、12月1日から30日までは11月とし、12月31日のみ12月と表示するルールなのだそうです。つまり、11月30日から12月30日までは11月、12月31日から1月30日までは12月となります。今回は、12月31日と1月10日の場合にどのような表示になるのかを問う問題でした。

この問題は、素直に説明文に従って考えれば良いのですが、私がひっかかってしまったのは、文章の最後に、「年月表示にすることで、捨てられてしまう食品が減る」という表現があった点です。上記のような表示ルールだと、本来の賞味期限日よりも最大で約1ヶ月前倒しになるため、フードロスの低減とは矛盾します。

私が調べたところ、この賞味期限のルールを設定したのは、フードロスが主目的ではなく、物流の効率化(働き方改革)が目的で、商品のロットを日別ではなく月別でくくることにより、検品やピッキング等の手間を軽減することが狙いの施策でした。

個人的には、最後の余計な一文を加えたことで、私のように、考え過ぎてつまづいた受検生がいなかったことを祈りたいと思います。(私はここで5分以上ロスしました)

次は、冷凍食品とレトルト食品の問題でした。

冷凍食品は、氷の結晶が大きく成長する「最大氷結晶生成温度帯」という、−5〜−1℃になる時間を短くして急速に冷却して作ることで、食品へのダメージを最小化する工夫をしていることを説明する文章とグラフの読み取りでした。

レトルト食品は、国内のレトルト食品と缶詰めの生産量の比率の問題でしたが、知識は不要で、棒グラフの読み取りができれば解ける問題でした。

その次は、乾物に関する計算問題でした。

乾燥わかめを水で戻して味噌汁を作る場合の、わかめの重さを求める計算方法を説明するのですが、聞き慣れない「もどし率」と「かさ密度」という概念を理解できれば解けたと思います。

食品シリーズの最後は、災害用の保存食を効率的に管理する、「ローリングストック法」という考え方の説明でした。ローリングストック法は、保存食を少し多めにストックし、賞味期限の早いものから消費し補充することを繰り返す方法です。この方法を実践することで、フードロスを無くせるだけでなく、滅多に食べない保存食の利用方法も把握することができる、一石二鳥の手法で、この利点を説明できるかどうかが鍵となる問題でした。

大問2.デザインによる問題解決(ビジネスシリーズ)

最初は、掃除用具をわかりやすく片付けられるようにするポスター制作の問題です。

デザインには、「デザインの4原則」として、まとめる、強調する、整列する、繰り返す、4つがあり、美化委員会で制作したポスターはどの原則を取り入れたのかを問う問題と、デザインに使われるテクニックの、「トンネル効果」と「矢印効果」を説明する穴埋め問題でした。

ちなみに、トンネル効果とは、全体を暗くして、強調したい対象だけ明るくする手法で、矢印効果は、言葉のとおり、矢印で強調する手法です。

次は、問題解決や改善のための仕組みも「デザイン」である、という考え方の説明文の穴埋め問題でした。

ビジネスの世界でも、デザイン思考とかビジネスデザインなどの用語が使われることがあるのですが、そのあたりからヒントを得て作成した問題だと思います。

ビジネスシリーズの最初の問題は、そのままでは手が汚れやすい黒鉛を、手を汚さずに使える鉛筆として開発するには、どのような問題解決のプロセスをたどったのかを説明する穴埋め問題でした。

その次の問題は、正にデザイン思考の手法を用いて、問題解決することを説明する穴埋め問題でした。

具体的には、行政サービスの電子化の仕組みと効果(ペーパーレス化による効率化)を解説した後に、この考え方を応用して、学年全体で実施するクイズ大会について、回答用紙の配布と集計方法を考える問題です。

クイズ大会の運営方法を、どのように改善すれば効率化できるのか、考えられたかどうかが鍵となったと思います。

最後に、適性検査1-1を解いてみて、冒頭にも述べましたが、事前対策がとても難しい問題が多いように感じました。

例えば、前半の社会問題シリーズは、社会問題に対する知識よりも、説明文の読解力や、グラフの読み取りが重要になります。

後半のビジネスシリーズも、小学生にビジネス書を読ませることは難しいので、聞き慣れないような考え方を読んで理解し、説明できるような力を身に付けておくことが必要になります。

つまり、具体的な対策は明示できないのですが、文章だけでなく、グラフやイラストも含めて、与えられた情報から読み解く力を養っておくことが大切だと思います。

次回は、適性検査1-2の記事を更新する予定ですので、もう少しお待ちください。

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東葛中の出願者数(2023年度入学)

2023年度(2023年来春入学)の千葉県立中学校(東葛飾中、県千葉中)の出願者数が千葉県より発表されました。両校の募集定員80名(男女40名ずつ)に対する出願者数は以下のとおりです。

【2023年度】

東葛飾:793名(男396名、女397名)

千葉:570名(男292名、女278名)

参考に、2022年度と比較すると、東葛中が▲72名減(前年比92%)、県千葉中が▲30名減(前年比95%)です。残念ながら、東葛中と県千葉中共に、過去最低の出願者数となりました。

そして、男女別にみると男子の減少数が大きいことがわかります。(東葛飾:男▲57名減 女▲15名減、千葉:男▲57名減 女+27名増)

出願者数減少の要因は、今回の二次検査の合格発表日が1月31日となり、入学確約書の提出が2月1日の16時迄となったことと、関係があるように思われます。

2月1日は、言わずと知れた東京の私立校の入試解禁日です。御三家中と呼ばれるような最難関の私立校などが一斉に受験日となり、当日の16時迄に合格発表がある学校はありません。つまり、東葛中や県千葉中を第一志望とせず、押さえ校として受験する層が回避したことと、無関係ではないと思います。ただし、男子の御三家中は、2022年度も併願できない日程でしたので、男子の出願者数が減少した理由は正直よくわかりません。

しかし、今回の受検日程は、千葉県教育委員会の思惑なのだと思いますが、入学辞退者数の減少につながる可能性が高いと私は考えています。入学辞退者の減少は、繰り上げ合格の連絡をする学校の負担低減にもなります。

更に、東葛中や県千葉中を第一志望に考えている子供にとっても、この動きは歓迎すべきことだと思いますが、入学辞退者数を多く輩出している塾にとっては、バッドニュースかもしれません。

いづれにしても、一次検査の12月10日まではもう僅かです。二次検査を突破するためにも、一次検査の得点が大きな鍵となりますので、受検生とそのご家族が心身共に健康な状態を維持し、最善の準備をした上で、受検本番で全力を出し切れることを願っております。

【参考データ:東葛中と県千葉中の出願者数推移】
※年度は入学する年度で表示(2016年度は東葛中1期生)

  • 2016年度 東葛飾1,157(男585、女572)千葉793(男426、女367)
  • 2017年度 東葛飾956(前年比87%、男493、女463)千葉770(前年比97%、男415、女355)
  • 2018年度 東葛飾820(前年比86%、男424、女396)千葉722(前年比94%、男387、女335)
  • 2019年度 東葛飾927(前年比113%、男474、女453)千葉677(前年比94%、男372、女305)
  • 2020年度 東葛飾865(前年比93%、男449、女416)千葉722(前年比107%、男364、女358)
  • 2021年度 東葛飾826(前年比95%、男438、女388)千葉605(前年比84%、男326、女279)
  • 2022年度 東葛飾865(前年比105%、男453、女412)千葉600(前年比99%、男349、女251)

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