2022年度二次検査を解いてみた
1月24日(月)は、千葉県立中学(東葛飾中、千葉中)のニ次検査でした。また、今年は昨年に引き続き、コロナ感染対策のために面接が中止になりました。
千葉県教育委員会の発表によると、東葛中の一次通過者327名のうち26名が辞退し301名(男子149名、女子152名)、千葉中の一次通過者327名のうち15名が辞退し312名(男子157名、女子155名)が実際に受検したそうです。運命のニ次検査の結果は、2月1日(火)の午前9時に発表される予定です。
今年も、父親想い?の我が子が、学校から検査問題を持ち帰ってきましたので、早速二次検査にチャレンジしてみました。
※以下は私の個人的な見解ですので、正確な情報は塾にお問い合わせください。
【適性検査2-1】(ほぼ算数)
問題量が多いため、私は制限時間の45分で解ききることは無理でした。問題量の傾向は例年どおりですが、全体的な難易度はやや下がったように感じました。
今回の特徴は、物理・化学系の理科問題が姿を消し、完全に算数だけになりました。問題構成は大問2問でした。
以下でもう少し詳しい内容を述べたいと思います。
先ず大問1は、正方形の面積を利用して、平方根(ルート)の小数点以下を求める問題でした。例えば、√2であれば、「ひとよひとよにひとみごろ」で覚えた、1.41421356の小数点以下の求め方です。仮に、面積5㎠の正方形の辺の長さを考える場合、√5の小数点以下を求めることになりますが、一辺3㎝では大きすぎて、一辺2㎝の正方形が中に納まるので、一桁目は2㎝とわかります。次に、残った長方形の面積から、小数点以下の数字に何が入るのかを考えていく問題です。
私の印象では、大問1の方がやや難しかったように感じました。
大問2は、細分化すると2つの問題に分かれていて、前半はテレビ画面のインチ数や画素数の計算方法で、主に面積比の問題でした。
後半は、液晶画面をテーマにした光三原色(RGB)の組み合わせ問題(場合の数)と、LED電球と白熱電球の費用の差(長く使えばLED電球の費用が安くなる)を求める問題でした。
私の印象では、私立中学の問題を解き慣れている子供にとっては、素直に解ける問題だと思いました。
【適性検査2-2】(ほぼ国語)
こちらは、放送問題があるため時間を計っては解きませんでしたが、ここ数年の問題傾向と大きな変化はなく、文章量が少し減った印象です。
今回の全体を通したテーマは「対話」でした。
「対話」は、私のブログでも何度か取り上げたキーワードであり、企業経営やマネジメントでも重要視されつつあるキーワードでもあります。
以下で、もう少し問題を深掘りしてみます。
問題構成は、大問3問でした。大問1が放送問題+補足文章、大問2と3は更に別の文章を読んで解く内容です。
大問1の放送問題+補足文章は、漫画家 竹宮惠子氏が「ヒット作品」の生まれるプロセスと考え方を述べた内容でした。読書への伝え方や編集部とのやり取りを取り上げています。
大問2は、2つの文書を読んで答える問題でした。最初の文章は、作家 今関信子氏の『弥生人の心にタッチ!』で、土器と対話することで弥生時代の情報を得ることと、外国人との会話との共通点を取り上げた内容でした。2つ目の文章は、現代美術家 宮島達男氏のインタビュー書籍『アーティストになれる人、なれない人』における、現代美術家 名和晃平氏、建築家 西沢立衛氏とのインタビューから取り上げられた文章で、建築家が施主へ提案する際の考え方を取り上げています。
大問3は、東京大学教授 梶谷真司氏の『考えるとはどういうことか』からの出題で、異なる価値観を持つ人との対話から、これまで当たり前と考えていた前提条件を問い直すことが可能となり、新たな気づきや深い洞察を得ることができることを取り上げています。
そして最後は、これまでの文章をふまえて指定された条件に従い、運動会の実行委員長として、「楽しい運動会」にするための案を記述する問題でした。
前述したとおり、出題の共通テーマは「対話」ですが、対話はあくまでも相互理解や新たな価値を生み出すための手段であり、ダイバーシティ&インクルージョンが隠された真のテーマだと私は思います。
ダイバーシティ&インクルージョンも、過去に私のブログで今後注目のテーマとして取り上げた言葉です。
ダイバーシティ&インクルージョンは、ビジネスでも注目されつつある考え方です。ダイバーシティ(多様性)の理解には対話が不可欠ですが、最も重要なのは、多様性のある環境と対話から生み出されるイノベーションであり、それを実現できている状態がインクルージョン(包摂性、包括性と訳されています)なのです。
ダイバーシティ&インクルージョンは、昨年開催された東京オリンピック・パラリンピックのテーマでもありましたので、問題の作成者は、このあたりからもヒントを得て問題を作ったのではないかと思います。
【まとめ】
一次検査も含めた2022年度の適性検査は、昨年に引き続き問題が易化傾向にあるように感じます。
気になる合否のボーダーラインですが、これも昨年と同様、東葛中も千葉中も200/400点を超えるのではないかと予想します。
※完全に素人予測ですので、参考程度にお考えください。
もし来年度以降もこの傾向が続くのであれば、従来の5割の得点で合格、という定説が崩れて、6割位の得点が今後の目安となるかもしれません。
※追記:東葛中に関しては180点前半で合格したとの情報がありました。私の予想は見事に外れ、実際は易化ではなく前年よりも難化したようです。
最後に、気休めかもしれませんが、結果は過去の取り組みに対する評価であり、未来の取り組みへの評価ではありませんので、未来は変えられます。そして、中学受験において一番大切なことは、受験生本人が充分に準備し、本番で持てる力を発揮できたと感じられたかどうかだと思います。
今回どのような結果であっても、受験に対して全力で取り組んだ経験が無駄になることはありませんし、中学以降の過ごし方が重要ですが、今は受験生やそのご家族が、納得のできる受験を終えられることを、陰ながら応援させていただきます。