東葛中合格への道

2020年東葛飾中学合格。家族で挑んだ初めての中学受験3年間を父親目線で振り返る。入学後の情報も更新中。

2023年度一次検査を解いてみた(適性検査1-1)

2022年12月10日(土)に、東葛中と千葉中の一次検査が実施され、今年も約2ヶ月にわたる長い戦いが始まりました。

千葉県の公式発表によると、東葛中と千葉中それぞれの志願者数、東葛中793名(男子396名、女子397名)、千葉中570名(男子292名、女子278名)に対し、実際は、東葛中774名(男子390名、女子384名)、千葉中564名(男子288名、女子276名)が受検したそうです。一次検査の結果は、12月21日(水)の午前9時に、学校への掲示とホームページにて通過者が発表される予定です。

今回は、今年も適性検査の問題を入手することができましたので、先ずは、一次検査の適性検査1-1に挑戦してみました。

以下に、問題の内容と私見を述べたいと思います。

【適性検査1-1】文系問題(ほぼ社会に少しだけ算数)

問題の主な題材は、賞味期限と保存食品、表示物のデザイン、問題解決の手法とサービスの電子化でした。

今回の特徴は、表やグラフの読み取りや計算が少な目で、考え方を問う問題が多く、子供にとっては難しいのかもしれませんが、大人にとっては答え易い内容でした。私は、45分の時間内でほぼ全問に解答することができました。(正解かどうかはわかりません)

全体的な感想は、昨年よりも難易度はやや易化した印象ですが、一方で、このような問題への対策をすることの難しさを感じさせる問題でもありました。

傾向としては昨年と同様で、前半は社会問題がテーマであり、後半はビジネスに用いられている考え方がテーマでした。

もう少し、各問題をみてみます。

大問1.食品関連(社会問題シリーズ)

一問目は、賞味期限の問題です。賞味期限は、3ヶ月以上の場合、日にちまで表示の必要がなく、仮に12月であれば、12月1日から30日までは11月とし、12月31日のみ12月と表示するルールなのだそうです。つまり、11月30日から12月30日までは11月、12月31日から1月30日までは12月となります。今回は、12月31日と1月10日の場合にどのような表示になるのかを問う問題でした。

この問題は、素直に説明文に従って考えれば良いのですが、私がひっかかってしまったのは、文章の最後に、「年月表示にすることで、捨てられてしまう食品が減る」という表現があった点です。上記のような表示ルールだと、本来の賞味期限日よりも最大で約1ヶ月前倒しになるため、フードロスの低減とは矛盾します。

私が調べたところ、この賞味期限のルールを設定したのは、フードロスが主目的ではなく、物流の効率化(働き方改革)が目的で、商品のロットを日別ではなく月別でくくることにより、検品やピッキング等の手間を軽減することが狙いの施策でした。

個人的には、最後の余計な一文を加えたことで、私のように、考え過ぎてつまづいた受検生がいなかったことを祈りたいと思います。(私はここで5分以上ロスしました)

次は、冷凍食品とレトルト食品の問題でした。

冷凍食品は、氷の結晶が大きく成長する「最大氷結晶生成温度帯」という、−5〜−1℃になる時間を短くして急速に冷却して作ることで、食品へのダメージを最小化する工夫をしていることを説明する文章とグラフの読み取りでした。

レトルト食品は、国内のレトルト食品と缶詰めの生産量の比率の問題でしたが、知識は不要で、棒グラフの読み取りができれば解ける問題でした。

その次は、乾物に関する計算問題でした。

乾燥わかめを水で戻して味噌汁を作る場合の、わかめの重さを求める計算方法を説明するのですが、聞き慣れない「もどし率」と「かさ密度」という概念を理解できれば解けたと思います。

食品シリーズの最後は、災害用の保存食を効率的に管理する、「ローリングストック法」という考え方の説明でした。ローリングストック法は、保存食を少し多めにストックし、賞味期限の早いものから消費し補充することを繰り返す方法です。この方法を実践することで、フードロスを無くせるだけでなく、滅多に食べない保存食の利用方法も把握することができる、一石二鳥の手法で、この利点を説明できるかどうかが鍵となる問題でした。

大問2.デザインによる問題解決(ビジネスシリーズ)

最初は、掃除用具をわかりやすく片付けられるようにするポスター制作の問題です。

デザインには、「デザインの4原則」として、まとめる、強調する、整列する、繰り返す、4つがあり、美化委員会で制作したポスターはどの原則を取り入れたのかを問う問題と、デザインに使われるテクニックの、「トンネル効果」と「矢印効果」を説明する穴埋め問題でした。

ちなみに、トンネル効果とは、全体を暗くして、強調したい対象だけ明るくする手法で、矢印効果は、言葉のとおり、矢印で強調する手法です。

次は、問題解決や改善のための仕組みも「デザイン」である、という考え方の説明文の穴埋め問題でした。

ビジネスの世界でも、デザイン思考とかビジネスデザインなどの用語が使われることがあるのですが、そのあたりからヒントを得て作成した問題だと思います。

ビジネスシリーズの最初の問題は、そのままでは手が汚れやすい黒鉛を、手を汚さずに使える鉛筆として開発するには、どのような問題解決のプロセスをたどったのかを説明する穴埋め問題でした。

その次の問題は、正にデザイン思考の手法を用いて、問題解決することを説明する穴埋め問題でした。

具体的には、行政サービスの電子化の仕組みと効果(ペーパーレス化による効率化)を解説した後に、この考え方を応用して、学年全体で実施するクイズ大会について、回答用紙の配布と集計方法を考える問題です。

クイズ大会の運営方法を、どのように改善すれば効率化できるのか、考えられたかどうかが鍵となったと思います。

最後に、適性検査1-1を解いてみて、冒頭にも述べましたが、事前対策がとても難しい問題が多いように感じました。

例えば、前半の社会問題シリーズは、社会問題に対する知識よりも、説明文の読解力や、グラフの読み取りが重要になります。

後半のビジネスシリーズも、小学生にビジネス書を読ませることは難しいので、聞き慣れないような考え方を読んで理解し、説明できるような力を身に付けておくことが必要になります。

つまり、具体的な対策は明示できないのですが、文章だけでなく、グラフやイラストも含めて、与えられた情報から読み解く力を養っておくことが大切だと思います。

次回は、適性検査1-2の記事を更新する予定ですので、もう少しお待ちください。

f:id:hikayojuken:20221215235755j:image