東葛中合格への道

2020年東葛飾中学合格。家族で挑んだ初めての中学受験3年間を父親目線で振り返る。入学後の情報も更新中。

東葛中に関する相談

東葛中の受検に関して、妻が相談される機会が増えたそうです。その内容を聞くと、東葛中や受検(受験)に関して誤解や情報収集不足があるようです。今回は何点か気になった内容について、私なりの考えを述べてみます。

東葛中は大学受験に有利?

いわゆる良い大学に合格することを目的に、東葛中を目指すことはお勧めしません。東葛中は(高校も)、大学受験で不利になることもないと思いますが、任せておけば大学受験まで安心な学校では無く、自主自律の言葉どおり結局は本人次第、むしろ大学生や社会人になってから役立つ知識や経験を得られる学校だと思います。

ビジネスの世界では、加速する世の中の変化に対応し生き残るために、一人の天才や一つの企業が生み出すアイデアよりも、多様な人材の交流やコラボレーション、企業同士の共創から生み出される非連続な(これまでの延長線上でない)イノベーションや成長を重視する考え方にシフトしています。そのためには、相互理解と自律的に個の力を高め続けることが必要で、東葛中での取り組みや経験は、その基礎になると思います。

例えば、東葛中はグループワークやディベート、ビブリオなどのプレゼンやアクティブラーニング中心の授業で、対話や交流による相互理解と共創に重きを置いています。そのためには、授業だけでなく朝や放課後にグループで打ち合わせしたり家での準備も必要ですし、授業で何かを決めるにも議論が必要な校風のため、はっきり言ってとても面倒くさい学校です。我が子はそれが楽しいようですし、それを期待して入学しました。実際に自分の席に座って授業している時間はあまり無いそうですし、それらの面倒とも言えるプロセスを経験することによって、相互理解や共創の手法を学ぶのだと思います。

また、英語の授業は、英語を使えるようになることを目指していますので、授業は話すこと中心で、英単語や文法の知識は自習で身に付けることが必要です。もちろん、先生に相談すれば自習方法を教えてくれますし、そのためのテキストも沢山用意されていますので、大学受験のようなペーパーテストを突破する力を身に付けるには、授業だけでなく自主性も必要になります。このことは、英語以外の教科も同様だと思います。

東葛には中学の方が受かりやすい?

東葛中と東葛高校の合格難易度の比較は難しいですが、一般的に中学受験の方が大変だとする意見が多いと思います。私も総合的に考えて親子の苦労が多いのは中学受験だと思いますし、特に我が家のように私立対策もする場合の勉強量は、相当な量だと思います。その理由は、小学校で学ぶ範囲(もしくは深さ)を完全に超えた内容を勉強するからです。実際に中学校で学ぶ内容(特に知識面)を確認しても、既視感のある内容は多々あります。ちなみに、私自身の高校受験や大学受験は受験戦争と言われた時代ですが、私よりも我が子の中学受験の方が勉強していると思います。

参考に、別の視点として2020年の中学と高校の募集定員や受検者数を比較してみます。東葛中は80名(男女40名ずつ)の入学ですが、仮に東葛中の入学辞退者が半数いるとすると約120名が合格します。一方で高校からは240名入学できて、辞退者は稀と思われますので、単純比較で合格者数の差は2倍です。倍率で比較しても、東葛中は865名が受検し、辞退者を含めた推定合格者数を120名とすると推定倍率7.2倍です。一方で、東葛高校は前期後期合わせて672名が受験し合格者数が241名で倍率2.8倍ですが、前期後期の重複受験もあるため、実質倍率はもっと低い筈です。(2021年から一発試験に変わります)

※追記:2021年の東葛高校の倍率は1.8倍でした。

また、中学からは英語が増えるため、科目の少ない東葛中の方が受かりやすい、という考えもあるそうですが、受験生は皆同じ条件ですので、科目数と難易度の相関は弱いと思います。中学受験と高校受験では受験者層も違いますが、仮に東葛高校に行くことが目的なのであれば、無理に東葛中を受検する必要は無く、高校受験で良いと思います。

親と子供の希望中学が違う

これは最も問題のあるケースだと思います。東葛中に限らずどこを受験しても同様ですが、親と子供の希望する学校が一致しない場合は、親子でしっかり話し合うことが先だと思います。本来は「塾選びの前に決めるべきこと」でも説明したとおり、もっと早い段階で親子の方針を一致させて、お互い納得した状態で、家族一丸となり受験に臨むべきだと思います。

もちろん、費用を負担するのも総合的な判断力があるのも親ですが、「何のために中学受験するのか?」「そのためにどの学校に行きたいのか?」は非常に重要な問いです。この点だけはしっかり話し合ってお互いに納得した状態になることが必要です。

親子の方向性を一致させずに良い結果を残せる程中学受験は甘くないと思いますし、親が希望する学校に無理に通学しても、充実した中高生活を送ることが難しくなるリスクが残ります。

妻が聞いたケースでは、東葛中の二次検査合格後に子供を説得する予定での相談だったのですが、東葛中に合格するために3年間の苦悩と研究を重ねた我が家にとっては、一次検査も受けていない段階で、東葛中に合格すること前提なのが驚きで、とても複雑な気持ちになりました。

小学校への配慮も必要

東葛中の場合は、一次検査を通過すると書類提出で小学校に依頼が必要になりますので、一次通過が決まったら直ぐに小学校へ書類作成の依頼をした方が良いです。

私立でも成績表の提出が必要な学校がありますし、同様の依頼が同時期に集中しがちですので、早めに先生に情報共有することが必要です。そもそも中学受験の書類作りが小学校の本業ではありませんので、受験のための対応は学校や先生にとって業務負荷を増やす要因であることの認識と配慮が必要だと思います。

また、私立受験が平日の場合は、公休として欠席扱いにしない学校もあります。学校を休むことに抵抗感のある子供もいると思いますので、その点も事前に確認してみて下さい。

東葛中はコスパが良い?

東葛中に行くことが本当にコスパが良いかどうかは、大学受験までにかかる費用をトータルで試算する必要があります。

東葛中は義務教育の公立中学ですので、学費は不要です。但し、副教材費、合宿や海外研修の積み立て、保護者会費、通学代などの費用はかかりますし、一般の公立中学同様に制服代や給食費なども必要です。ちなみに、制服は私立よりも安い印象でした。旅行関係の積み立て額は3年間合計で60万円余りです。

学費が年間100万円前後かかると言われる私立と比べれば、費用は格段に安いと思いますが、東葛中に合格する力があれば、私立に特待合格できる可能性もありますので、私立と大きな差にならないケースもあります。

また、東葛中でも通塾を継続している生徒は少なからずいます。東葛中で通塾する理由は様々だと思いますが、中学受験の費用と中高での通塾も含めて資金計画を考える必要があります。

参考に、ネットから拾い集めた情報のためご自身でも確認していただきたいのですが、集団塾のフルコースで考えた場合、中学受験の通塾費用は3年間で200〜300万円(公立のみ受験2年通塾で100万円)、中高一貫校で通塾すると中学3年間で80万円、高校受験の通塾費用は中学3年間で200万円、大学受験の通塾費用は高校3年間で200万円という情報がありました(通う塾、受験校、教科数等の条件で変動します)。お金の話をすると頭がクラクラしてきますが、そのような現実を事前に調査して理解しておくことは必要だと思います。

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