東葛中合格への道

2020年東葛飾中学合格。家族で挑んだ初めての中学受験3年間を父親目線で振り返る。入学後の情報も更新中。

中学受験を決めたもう一つの理由

今回は、我が家が中学受験を決めたもう一つの理由に触れたいと思います。

東葛中受検を決めた一番の理由は、東葛中のアクティブラーニング中心の授業スタイルを我が子が希望したことにありましたが、もう一つの理由は、一般の公立中学における内申点稼ぎから我が子を解放したいという思いでした。

我が子の学区の公立中学では、内申点の加点を得るために、入りたくもない部活やボランティア活動などをしなければならない、という話しを以前より諸先輩方から耳にしていました。

もちろん、部活に打ち込みたい、ボランティアで社会貢献したい、という純粋な希望があるのでしたら、それはとても良いことです。しかし、それらが内申点の加点を目的とした手段になっているのであれば、私は違和感を感じてしまいますし、教師と生徒との歪んだ力関係が生じることも否定できないと思います。

定期試験以外で内申点を稼ぐという思想は、私が中学生だった頃よりも更に昔からあったことは事実ですし、中学生だった私もそのために英検を取ったことを思い出しますが、未だにこの風習が何十年も続いていることに、私は疑問を感じずにはいられません。

しかも、定期試験以外の要素も加味される内申点の採点方法は曖昧で明確な基準もなく、主観的要素が介在しています。通知表が絶対評価に移行したという割には、進学する中学の評価基準や平均学力の環境が違うだけで、同じような学力でも評価にギャップが出るケースを耳にします。評価を公平にすることは難しいと思いますが、公正な制度として運用されることは必要だと思います。

一方で、人を評価することの難しさも承知しています。例えば、以前から企業は成果主義へシフトすると言われていますが、実際には曖昧なプロセス評価の要素を残す企業も少なくありません。結果よりも、チャレンジしたことや多くの人を巻き込んだり同僚への貢献を評価する取り組みもありますが、未だにどの企業も完璧な評価制度を実現できていないことは事実だと思います。

中学校の内申点の扱われ方は、都道府県によって違いがあるようですが、千葉県においては、一部の進学校を除き、未だに内申点が存在感を持っていることは事実だと思いますし、その存在感が増す傾向にあるようにさえ感じます。

そして、内申点の存在感が増している要因は、公立高校の入試で内申点が加味されることよりも、私立高校における併願推薦(優遇、確約)という特殊な選考方法にあると思います。

併願推薦(優遇、確約)の仕組みは、都道府県によって運用方法も様々なようですが、中学の先生もしくは親が私立高校と直接交渉(事前相談)して、第一志望の公立高校が不合格だった場合に入学確約することを条件に、受験の前から合格内定を貰えてしまう制度です。(埼玉県は先生ではなく親が高校と直接交渉するそうで驚きました)

これは、入学者を事前に確定したい高校、中学浪人だけは阻止したい中学校、事前に安心したい受験生と親、三方にwin-win-winが成り立つ仕組みですが、その判定に使用されるのが内申点です。(地域によっては模試の成績が考慮されたり塾推薦もあるそうです)

併願や単願の推薦制度は否定しませんし、それなりに意味のある仕組みだと思いますが、重要な判断材料の内申点を決めるプロセスや基準が極めて不透明な点は、問題があると思います。

推薦を得るには、私立高校が提示する内申点を上回る必要がありますが、例えば、希望する学校に内定するための内申点が少し足りない場合、先生や親はどのような行動に出るでしょうか?1点でも足りなければ素直に諦めるでしょうか?

もし私が先生であれば、どうにか生徒に加点できる方法を考えるかもしれませんし、内申点が関係のない進学校志望の生徒の点を動かしてしまうかもしれません。親であれば、中学や高校に泣きついてしまうかもしれません。しかも、推薦を決定するプロセスには、中学と高校もしくは学校と親の「交渉」という要素が含まれていることは周知の事実です。

企業においても、そろそろ昇格させたいから今回はあいつの評価を良くしよう、という話しを実際に耳にした経験がありますが、「そろそろ」の人と一緒に、もし自分が実力で同じ土俵に立たされたとしたら、間違いなく不満に思う筈です。

そのような背景を考えれば、特に中学3年生の内申点が、機械的に決まるとはとても思えないですし、そのさじ加減の被害を受ける受験生もどこかにいる筈です。そして、中学3年生の最後の内申点を決める会議が中学校で開催され、私立高校の推薦が決まり出すのが、奇しくも東葛中の一次検査が実施される12月なのです。

これらの要素をふまえると、交渉や情報収集において高校受験で親の出る幕が無いのは幻想ですし、推薦入学が増加傾向にある大学受験も、同様の現象が起こってもおかしくないと私は思います。(念押しですが、推薦の制度自体は悪いことではないと思います)

もちろん、東葛高校にも大学の指定校推薦があると思いますし、大学の選考方法も多様化していますので、我が子がこの先も内申点と無縁ではない可能性はありますが、少なくとも中学3年間の多感な時期に、内申点を気にせず思い切り自分の好きなことに打ち込めるのは、大きなメリットだと思います。実際に、東葛中では教師と生徒に比較的フラットな関係が築けている印象があります。

中学受験でも、東葛中や千葉中、一部の私立校の合否判定の一部に内申点が使用されていますが、高校受験のような交渉事や先生の最後のさじ加減のような要素は少ないと思いますので、ほぼ試験の結果で決まる中学受験が最も純粋な受験のように思えます。(中学受験でも一部で推薦がありますが、高校や大学のような交渉はあまりないと思います)

[小学校の内申点についての参考記事]
「内申点の考察」

間もなく東葛中の一次検査が始まります。ある意味過酷かもしれませんが、中学受験はほぼ試験だけで勝負が決まる世界です。体調に気を付けて、それぞれの受験生が本番で100%の力を出し切れることを切に願います。

f:id:hikayojuken:20201130224704p:image