東葛中合格への道

2020年東葛飾中学合格。家族で挑んだ初めての中学受験3年間を父親目線で振り返る。入学後の情報も更新中。

合格最低点の考察 2021年版

過去問を解く際に、各年度の合格最低点いわゆるボーダーラインを知っておくことは重要です。今回は、ネット上に出ている得点開示請求の情報を元に、2021年の検査のボーダーラインを考察してみます。

先ず予備知識として、千葉県立中学(東葛中と県千葉中)合否は、一次検査+二次検査+内申点+面接点によって判定されているというのが"通説"です。何故"通説"なのかと言うと、正式には合否判定の計算方法が具体的な数字で明文化されていないからです。

そこで、今回は最も分かりやすい一次検査と二次検査の合計得点のみで、ボーダーラインを考えてみます。ちなみに、一次検査+二次検査はそれぞれ200点の計400点満点ですが、合計200点前後が毎年のボーダーラインの目安と塾からは聞きました。(千葉県から合格最低点の情報開示はされません)

もちろん、多くの受検者を輩出している塾であれば、1点単位の合否データを持っているかもしれませんが、ネット上では具体的な情報が非常に少ないため、合格者数の少ない塾へ通っていたり塾なしの受検生にとっては非常に貴重な情報です。我が子の受検でもその点に苦慮しました。

ネット上の情報による得点開示請求の結果は、以下のとおりです。

東葛飾中】

2021年:男子 220点で不合格(合格点の情報なし)、女子 210点で繰り上げ合格

【県千葉中】

2021年:男子 233点で不合格、230点前半で繰り上げ合格、女子は情報なし

情報はこれだけですが、今回は貴重な東葛中の情報もありました。女子のボーダーが男子よりも10点程低く、更に東葛中のボーダーが県千葉中より10点低いと仮定すると、内申点の差も多少あると思いますが、東葛中は男子220点前半、女子210点弱、県千葉中は男子230点前半、女子220点弱と推察されます。

過去のボーダーについては、「得点開示請求からの合格最低点」で記載していますが、2020年の東葛中のボーダーが160~170点、県千葉中のボーダーが170~180点と仮定すると、2021年は2020年よりも約40点もボーダーが上がったことになります。2020年の問題(特に二次検査)が難し過ぎたため、2021年の問題が前年よりも軟化することは予測していましたし、私自身が実際に問題を解いてみた感触でも例年並みの難易度と思っていましたが、予想以上にボーダーが上がったため正直驚きました。

[2021年の一次検査と二次検査の問題に関する記事]
「2021年度一次検査を解いてみた」
「2021年度二次検査を解いてみた」

ここからは私の勝手な推測です。今回ボーダーが上がった理由は、問題の軟化だけでなく、今年の受検生が優秀だったとも考えられますが、記述の採点基準が緩くなった(部分点を多めに与えるようになった)可能性もあるように私は考えています。

その理由は、2020年に受検した我が子の記述(特に適性検査2-2)の得点が自己採点と比べて予想外に低かったからです。我が子を過大評価しているつもりは無いのですが、我が子は典型的な文系で、過去問の得点源は記述中心の適性検査2-2でしたし、模試や特別講習でもそのような結果でした。しかし、得点開示の結果では、適正検査2-2の結果が想像以上に低く、問題傾向が大幅に変わったことを考慮しても正直びっくりする点数でした。前評判でも記述の採点基準が厳しいという情報を得ていましたが、実際に非常に厳しい採点基準だったと感じています。

そのため、2021年の適性検査2-2の難易度が軟化したとはいえ、今回程に合格最低点を引き上げたのは、採点基準そのものを見直した可能性を否定できないように私は思います。

詳しい分析結果は、プロである塾に聞くことが間違いないと思いますが、ここ数年の検査の結果から、私は千葉県の検査に対する考え方に変化を感じています。例えば、2021年の問題文の説明(本文ではない)は以前より分かりやすくなったように感じましたし、減点よりも加点する方針に転換したのかもしれません。もしそうだとすれば、子供の悪い所よりも良い所を見ようとしていると解釈することができますので、「検査」という建前を考えても、良い傾向だと思います。

一方で、個人的な意見やアイデアを問う問題はほぼ姿を消し、ある条件を与えた上で論理的な思考のみを問う問題に変わってきた印象もあります。これが良いか悪いかは論じませんが、難関私立向けの勉強を積み重ねた受験生にとっては、益々対応し易い問題になってきたようにも感じます。

これ以降は、これから受検する子供やご家族のためにも、私の勝手な要望を2つ書かせていただきます。

1つ目は、適正検査の回数を千葉県立高校と同様に1回に集約することです。2ヶ月間の長期に渡って12歳程の受検生とその家族にストレスを与え続ける理由が理解できませんし、このために東葛中(県千葉中も)の生徒の授業時間は減り、逆に学校の先生の負荷は増えます。これは、正直誰も得していない仕組みだと思います。

2つ目は、記述の採点基準(部分点の考え方等)や内申点(報告書)の計算方法も公開することです。参考に、千葉県立高校の内申点の計算方法は公開されています。面接点の公開は難しいかもしれませんが、可能な限り情報公開しても誰かの不利益になることは無いと思います。

最後に、いつも話題が逸れてしまいますが、この記事を書いていて思い出したことがあります。セダー・ヒダルゴ氏というMIT(マサチューセッツ工科大学)の准教授だった物理学者の講演で、知識の価値に関する話を聞く機会がありました。その方曰く「知識には競争が無く無限に共有できるから価値がある」のだそうです。

そこで、知識=情報と解釈すれば、情報は財産や物と違い、無限にしかも時間をかけずに、いつでもどこでも誰にでも共有が可能で消耗もしません。どんどん情報共有することで、収入や地域等の格差を無くすことも可能ですし、考えることと行動することに時間を割けます。ちなみに、「知る→考える→行動する」のプロセスは、2021年の適正検査2-2でも取り上げられたテーマです。(適正検査の参考記事は「2021年度二次検査を解いてみた」を参照ください)

企業においても、特定の情報を抱え込むことで自身の価値を上げようとする人を見たことがありますが、その行為に価値は無いと私は思います。(企業秘密やインサイダー情報は別です)

加えて、情報は鮮度(スピード)も大切です。正しい情報の活用方法は、鮮度の高い情報を広く共有して、多様なメンバーのアイデアを加えたりフィードバックを得ることで、情報の価値を短時間に高めることです。そうすることで、一人では考えつかなかったようなイノベーションを起こし、非連続な(現在の延長線上ではない)成長や進化が可能になるのです。

つまり、私が何が言いたいかというと、人が成長し進化するために、情報共有や情報公開は非常に大切な第一歩だということです。そして、人の育成を目的とする教育機関としても、情報共有や情報公開は重要な使命の筈だと私は思いますので、情報が透明化されていくことを期待しています。

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