東葛中合格への道

2020年東葛飾中学合格。家族で挑んだ初めての中学受験3年間を父親目線で振り返る。入学後の情報も更新中。

2023年度一次検査を解いてみた(適性検査1-1)

2022年12月10日(土)に、東葛中と千葉中の一次検査が実施され、今年も約2ヶ月にわたる長い戦いが始まりました。

千葉県の公式発表によると、東葛中と千葉中それぞれの志願者数、東葛中793名(男子396名、女子397名)、千葉中570名(男子292名、女子278名)に対し、実際は、東葛中774名(男子390名、女子384名)、千葉中564名(男子288名、女子276名)が受検したそうです。一次検査の結果は、12月21日(水)の午前9時に、学校への掲示とホームページにて通過者が発表される予定です。

今回は、今年も適性検査の問題を入手することができましたので、先ずは、一次検査の適性検査1-1に挑戦してみました。

以下に、問題の内容と私見を述べたいと思います。

【適性検査1-1】文系問題(ほぼ社会に少しだけ算数)

問題の主な題材は、賞味期限と保存食品、表示物のデザイン、問題解決の手法とサービスの電子化でした。

今回の特徴は、表やグラフの読み取りや計算が少な目で、考え方を問う問題が多く、子供にとっては難しいのかもしれませんが、大人にとっては答え易い内容でした。私は、45分の時間内でほぼ全問に解答することができました。(正解かどうかはわかりません)

全体的な感想は、昨年よりも難易度はやや易化した印象ですが、一方で、このような問題への対策をすることの難しさを感じさせる問題でもありました。

傾向としては昨年と同様で、前半は社会問題がテーマであり、後半はビジネスに用いられている考え方がテーマでした。

もう少し、各問題をみてみます。

大問1.食品関連(社会問題シリーズ)

一問目は、賞味期限の問題です。賞味期限は、3ヶ月以上の場合、日にちまで表示の必要がなく、仮に12月であれば、12月1日から30日までは11月とし、12月31日のみ12月と表示するルールなのだそうです。つまり、11月30日から12月30日までは11月、12月31日から1月30日までは12月となります。今回は、12月31日と1月10日の場合にどのような表示になるのかを問う問題でした。

この問題は、素直に説明文に従って考えれば良いのですが、私がひっかかってしまったのは、文章の最後に、「年月表示にすることで、捨てられてしまう食品が減る」という表現があった点です。上記のような表示ルールだと、本来の賞味期限日よりも最大で約1ヶ月前倒しになるため、フードロスの低減とは矛盾します。

私が調べたところ、この賞味期限のルールを設定したのは、フードロスが主目的ではなく、物流の効率化(働き方改革)が目的で、商品のロットを日別ではなく月別でくくることにより、検品やピッキング等の手間を軽減することが狙いの施策でした。

個人的には、最後の余計な一文を加えたことで、私のように、考え過ぎてつまづいた受検生がいなかったことを祈りたいと思います。(私はここで5分以上ロスしました)

次は、冷凍食品とレトルト食品の問題でした。

冷凍食品は、氷の結晶が大きく成長する「最大氷結晶生成温度帯」という、−5〜−1℃になる時間を短くして急速に冷却して作ることで、食品へのダメージを最小化する工夫をしていることを説明する文章とグラフの読み取りでした。

レトルト食品は、国内のレトルト食品と缶詰めの生産量の比率の問題でしたが、知識は不要で、棒グラフの読み取りができれば解ける問題でした。

その次は、乾物に関する計算問題でした。

乾燥わかめを水で戻して味噌汁を作る場合の、わかめの重さを求める計算方法を説明するのですが、聞き慣れない「もどし率」と「かさ密度」という概念を理解できれば解けたと思います。

食品シリーズの最後は、災害用の保存食を効率的に管理する、「ローリングストック法」という考え方の説明でした。ローリングストック法は、保存食を少し多めにストックし、賞味期限の早いものから消費し補充することを繰り返す方法です。この方法を実践することで、フードロスを無くせるだけでなく、滅多に食べない保存食の利用方法も把握することができる、一石二鳥の手法で、この利点を説明できるかどうかが鍵となる問題でした。

大問2.デザインによる問題解決(ビジネスシリーズ)

最初は、掃除用具をわかりやすく片付けられるようにするポスター制作の問題です。

デザインには、「デザインの4原則」として、まとめる、強調する、整列する、繰り返す、4つがあり、美化委員会で制作したポスターはどの原則を取り入れたのかを問う問題と、デザインに使われるテクニックの、「トンネル効果」と「矢印効果」を説明する穴埋め問題でした。

ちなみに、トンネル効果とは、全体を暗くして、強調したい対象だけ明るくする手法で、矢印効果は、言葉のとおり、矢印で強調する手法です。

次は、問題解決や改善のための仕組みも「デザイン」である、という考え方の説明文の穴埋め問題でした。

ビジネスの世界でも、デザイン思考とかビジネスデザインなどの用語が使われることがあるのですが、そのあたりからヒントを得て作成した問題だと思います。

ビジネスシリーズの最初の問題は、そのままでは手が汚れやすい黒鉛を、手を汚さずに使える鉛筆として開発するには、どのような問題解決のプロセスをたどったのかを説明する穴埋め問題でした。

その次の問題は、正にデザイン思考の手法を用いて、問題解決することを説明する穴埋め問題でした。

具体的には、行政サービスの電子化の仕組みと効果(ペーパーレス化による効率化)を解説した後に、この考え方を応用して、学年全体で実施するクイズ大会について、回答用紙の配布と集計方法を考える問題です。

クイズ大会の運営方法を、どのように改善すれば効率化できるのか、考えられたかどうかが鍵となったと思います。

最後に、適性検査1-1を解いてみて、冒頭にも述べましたが、事前対策がとても難しい問題が多いように感じました。

例えば、前半の社会問題シリーズは、社会問題に対する知識よりも、説明文の読解力や、グラフの読み取りが重要になります。

後半のビジネスシリーズも、小学生にビジネス書を読ませることは難しいので、聞き慣れないような考え方を読んで理解し、説明できるような力を身に付けておくことが必要になります。

つまり、具体的な対策は明示できないのですが、文章だけでなく、グラフやイラストも含めて、与えられた情報から読み解く力を養っておくことが大切だと思います。

次回は、適性検査1-2の記事を更新する予定ですので、もう少しお待ちください。

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東葛中の出願者数(2023年度入学)

2023年度(2023年来春入学)の千葉県立中学校(東葛飾中、県千葉中)の出願者数が千葉県より発表されました。両校の募集定員80名(男女40名ずつ)に対する出願者数は以下のとおりです。

【2023年度】

東葛飾:793名(男396名、女397名)

千葉:570名(男292名、女278名)

参考に、2022年度と比較すると、東葛中が▲72名減(前年比92%)、県千葉中が▲30名減(前年比95%)です。残念ながら、東葛中と県千葉中共に、過去最低の出願者数となりました。

そして、男女別にみると男子の減少数が大きいことがわかります。(東葛飾:男▲57名減 女▲15名減、千葉:男▲57名減 女+27名増)

出願者数減少の要因は、今回の二次検査の合格発表日が1月31日となり、入学確約書の提出が2月1日の16時迄となったことと、関係があるように思われます。

2月1日は、言わずと知れた東京の私立校の入試解禁日です。御三家中と呼ばれるような最難関の私立校などが一斉に受験日となり、当日の16時迄に合格発表がある学校はありません。つまり、東葛中や県千葉中を第一志望とせず、押さえ校として受験する層が回避したことと、無関係ではないと思います。ただし、男子の御三家中は、2022年度も併願できない日程でしたので、男子の出願者数が減少した理由は正直よくわかりません。

しかし、今回の受検日程は、千葉県教育委員会の思惑なのだと思いますが、入学辞退者数の減少につながる可能性が高いと私は考えています。入学辞退者の減少は、繰り上げ合格の連絡をする学校の負担低減にもなります。

更に、東葛中や県千葉中を第一志望に考えている子供にとっても、この動きは歓迎すべきことだと思いますが、入学辞退者数を多く輩出している塾にとっては、バッドニュースかもしれません。

いづれにしても、一次検査の12月10日まではもう僅かです。二次検査を突破するためにも、一次検査の得点が大きな鍵となりますので、受検生とそのご家族が心身共に健康な状態を維持し、最善の準備をした上で、受検本番で全力を出し切れることを願っております。

【参考データ:東葛中と県千葉中の出願者数推移】
※年度は入学する年度で表示(2016年度は東葛中1期生)

  • 2016年度 東葛飾1,157(男585、女572)千葉793(男426、女367)
  • 2017年度 東葛飾956(前年比87%、男493、女463)千葉770(前年比97%、男415、女355)
  • 2018年度 東葛飾820(前年比86%、男424、女396)千葉722(前年比94%、男387、女335)
  • 2019年度 東葛飾927(前年比113%、男474、女453)千葉677(前年比94%、男372、女305)
  • 2020年度 東葛飾865(前年比93%、男449、女416)千葉722(前年比107%、男364、女358)
  • 2021年度 東葛飾826(前年比95%、男438、女388)千葉605(前年比84%、男326、女279)
  • 2022年度 東葛飾865(前年比105%、男453、女412)千葉600(前年比99%、男349、女251)

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適性検査の推定合格最低点まとめ(2022年版)

夏休みも終わり、6年生は本格的に過去問等に取り組み始めている時期だと思います。そこで、今回は私なりに調べた、適性検査の合格最低点(ボーダー)をまとめてみたいと思います。

先ず、最初にお断りしておくと、東葛中や千葉中の合格最低点は、多数の受験生を抱える塾が確度の高い情報を持っていますので、そのような塾に通塾している場合は、塾から正確な情報を入手してください。

つまり、今回推定する合格最低点は、受検者数が多くない塾に通塾していたり、通塾していない方向けの参考情報とご理解ください。

また、合格最低点のデータは、個々のソースまでは示しませんが、ネット上に公表された得点開示のデータを中心に集計した得点になります。

千葉県立中学の男女別合格得点と推定ボーダー一覧(2019年~2022年)

上記のような結果になりました。

合否判定には、内申点や面接点が加算されますので、仮に同じ得点でも合否が分かれる場合はあるものの、合格ボーダーが200点と言われている中で、実際には毎年多少のバラツキがあります。過去4年間では、2021年のボーダーが最も高く、2020年が最も低いボーダーでした。上記のように毎年ボーダーラインがスイングしていますので、2023年は2022年よりも少しボーダーが上がるかもしれません。

実際には、一次検査と二次検査の合計が上記の点数となりますが、以前にも述べたとおり、一次検査を突破しない限り、二次検査を受検する権利は得られませんので、一次検査でできるだけ多く得点することが重要です。

これも推定にはなりますが、仮に一次検査を突破した場合でも、100点未満の場合の二次検査合格率はかなり低い気がしますので、過去問を解く場合も、一次検査で100点+αを得点できるような受検対策が、必要だと思います。

我が子の場合は、初見の一次検査の過去問で100点を越えたことがあまり無かったように記憶していますので、仮に100点に届かなかったとしても、どうすれば100点を越えられるかを分析して対策していけば、本番の一次検査で100点以上を得点することも、充分可能だと思います。(実際に我が子もそうでした)

また、記述問題に関しては、明確な採点基準が明示されていませんので、採点も難しいとは思いますが、私の場合は、適性検査型の模試における採点基準を参考に、記述問題を採点していました。このあたりは、塾に相談してみてもよいかもしれません。

最後に、今の時期は過去問だけでなく、模試や日々の演習に加えて、学校説明会や見学、併願校の選定など、多忙な時期だと思います。一方で、我が子の場合は、今頃から本格的にエンジンがかかってきたように記憶していますので、まだまだ学力が伸びる時期でもあります。体調管理だけには気を付けて、12月の一次検査に臨めるよう、陰ながら応援しております。

夏休みで成績は上がらない?

もう夏休みです。

そして、受験生(受検生)が夏休みにやるべきことは、受験勉強一択です。一方で、夏休みで頑張ったにもかかわらず成績が伸びない、むしろ下がった、ということも耳にします。

今回は、何故夏休みに成績が上がらないのかを考えてみます。

※この記事は、以前書いた「6年生の夏休みで真の受験生に」の再編版とお考えください

その理由を先に述べると、夏休みに受験生がたくさん勉強するのは当たり前だからです。つまり、試験の成績は相対評価ですので、みんなが頑張れば全体的な成績が底上げされるため、学力向上=成績向上、という式が成り立ちません。

例えば我が子の場合、小6の夏休みは、塾の指示で計400時間以上、1日で約10時間以上の受験勉強(学校の宿題は勉強時間に含まない)の目標を立てました。

その結果は、夏休み前半に、かなりサボってしまった(気持ちが乗れなかった)ため、前半はかなり厳しいペースでしたが、後半で必死に取り返し、どうにか目標の400時間を達成しました。しかし、塾の他のメンバーにとって、400時間クリアは当たり前で、もっと長時間勉強した子供もたくさんいます。

夏休みに400時間以上の勉強は、簡単な目標ではありません。詳しい時間は覚えていませんが、私が高3の大学受験を控えた夏休みも、そこまでは勉強していなかった気がします。ですので、小学生のうちにそれをやり切れる子供たちは、本当にすごいと思います。

もちろん、ただ単に勉強時間を増やせば良い訳ではなく、正しい方法で勉強する必要がありますし、学力が勉強時間に比例するとしても、その比例の角度は勉強方法や本人の能力により個人差があります。しかし、個人差はあっても、努力時間に対するリターンの不確実性が低いのが、勉強だと思います。

まとめると、夏休みに学力を向上させることは可能(むしろ必須)ですが、成績(偏差値や順位)を上げることは、非常に難しいチャレンジなのだ、ということを頭に入れておくことが、夏休み明けのテスト結果で動揺しないためにも、必要だと思います。

それでは、夏休みにどのような目標を立てれば良いかを考えてみます。少なくとも、成績向上を目標に掲げるのは、リスクが高過ぎます。子供が持つ具体的な数値目標は、勉強時間などの努力さえすれば必ず達成できる目標にして、親は数字で測定できない定性的な目標、つまり、自信とか受験勉強へのモチベーションを高めることなどの意識面を目標に設定し、普通の小学6年生を真の受験生に生まれ変わらせることが大切だと思います。

実際に、夏休みは弱点の補強による基礎固めとベースアップ、応用問題への取り組み、通塾していれば夏期講習など、休む暇もあまり無いと思います。

夏休みが終われば、本格的な入試対策が中心になります。また、夏休み明けからは、現実的な受験校の選定が必要になりますし、学校の説明会、模試など、イベントも盛り沢山になりますので、親としてはスケジュール管理も大切になります。

最後に、受験生の皆さんが、健康第一で、充実した夏休みを過ごせるよう、陰ながら応援いたします。

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【期間限定情報】東葛中2022年授業公開

昨年に引き継ぎ、小学6年生とその保護者を対象に、授業公開が実施されます。東葛中の授業を体験できる絶好の機会になります。

東葛中の授業スタイルは独特です。先生が板書して、それを写すだけの座学はほぼありません。そのため、子供の特性による相性もあります。その点も確認した方が、入学してからのミスマッチを防ぐことにもつながると思います。

東葛中の受検生は、例年並みであれば700~800名程のため、抽選の倍率はかなり高くなってしまうと思いますが、東葛中志望のご家族は、是非申し込みをしてみてください。

以下に公開授業の概要を記載しますが、変更等の可能性もありますので、詳細は学校HPにてご確認ください。

【授業公開概要】

  • 対象:小学6年生とその保護者(1組2名)
  • 応募方法:学校HPより登録し抽選(Formsを使用)
  • 応募期間:6月3日(金)9:00 から6月10日(金)18:00まで
  • 実施日程:7月9日(土)
    第Ⅰ部 8:50-10:40
    第Ⅱ部 10:50-12:40
    第Ⅲ部 13:25-15:15
  • 募集人数:各回60組(×3回=計180組)
  • 結果通知:6月中旬にメールにて連絡

おそらく、月曜日の授業内容がそのまま実施されるものと思われます(追記:実際は金曜日の授業でした)。具体的な時間割は把握していませんが、個人的にお勧めなのは英語と総合学習です。東葛中が目指す教育がどのようなものなのか、理解しやすいと思います。

東葛中の授業は詰め込みではありませんので、知識量を増やしてペーパーテストの点数を上げるためには、自習が必須です。また、パワーポイントを使ったプレゼンも普通にありますので、ご家庭での資料づくり用にPC(Windows推奨)を準備しておくことも、ほぼマストだとお考えください。(公立中学のため学校から「買ってください」とは言いません)ただし、PCの使い方は勝手に覚えますので、その点を気にする必要はありません。
※近々学校のPCも持ち帰り可能になる予定ですので、持ち帰りが面倒でなければ購入不要かもしれません。

これらの点も、授業から確認できると思います。

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二次検査の合格率から考える東葛中対策

東葛中の合格者数No.1の塾は、市進学院です。実際の東葛生も約半数が市進生と言われています。(正確なデータはありません)

そして、興味深いことに、市進学院ホームページを見ると、2022年度と2021年度の一次検査突破者は、「2人に1人が市進生」と掲載されています。

そこで、一次検査の合格者数が千葉県から公式発表されていますので、市進生の一次検査合格者数を半数として計算すると、実際の二次検査の合格率に近い数字を計算できます。

先ず、市進学院の過去2年間の東葛中合格者数は、2022年度58名、2021年度72名でした。

実際の一次検査の合格者数は、2022年度327名、2021年度321名ですので、半数が市進生とすると、両年度の二次検査合格率は以下になります。

【市進学院の二次検査合格率】

2022年度:58名/(327名×50%)×100=35%

2021年度:72名/(321名×50%)×100=45%

ここで、塾別の合格者数の合計から、市進学院以外の塾の二次検査合格率を算出してみます。もちろん、兼塾の重複があるため、上記よりも確度が下がるデータになります。

[塾別合格者数の参考記事]
「東葛中塾別合格者数(2022年版)」
「2022年度東葛中の繰り上げ合格」
「東葛中合格のための塾選び2021年版」
「東葛中の合格者層」

【市進学院以外の二次検査合格率】
※市進学院以外の合格率=(塾別合格者数−市進学院合格者数)/(二次検査合格者数×50%)×100

2022年度:(125名−58名)/(327名×50%)×100=41%

2021年度:(136名−72名)/(321名×50%)×100=40%

上記の計算結果からは、過去最高の合格者数であった2021年度の市進学院は、他塾の合格率40%を+5ポイント上回る45%の高い合格率でしたが、2022年度は他塾の合格率41%を▲6ポイント下回る35%の合格率でした。

2年分だけの比較データにはなりますが、合格者数で他塾を圧倒する市進学院であっても、二次検査の合格率にはバラツキがあり、他塾を圧倒しているとは言えない結果となりました。

以下は私の推測ですが、二次検査の合格率からみえてくることは、以下2点です。

①最大の合格者数を誇る市進学院でさえも、二次検査突破の有効策を確立できていない

②最終結果は一次検査の得点の影響が大きく、二次検査での逆転が難しい

以前私がある塾から聞いた話では、一次検査対策は私立校受験の勉強である程度まかなえるため、二次検査対策は一次検査合格後で間に合うという説明でしたので、この結果はその裏付けにもなると思います。

つまり、東葛中合格の王道は、一次検査の先行逃げ切りであり、一次検査でどれだけ得点を積めるかにかかっているように思います。実際に我が子の受検の場合も、一次検査の得点で逃げ切った印象があります。

そもそも、一次検査を突破しない限り、二次検査の挑戦権は得られませんので、1月の二次検査対策は後回しにして、先ず一次検査を突破するまでは、12月の一次検査対策に注力することが、東葛中合格の確率を上げる戦略になると思います。

ただし、一次検査に関して、私立対策だけでは不十分なことがあります。それは、適性検査1-1に出てくる表やグラフの読み取り対策です。

これは過去問を解けばわかるのですが、様々なタイプの表やグラフの読み取りがしっかりできると、長い設問文を全て読む必要がなくなることも多く、時間短縮が可能になります。しかも、表やグラフの読み取りは最難関の私立校対策でも実施されませんので、それらの読み取りの力を身に付ければ、大きなアドバンテージを得ることも可能だと思います。

東葛中対策のまとめ】

一次検査対策
通常の私立対策に加えて、表やグラフの対策をした上で過去問にも慣れておき、一次検査でアドバンテージを得る。

二次検査対策
一次検査合格後に過去問でしっかりと二次検査(特に適性検査2-2の音声問題と長文読解)の特徴をつかんで対策し、最終決戦に臨む。

以上の方法が有効だと私は思います。

もちろん、この方法だけが有効な訳ではなく、他にも良い策はあるでしょう。しかし、対策そのものが難しいとも言われる適性検査において、他の都道府県と異なり2度の検査がある千葉県の特性を考えると、一次検査の突破方法が鍵になるのは間違いないのではないでしょうか。

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東大・京大の現役合格者数2022

東葛中の第1期生が、2022年3月に卒業しました。

世間で言う良い大学に行くことが、東葛中へ入学する目的にはならないことは以前も書きましたが、我が子にはしっかり勉強して欲しいと願う親が大半だと思いますし、先輩たちの学力がどのような結果になったのかは、親として気になることも否定しません。

そこで今回は、2022年の東葛高校の大学合格実績がどのような結果であったのか、他の高校と比較してみます。

今回参考にするデータは、昨年に引き続き東京大学京都大学への現役合格者数です。この2校を選んだ理由は、重複合格が無い上に、一般的に分かりやすいポピュラーな指標だからです。また、今回は参考データとして早稲田大学慶應義塾大学への現役合格者数も加えてみました。この2校を追加した理由は、重複合格があるものの私立最難関として注目度の高い大学だからです。

尚、ピックアップする高校は、私の独断と偏見で決めたものになりますし、実際の高校発表とは異なる場合があります。

高校別 東大・京大・早慶大の2022年現役合格者数
記号の見方:◎=国公立の中高一貫校、〇=高入のみの公立高校、☆=私立高校

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※出典:サンデー毎日 2022年4月17日号、2021年4月11日号

先ず、我が子の先輩の東葛中1期生、東葛飾高校の実績を見てみると、東大+京大は対前年で1名減の8名です。表には載せていませんが、東大だけに注目すると、対前年4名増で7名の合格でした。また、早稲田+慶應は対前年38名増の114名(対前年比150.0%、※重複合格有り)でした。他の名だたる進学校との比較では見劣りするかもしれませんが、私個人の感想としては立派な結果だったと思います。2年間だけの比較ですので一過性の可能性もありますが、よく引き合いに出される県立船橋と比較しても遜色ない実績だと思います。もちろん、この結果は東葛中1期生だけの実績ではなく、高入生の実績も加えたものですので、東葛中開校の効果をこれだけで測定することはできません。

しかし、この傾向が来年以降も継続した場合は、東葛中開校の効果だと言って良いように思います。本来は、東葛中の卒業生の合格もしくは進学実績を公開することが望ましいと思いますが、東葛高校の公式発表でも現役合格者数を公表していない状態ですので、正直もったいないと思います。

[追記]
東葛中1期生の現役東大合格者数は、4名だそうです。東葛中の入学者数が80名ですので、5%の合格率になります。

次に、東葛高校から少し離れて、全体の結果を見てみます。最難関と言われる学校の強さが目立つことは昨年同様ですが、一番下の合計の段に注目すると、現役合格者の人数が増加し、東大と京大で+68名(対前年比107.4%)、早稲田と慶應で+436名(対前年比110.6%)となっています。仮に各大学の合格者数が増加していないのであれば、最難関大学に対して、上記の学校からの現役合格の集中度が高まっていることが推察されます。この要因は、一部の進学校への学力の高い生徒の集中、地方の高校の苦戦、もしくは地元へ残る傾向の高まり、などが推測されます。

また、今回は現役合格率(構成比)を算出してみました。東大+京大は全体平均で丁度10%です。私が勝手に分類すると、東大+京大への現役合格率が10%超の学校は、超進学校と呼べる異次元クラスの学校だと感じます。(東葛高校は3%です)

参考に、東大+京大への現役合格率10%超の高校をピックアップすると、千葉県は渋幕1校、埼玉県は0校、神奈川県は横浜翠嵐・聖光・栄光・浅野の4校、東京都は筑駒・日比谷・小石川・開成・麻布・武蔵・桜蔭・女子学院・渋渋の9校で、特に都立中高一貫校の小石川の善戦が目立ちます。(ちゃんと調べれば他にも10%超の高校はあると思います)

私個人の経験では、仮に40名のクラスで最低4~5名の東大・京大現役合格者がいる状態は、ある意味特別というか、本当に異次元ですし、そこにいるだけで学力が高くなった錯覚に陥りそうです。そして、それが超進学校の強みであるようにも思います。

最後に、難易度の高い大学に合格することが全てではありませんが、特に日本において、どこの大学の出身なのかは、その後の就職や生涯収入に影響を与えることが統計上の調査結果としても知られています。仮に企業へ就職した場合、その後の昇進などへの影響は少ないと思いますが、大学新卒時の入り口で、その選択肢が絞られていることは事実だと思います。

一番大切なのは、子供たち本人が、そのような現実と自分の夢に対してどのように向き合い、どのように行動するかだと思いますが、今のところ我が子は、もう暫く見守ることが必要なようです。

東葛中塾別合格者数(2022年版)※更新済

塾別の合格者数が出揃ってきました。

そこで、2022年の東葛中と、参考に千葉中の塾別合格者数を調べてみました。

【2022年合格者数】※4月15日更新

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※4月15日時点の塾発表(クセジュZ会は未発表、四谷大塚はカウント外)
※占有率=塾別/塾合計×100%
※両校定員は80名
※推定辞退者数=塾合計 一 定員
※推定合格者数倍率=塾合計/定員

【参考1:カウント外の塾/4月14日時点未発表塾】

     ※( )内は前年実績、塾ではないがZ会も掲載

【参考2:2022年受検者数】
東葛飾851名(+32名) 千葉588名(▲8名) 計1,439(+24名)
※( )内は前年差、一次検査含む

まだ結果が出ていない塾がありますが、東葛中の合格者数トップは不動の市進学院58名、2位が東葛進学プラザ20名、3位SAPIX11名となり、占有率5割弱の市進の強さが目立ちます。また、対前年で比較すると、市進▲14名とSAPIX▲7名で、合格者数上位のうち2塾が、合格者数を大きく減らしています。

この要因は、毎年のブレの範囲内かもしれませんが、コロナ感染リスクや受験日程の関係で、最難関私立校志望で東葛中を押さえ校として受験していた層が受検回避したため、両校の水増しされた合格者数(辞退者数)が減ったことも要因の一つではないかと、推察しています。

そして、推定辞退者数と推定合格者数倍率は、兼塾の重複カウントを考慮していない数字になりますが、東葛中と千葉中共に、例年どおり約半数の辞退者がいたことを示唆していると思います。(塾無しメンバーを加えれば、東葛中の実質の合格者数倍率は1.5倍に近付くと思います)

更に、千葉中の塾別合格者数を見ると、早稲田アカデミーが前年よりも+13名で大きく増加しています。その要因が塾の特別講座や公立中高一貫校向けのコースが奏功したのか、それとも単純に最難関私立校志願者の受検者数が増加した結果なのかは、気になるところです。

塾別の合格者数をみる上で肝心なのは、各塾別やコース別の受検者数の分母と実際の進学者数だと思いますので、これから東葛中や千葉中を受検するために塾を選定される場合は、直接塾に問い合わせをして、具体的な回答を得られるかどうかが重要な選定材料になると思います。

[塾別合格者数の参考記事]
【東葛中の合格者層】
【2021年度東葛中の繰り上げ合格】
【東葛中合格のための塾選び2021年版】
【2022年度東葛中の繰り上げ合格】

 

【御礼】本ブログをご覧の皆さまへ

我が子が2020年に東葛中に合格できたことをきっかけに始めたこのブログですが、2年間継続することができています。

これは、このブログを読んでくださる方がいらっしゃるお陰であり、とても感謝しております。

ありがとうございます。

また、このブログを継続できている要因の一つとして、数は少ないものの励ましのコメントの影響はとても大きいです。実は、先日も素敵なコメントをいただいたのですが、ご本人の希望で削除のお申し出があったため、泣く泣く削除しました。(個人的には、削除する必要の無い内容だったと思います)

私も完璧な人間ではありませんので、間違っていたり、考え方に偏りがあることもあり、時には勢いに任せて記事を書くこともありますが、少しでもフィードバックをいただけることは、自分自身の成長や気付きにもつながりますし、率直にとても嬉しいです。質問や疑問点でも構いませんので、何かコメントいただければ可能な範囲でお答えしたいと思います。

少し話は変わりますが、これまでの我が子との取り組みを振り返ると、我が子、そして私自身が東葛中を意識するようになり、私たちが東葛中を目標に中学受験の取り組みを始めたのは、我が子が新4年生となる約5年前でした。

当時は、東葛中に関する情報がとにかく少なく、少ない情報から手探りで、仮説をたてたり試行錯誤しながら、親子で目差した東葛中でした。結果的には、どうにか我が子が合格し、東葛中に入学することができました。

その少ない情報の中で、当時とても貴重だったのは、ユズ母さまのブログwhite boardでした。それでも東葛中の情報は少なく、特に情報収集で苦労した経験があったため、東葛中に興味を持たれた方のために、少しでも私の経験や知識が役立つのではないかと思い、始めたのがこのブログです。

特に中学受験は、僅か10歳前後の子供と家族一丸となり取り組むケースが多いと思いますし、浪人も不可能ですので、一発勝負の非常にシビアな戦いであり、狙ったような結果に結び付かないこともあり得る世界です。そして、努力や才能だけでなく、一発勝負が故の相性や時の運もあると思います。

更に我が家の場合は、私よりも妻のサポートと工夫、貢献が非常に大きく、妻がいなければ、我が子が東葛中に合格することは不可能だったと思います。

我が子の場合は、模試や合不合判定の結果も、安全圏と言えるような結果が出たことはありませんし、偏差値的にも厳しい状態が通常で、安心できたことは一度もありませんでした。

最終的には東葛中に合格し、申し分の無い結果だったのですが、合格発表直前まで薄氷を踏むような思いの日々でしたし、特に東葛中の受検本番では、致命的とも言えるミスや、想定外のトラブルもありました。逆に、比較的得意な問題が出るような運もあったと思いますので、今でも結果がどちらに転んでもおかしくなかったと思っています。

ただし、唯一言えることは、我が子が最後まで諦めずに努力し続けていたことは確かであり、その結果、受験日の直前まで力を伸ばし続けられたと思いますし、本番でも最後まで諦めずに持てる力を発揮できたのだと感じています。

また、今の日本の受験の仕組みは、単純に言えば、たくさん覚えていることが評価され易い仕組みですので、現在の受験システムそのものに多くの疑問もありますが、受ける側がルールをつくることもできません。(適性検査も面接以外の実技試験がありませんので、結局はたくさん覚えているかのどうかの評価方法だと思います)

例えば、ドラマのドラゴン桜2でも、短時間でたくさん覚えることができる特殊能力を持った高校生が登場しましたが、彼もまさにたくさん覚えていることを評価する仕組みに適合できたから、東大に合格できたのだと思います。(フィクションですが)

そして、中学受験で親としてできることは、その決められたルールを理解し、そのルールの中で我が子にとって最適な方法を見出し、その方法に基づいて子供をサポートし続けることだと思います。もちろん中高生レベルであれば、自分でそのルールを理解し、自分なりの最適解と最適手段を見付け、実行する必要がありますが、小学生では無理だと思います。

最後に、このブログも可能な限りは継続したいと考えておりますし、本気で東葛中を目指す家庭や子供のために、少しでも役に立てているのであれば、本望です。

しかし、前述したとおり、中学受験は非常にシビアな世界です。一方で、本人が正しい方法で努力し続ければ、合格の可能性を高めることができる世界だとも思います。

過去に何度か触れたことがありますが、私が好きな言葉の一つに、「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」という言葉があります。受験も、過去の自分の努力に対する評価でしかなく、未来の自分に対する評価ではありません。そして、未来の自分を変えられるのも自分自身なのです。受験がどのような結果であっても、そのことは忘れないで欲しいと思います。

もう一つ、私が我が子に言い続けていることは、「努力を地道に継続できる人間が最強だ」という言葉です。これは自分自身への反省や戒めでもありますが、中学受験も大学受験も通過点でしかなく、社会人になっても引退しても、変化し続ける環境に対応し成長し続けるには、学びと努力を継続できている人間が最強だと思います。仮に才能があっても、努力を継続できなければ、才能がある状態のままで終わると思います。

以上、偉そうなことを長々と書いてしまいましたが、私も学びを継続しながら、より良い情報を提供できるよう努力したいと思います。そして、引き続きよろしくお願いいたします。

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2022年度東葛中の繰り上げ合格

東葛中7期生として合格された皆さん、合格おめでとうございます。

2021年は、2月1日が合格発表で、2月2日の16時が入学確約書提出の締切でしたので、2月2日の夜から4日までに繰り上げ合格の連絡が順番に実施されていると思います。

今回は、塾別の合格者数の推移を元に、東葛中と千葉中の繰り上げ合格者数がどの程度なのかを検証してみたいと思いますが、例年と異なり、2月2日の夕方までに合格者数を公表した塾がSAPIX日能研の2塾だけでしたので、今回は少し信頼度が低くなります。

【2月2日 午後16時までの塾別合格者数】( )内は前年

SAPIX 東葛飾5名(3名)千葉6名(9名)

日能研 東葛飾5名(4名)千葉9名(7名)

塾合計 東葛飾10名(7名)千葉15名(16名)

早稲田アカデミー、栄光ゼミナール、市進学院等は未発表

【2月4日 午後20時までの塾別合格者数】( )内は前年
※2月5日正午のデータで更新

SAPIX 東葛9名10名(18名)千葉26名28名(27名)

日能研 東葛飾7名(5名)千葉12名(11名)

塾合計 東葛16名17名(23名)千葉38名40名(38名)

上記の結果から計算すると、東葛1.6倍1.7倍(3.3倍)、千葉中2.5倍2.7倍(2.5倍)で合格者数が増加しています。

今年はサンプル数が少ないのが難点ですが、2塾共に前年の合格者数と比較しても、例年どおり定員80名の半数以上の合格辞退者がいたのではないかと推測しています。
※各塾の合格者数が出揃ったら再検証する予定です。

もちろん、東葛中と千葉中共に繰り上げ合格は普通のことですので、どのような経緯の合格でも、十二分に胸を張れる合格だと思います。

参考までに、東葛中(62、62)や千葉中(64、65)の合格辞退者がどの学校に併願合格しているのかを、入学確約書提出締切よりも前に合格発表がある偏差値上位校からピックアップしてみます。
※( )内は2021年の四谷大塚80偏差値、共学校(男子、女子)です。

男子校は、駒場東邦(66)、海城(64)、早稲田(64)の3校、女子校は、桜蔭(71)、女子学院(69)、雙葉(68)、洗足学園(65)、吉祥女子(62)の5校、共学校は、渋谷渋谷(66、69)の1校、合計9校が併願候補になると思われます。
※追記:渋谷幕張の合格発表日が東葛中・千葉中の二次検査日と重なったため、共学校の渋谷幕張(70、72)も加えると、併願候補は10校になります。

ちなみに、来年2023年度の適正検査日程も既に発表されており、一次検査が2022年12月10日(土)、二次検査が2023年1月24日(火)、合格発表日が1月31日(火)です。その場合、推定される入学確約書の提出締切は2月1日(水)の夕方ですので、来年は上記私立校との併願が不可能となるため、例年よりも合格辞退者数が減少するかもしれません。

これは、各塾で水増しされた合格者数が減ることを意味しますが、仮に合格者数があまり減らない場合は、辞退することを前提で記念受検しているか、塾に頼まれて受検している層がいることを示唆します。ただし、2021年は渋谷幕張の入試日と東葛中・千葉中の二次検査日が重なったのですが、来年の渋谷幕張の試験日が重ならなければ、結局辞退者数は変わらないかもしれません。
※(訂正)正しくは、2022年は渋谷幕張の合格発表日と東葛中・千葉中の二次検査日が重なっただけですので、辞退者数への影響は少なかったと思います。

いずれにしても、東葛中は楽しいと我が子は言っています。合格して東葛中に入学される皆さんは、私立校のように入学前の課題などもありませんので、入学までゆっくりとお過ごしいただければと思います。

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2022年度二次検査を解いてみた

1月24日(月)は、千葉県立中学(東葛飾中、千葉中)のニ次検査でした。また、今年は昨年に引き続き、コロナ感染対策のために面接が中止になりました。

千葉県教育委員会の発表によると、東葛中の一次通過者327名のうち26名が辞退し301名(男子149名、女子152名)、千葉中の一次通過者327名のうち15名が辞退し312名(男子157名、女子155名)が実際に受検したそうです。運命のニ次検査の結果は、2月1日(火)の午前9時に発表される予定です。

今年も、父親想い?の我が子が、学校から検査問題を持ち帰ってきましたので、早速二次検査にチャレンジしてみました。

※以下は私の個人的な見解ですので、正確な情報は塾にお問い合わせください。

【適性検査2-1】(ほぼ算数)

問題量が多いため、私は制限時間の45分で解ききることは無理でした。問題量の傾向は例年どおりですが、全体的な難易度はやや下がったように感じました。

今回の特徴は、物理・化学系の理科問題が姿を消し、完全に算数だけになりました。問題構成は大問2問でした。

以下でもう少し詳しい内容を述べたいと思います。

先ず大問1は、正方形の面積を利用して、平方根(ルート)の小数点以下を求める問題でした。例えば、√2であれば、「ひとよひとよにひとみごろ」で覚えた、1.41421356の小数点以下の求め方です。仮に、面積5㎠の正方形の辺の長さを考える場合、√5の小数点以下を求めることになりますが、一辺3㎝では大きすぎて、一辺2㎝の正方形が中に納まるので、一桁目は2㎝とわかります。次に、残った長方形の面積から、小数点以下の数字に何が入るのかを考えていく問題です。

私の印象では、大問1の方がやや難しかったように感じました。

大問2は、細分化すると2つの問題に分かれていて、前半はテレビ画面のインチ数や画素数の計算方法で、主に面積比の問題でした。

後半は、液晶画面をテーマにした光三原色(RGB)の組み合わせ問題(場合の数)と、LED電球と白熱電球の費用の差(長く使えばLED電球の費用が安くなる)を求める問題でした。

私の印象では、私立中学の問題を解き慣れている子供にとっては、素直に解ける問題だと思いました。

【適性検査2-2】(ほぼ国語)

こちらは、放送問題があるため時間を計っては解きませんでしたが、ここ数年の問題傾向と大きな変化はなく、文章量が少し減った印象です。

今回の全体を通したテーマは「対話」でした。

「対話」は、私のブログでも何度か取り上げたキーワードであり、企業経営やマネジメントでも重要視されつつあるキーワードでもあります。

以下で、もう少し問題を深掘りしてみます。

問題構成は、大問3問でした。大問1が放送問題+補足文章、大問2と3は更に別の文章を読んで解く内容です。

大問1の放送問題+補足文章は、漫画家 竹宮惠子氏が「ヒット作品」の生まれるプロセスと考え方を述べた内容でした。読書への伝え方や編集部とのやり取りを取り上げています。

大問2は、2つの文書を読んで答える問題でした。最初の文章は、作家 今関信子氏の『弥生人の心にタッチ!』で、土器と対話することで弥生時代の情報を得ることと、外国人との会話との共通点を取り上げた内容でした。2つ目の文章は、現代美術家 宮島達男氏のインタビュー書籍『アーティストになれる人、なれない人』における、現代美術家 名和晃平氏、建築家 西沢立衛氏とのインタビューから取り上げられた文章で、建築家が施主へ提案する際の考え方を取り上げています。

大問3は、東京大学教授 梶谷真司氏の『考えるとはどういうことか』からの出題で、異なる価値観を持つ人との対話から、これまで当たり前と考えていた前提条件を問い直すことが可能となり、新たな気づきや深い洞察を得ることができることを取り上げています。

そして最後は、これまでの文章をふまえて指定された条件に従い、運動会の実行委員長として、「楽しい運動会」にするための案を記述する問題でした。

前述したとおり、出題の共通テーマは「対話」ですが、対話はあくまでも相互理解や新たな価値を生み出すための手段であり、ダイバーシティ&インクルージョンが隠された真のテーマだと私は思います。

ダイバーシティ&インクルージョンも、過去に私のブログで今後注目のテーマとして取り上げた言葉です。

ダイバーシティ&インクルージョンは、ビジネスでも注目されつつある考え方です。ダイバーシティ(多様性)の理解には対話が不可欠ですが、最も重要なのは、多様性のある環境と対話から生み出されるイノベーションであり、それを実現できている状態がインクルージョン(包摂性、包括性と訳されています)なのです。

ダイバーシティ&インクルージョンは、昨年開催された東京オリンピックパラリンピックのテーマでもありましたので、問題の作成者は、このあたりからもヒントを得て問題を作ったのではないかと思います。

【まとめ】

一次検査も含めた2022年度の適性検査は、昨年に引き続き問題が易化傾向にあるように感じます。

気になる合否のボーダーラインですが、これも昨年と同様、東葛中も千葉中も200/400点を超えるのではないかと予想します。

※完全に素人予測ですので、参考程度にお考えください。

もし来年度以降もこの傾向が続くのであれば、従来の5割の得点で合格、という定説が崩れて、6割位の得点が今後の目安となるかもしれません。

※追記:東葛中に関しては180点前半で合格したとの情報がありました。私の予想は見事に外れ、実際は易化ではなく前年よりも難化したようです。

最後に、気休めかもしれませんが、結果は過去の取り組みに対する評価であり、未来の取り組みへの評価ではありませんので、未来は変えられます。そして、中学受験において一番大切なことは、受験生本人が充分に準備し、本番で持てる力を発揮できたと感じられたかどうかだと思います。

今回どのような結果であっても、受験に対して全力で取り組んだ経験が無駄になることはありませんし、中学以降の過ごし方が重要ですが、今は受験生やそのご家族が、納得のできる受験を終えられることを、陰ながら応援させていただきます。

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茨城県立中学の動向(2022年度)

お隣の茨城県では、1月24日の千葉県立中学の二次検査に先駆けて、1月8日に並木中、土浦一中、水戸一中などの茨城県立中学の適性検査が実施されました。(結果は1月19日発表です)

公立中高一貫校の適性検査は、都道府県毎に特徴が異なりますし、まだ最終的な結果も出ていない他県の情報ですが、参考情報として記事にしてみます。

茨城県立中学の適性検査の基礎知識

茨城県立中学の合否は、調査書(内申点、点数不明)+理数系の適性検査I(45分、100点)+国社系の適性検査II(45分、100点)+面接(5名程で約20分、点数不明)により判定されますが、千葉県とは異なり1日で決まる一発勝負です。適性検査の問題は、千葉県と同じく全校共通です。

2022年度の茨城県入試の注目点と検査問題への影響

今年度の最大の注目点は、全受検生に対して、合格発表後に解答用紙の写しが返却されるように変更された点です。これは、県立高校も同様の対応で、ある意味画期的な試みだと思いますが、実は神奈川県でも実施されています。

この変更は、昨年度の茨城県立高校入試と県立中学の適性検査で大量の採点ミスが発覚したための措置であり、運用面の不備を大幅に見直した結果のようです。そのため、この変更の影響で、適性検査の出題傾向も大きく変更になりました。

人間にミスは付き物ですので、ミスをしてからの対策が重要だと思いますし、昨年のようにミスが頻発する場合は、仕組みそのものに問題があるのだと思います。今回のように、翌年から対策を打ったこと自体は、県の対応を評価すべきですが、また別の課題が生まれているようです。

以下はネットの書き込みから得た情報ですが、今回から記述問題が殆ど姿を消し、選択肢問題に置き換わったことと、出題数も減少したため、特に適性検査II(国社系)の文系問題の難易度が大幅に易化し、自己採点で満点に近い得点が続出しているようです。また、出題傾向が大きく変わったため、受検生や父兄に戸惑いもあったようです。(既に解答は県のHPで公開されています)

例えば、並木中の場合、適性検査の得点のみから割り出したボーダーラインは、昨年2021年度は200点満点中100点余りでしたが、今年2022年度は150点余りとなる塾予想も出ているようで、約50点も合格ラインが上がると予測されています。

こうなってしまうと、適性検査IIではあまり差がつきませんので、実質的に理系問題の適性検査Iの勝負となります。今回は、文系の適性検査IIを得点源としていた子供にとって完全に不利な状況です。

これは、記述問題の曖昧な採点基準、採点者別の採点のバラツキ、集計ミスを排除するための保守的な思考がもたらした結果だと思いますが、得点による順位付けが必要なテストにおいて、満点に近い得点が多数出る検査方法は、個人的には課題があると思います。

もちろん、県の方針として理系を強化したい思惑があるのかもしれませんし、文系であっても、特に経済学、経営学会計学の分野では数学の知識と理解力は必須ですので、敢えて文系問題を易化した可能性も否定できませんが、採点ミスやバラツキの要素を極小化し、解答用紙返却後のクレームを防止するための、極めてお役所的な発想とも思えてしまいます。

以上、私見で勝手なことを書きましたが、上記のように、受検生にとって想定外のこともあったと思いますし、受検する側が問題を指定することもできませんので、出されたものは前向きに受け入れるしかありません。

茨城県の受検生とご家族は、まだまだ落ち着かない日々が続いていると思いますが、最終的に受検生本人が納得のいく形で中学受験を終えられるように、陰ながらお祈りいたします。

千葉県への影響は?

まだ茨城県の正式な結果が出ていない時点での憶測ですので、結果を待たないと正しい判断はできませんが、茨城県程に極端ではないにせよ、千葉県でも同様の変化を、以前から私は感じています。

例えば、記述問題においても、個人的な考えや発想を記述させるような問題がほぼ姿を消しましたし、今年度の一次検査でも、適性検査1-1(文系問題)が2年連続して易化しています。今後もこの傾向は続くのではないかと思います。

千葉県の問題が変化した理由は、茨城県とは異なり、採点者の負荷低減や、入学後の学力のバラツキが主要因ではないかと私は考えていますが、千葉県から説明はありませんので、真意は不明です。

最後に

入試のように「ここぞ」という時は、入念な下調べと充分な準備をして本番に臨むことが大切だと思いますが、今回の茨城県のような急激な変化にも対応できるように、様々な試験パターンを経験しておくことも必要だと思いました。

いづれにしても、試験問題は学校からのラブレターとも言われていますし、適性検査は相性や時の運もあります。最終的には、どのような問題に変わろうとも、問われたことに対して、限られた時間の中で可能な限りの手段を尽くし、全力で答えられたかどうかが重要なのだと思います。

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2022年度一次検査の合格発表

昨日12月22日は、東葛中と千葉中の一次検査合格発表日でした。

先ずは、一次検査を通過された皆さま、おめでとうございます。本番の二次検査までの約1ヶ月は、過去問を中心とした対策になると思いますが、充実した1ヶ月になることをお祈りいたします。

また、こちらは余談になりますが、我が子の同級生となる中学2年生(5期生)の編入も、1名決まったそうです。東葛中は楽しい学校ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

[二次検査に関する参考記事]
「多忙だった二次検査対策」
「2021年度二次検査を解いてみた」

一次検査の合格者数(正式には二次検査受検候補者数)

千葉県教育委員会の公式発表では、東葛飾中と千葉中それぞれの一次検査受検者数は、東葛飾中851名(男子446名人、女子405名)、千葉中588名(男子340名、女子248名)に対して、東葛飾中327名(男子163名、女子164名)、千葉中327名(男子162名、女子165名)で、一次検査の倍率は、東葛飾中2.6倍、千葉中1.8倍でした。

当初予定の合格者数は320名(男女共に160名ずつ)でしたので、計算上では、それぞれのボーダーラインギリギリの合格者数が、東葛飾中9名以上(男子4名以上、女子5名以上)、千葉中9名以上(男子3名以上、女子6名以上)であり、1点差で涙を飲んだ子供がそれぞれ10名以上はいた可能性があると思います。問題との相性などもあると思いますので、改めて厳しい世界だと感じました。

二次検査までの過ごし方

本番の二次検査は1月24日(月)ですので、当たり前ですが、これからの約1ヶ月をどう過ごすかは、非常に重要になります。

先ず、親として最優先でやるべきことは、小学校に対する報告書(いわゆる内申書)の作成依頼です。当日に依頼された方も少なくないと思いますが、直ぐ冬休みに入る時期ですし、東葛中への書類提出日は1月11日(火)と12日(水)のみであり、稼働日数で考えると日程がとてもタイトですので、ご注意ください。(しかも郵送のみの受付で12日の消印有効です)

先生へ同様の依頼が集中する時期ですので、それなりの配慮も必要です。(先生にとってはイレギュラーな業務になります)また、提出書類には、志願理由書も必要ですので、こちらも急ぎの準備が必要です。

[報告書と志願理由書に関する参考記事]
「内申点の考察」
「志望理由書の書き方」

二次検査へ向けての対策は、我が子のように私立校との併願をしている場合、私立対策も並行して実施が必要ですし、冬休み明けから埼玉県や茨城県の入試がスタートしますので、非常にタイトなスケジュールになります。更に、面接の練習も少しは必要ですので、スケジュール管理も非常に重要になります。

[面接に関する参考記事]
「二次検査面接の内容」

受験生やその家族にとって、クリスマスや正月返上は当たり前だと思いますが、「二月の勝者」のセリフを拝借すると、受験生の力は受験日当日まで伸びます。これは、我が子の場合も実感したことです。ただし、小学生にとって初めてのプレッシャーを長期に渡って受け続ける時期でもありますし、体調を崩しやすい時期でもありますので、心身の健康に留意しながら、最後まで全力で駆け抜けられるよう、陰ながら応援しております。

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2022年度一次検査を解いてみた

12月11日(土)は、千葉県立中学(東葛飾中、千葉中)の一次検査でした。昨年と一昨年は天候に恵まれませんでしたが、今年は天気も良く、受検生にとっては比較的受検に集中しやすい天候だったように思います。

千葉県の公式発表によると、東葛中と千葉中それぞれ志願者数、東葛中865名(男子453名、女子412名)、千葉中600名(男子349名、女子251名)に対し、東葛中851名(男子446名、女子405名)、千葉中588名(男子340名、女子248名)が実際に受検したそうです。一次検査の結果は、12月22日(水)の午前9時に発表される予定ですが、一次検査後の約10日間は、特に私立中学を併願する場合、私立校対策に使う期間になると思います。

今回は、今年も父想いの我が子が、東葛中に置いてあった検査問題を持ち帰ってきてくれましたので、私も早速一次検査(適性検査1-1と1-2)に挑戦してみました。以下、問題の内容と私見を述べたいと思います。

[参考記事]
「2021年度一次検査を解いてみた」

【適性検査1-1】文系問題(ほぼ社会に少しだけ算数)

主なテーマは、多機能化が進む自動販売機、旅客機やコンサートのオンライン予約、一日の活動時間の比率、都道府県別の人口とゴミ排出量やすし店の事業所数の相関関係でした。教科で捉えると、昨年同様に社会に少しだけ算数要素を加えた問題でした。

問題をもう少し深堀りすると、今年の問題の特徴は、様々なタイプのグラフ(棒グラフ、円グラフ、散布図)が登場した点です。円グラフや散布図は過去にあまり出題されなかった印象で、特に散布図は初登場かもしれません。

また、自動販売機やオンライン予約の問題に関しては、マーケティング的な手法を問う内容で、ビジネスに求められるような知識の問題であったことも印象的でした。

問題の難易度は、大人にとって解きやすい問題が多かったこともあるかもしれませんが、私は45分の時間内でほぼ全問解くことができましたので、昨年よりも更に難易度が易化した印象です。もしかしたら満点に近い得点の受検生が出るかもしれません。

【適性検査1-2】理系問題(理科と算数)

主なテーマは、炭素の循環を絡めた光合成の仕組みと、日本の伝統的な幾何学模様(麻の葉文様という鬼滅の刃で禰豆子が着ている着物の柄)や折り紙を絡めた図形問題でした。問題作成者は、おそらく鬼滅の刃ファン(推しキャラは禰豆子)だと思います。

こちらも深掘りすると、光合成の方は、二酸化炭素の割合・光の強さ・温度の三要素の関係を示した3パターンのグラフの読み取りと作図、光合成の仕組みを単純化した図(単純化し過ぎて逆に分かりにくい)の読み取りでした。幾何学模様の方は、二等辺三角形と六角形を組み合わせた図形を発展させて、三角形の数やその法則を問う問題と、三角形に折った折り紙をハサミで切った場合にできる図形の問題でした。折り紙問題は、折り紙を折った回数が何回であっても、折り重なった紙同士は同じ図形なので、同じ位置(比率)で切り取れば、必ず同じ面積が切り取られる、という法則を応用した問題で、私は問題を解き終えた後で「なるほど」と思いました。

問題の難易度は例年並みだと思いますが、私にとっては難問で、問題を解きながら頭がおかしくなりそうでしたし、45分間で解き終えることは無理でした。

攻略方法は、無理に全問を解こうとせず、問題の前提条件をしっかり把握した上で、解ける問題を確実に解いていくことが大切なように思います。

【全体的な感想】

文系問題(適性検査1-1)と理系問題(適性検査1-2)を比較すると、明らかに理系問題の方の難易度が高く、文系問題では大きな差が付かない気がしますので、千葉県はとにかく算数ができる生徒を採りたいのだと私は感じました。

一次検査のボーダーラインは、あくまで素人の推測ですが、従来のボーダーラインの定説であった得点率50%の100/200点では厳しいように思います。詳しくは、専門家である塾の見解を聞いてみて欲しいのですが、昨年から方針を変えて、60%位のラインを狙った問題に変えた印象があります。

また、特に適性検査1-1のグラフが多様化した点に関しては、グラフに慣れていない最難関系の私立併願組みへの牽制、もしくはふるい落としをかけることで、増加傾向にある合格辞退者数の歯止めを狙っているようにも感じました。(仮にそのような目論見があったとしても、効果があるかどうかは不明です)

いずれにしても、東葛中受検生やその家族にとって、厳しく長い戦いは始まったばかりです。本当の意味で「2月の勝者」となれるように、可能な限り万全な状態で全力を尽くせることを、陰ながら応援しております。

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東葛中の出願者数(2022年度入学)

2022年度(2022年来春入学)の千葉県立中学校(東葛飾中、千葉中)の出願者数が発表されました。それぞれの募集定員80名(男女40名ずつ)に対し、東葛飾中は865名(男子453名、女子412名)、千葉中は600名(男子349名、女子251名)でした。
千葉日報のWEB記事より

いよいよ、約2ヶ月に渡る東葛中受検の火蓋が切られました。受検生とそのご家族の皆さまが、先ずは一次検査を突破する約320名に入るために、全力を尽くせることを願っております。

東葛中受検の流れに関する記事]
「基礎知識:東葛中受検の流れ」

そこで今回は、東葛中と千葉中の出願者数の推移について調べてみます。

東葛中と千葉中の出願者数推移
※年度は入学する年度で表示(2016年度は東葛中1期生)

  • 2016年度 東葛飾1,157(男585、女572)千葉793(男426、女367)
  • 2017年度 東葛飾956(前年比87%、男493、女463)千葉770(前年比97%、男415、女355)
  • 2018年度 東葛飾820(前年比86%、男424、女396)千葉722(前年比94%、男387、女335)
  • 2019年度 東葛飾927(前年比113%、男474、女453)千葉677(前年比94%、男372、女305)
  • 2020年度 東葛飾865(前年比93%、男449、女416)千葉722(前年比107%、男364、女358)
  • 2021年度 東葛飾826(前年比95%、男438、女388)千葉605(前年比84%、男326、女279)
  • 2022年度 東葛飾865(前年比105%、男453、女412)千葉600(前年比99%、男349、女251)

両校の出願者数の推移は上記のような結果でした。

2022年度の東葛中は、出願者数の減少傾向が3年振りに歯止めがかかり、対前年+39名(前年比105%)でした。千葉中は、減少傾向にあった出願者数が鈍化し、対前年▲5名(前年比99%)でした。但し、千葉中に関しては、女子の出願者数減少に歯止めがかかっておらず、女子だけでみれば対前年▲28名(前年比90%)で、女子離れの傾向が継続しています。

個人的には、志願者数の増減は、その学校全体の学力に相関があると思っていますので、出願者数が増えることは、学校にとっても良い影響を与えると思います。

特に、東葛中の人気を維持できた理由について考えてみると、コロナ禍対策のために、東葛祭などのイベントで学校を知る機会は無くなりましたが、その代替手段として、学校からの積極的な情報発信(動画配信など)が増えたことが、その要因の一つではないかと私は推察しています。(私のブログからの情報発信も少しは貢献しているでしょうか?)

また、今年は授業公開もありましたし、これもこれまでには無かった試みです。

例えば、我が子が東葛中を受検した2年前は、学校の情報を入手することは非常に困難で、今のようにホームページから動画で学校の内容を知ることは不可能でした。また、学校内の様子を見ることも、東葛祭しか機会がありませんでした。怪我の功名という訳ではありませんが、もしコロナ禍がなければ、今のような学校からの積極的な情報発信は今程進んでいなかったように思います。

今の時代、何かを調べる際にホームページなどから情報を得ることは、当たり前の行動です。

マーケティングの行動理論であるAIDMAの5つのプロセスでも、特に最初のA(認知・注意)は非常に重要です。

 A…認知・注意(Attention)
 I…興味・関心(Interest)
 D…欲求(Desire)
 M…記憶(Memory)
 A…行動(Action)

上記を受験のプロセスに置き換えると、以下のようになると思います。

 A…認知・注意=学校を知る
 I…興味・関心=学校に興味を持つ
 D…欲求=入学してみたいと思う
 M…記憶=入学したい気持ちが増す
 A…行動=受験勉強を始める

学校のような教育機関であっても、より沢山の生徒と親が学校を知り、興味を持ってもらい、受験生の分母を増やすことは、学校の質の向上につながり、最終的には入学後の生徒のメリットとして返ってくることになると私は思います。

特に東葛中のような公立校の場合は、学校にマーケティング担当や広報担当がいる訳ではなく、学校の先生がその役割を務めなければならないため、本来の教育の質を下げずに広報活動を継続することは、とても大変だと思います。

東葛中受検生の分母を増やすことは、東葛中を良くするための手段の一つであり、目的化してしまわないように注意が必要ですが、東葛中の先生及び生徒の皆さまには、今後も東葛中を知る機会を増やして頂くことを期待しております。

また、生徒にとっても、このような活動をとおしてマーケティング手法を体系的に学び、実体験できる機会とすることは、教育プログラムの一貫としても意味があると思います。

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