東葛中合格への道

2020年東葛飾中学合格。家族で挑んだ初めての中学受験3年間を父親目線で振り返る。入学後の情報も更新中。

東葛中はどんな学校か?我が子の1年間を振り返る

6期生の新入生とご家族の皆さん、ご入学おめでとうございます。

少し前ですが、4月7日は東葛中の入学式でした。コロナ対策のため、昨年同様に制約のある入学式だったと思いますが、1年前と決定的に違うのは、休校期間がないため、直ぐに学校生活が始まることです。歴史的な変革が起きている今を前向きに捉えて、楽しい東葛中ライフが送れることを願っております。

今回は、我が子が東葛中で過ごした1年間を振り返り、東葛中がどのような学校なのか、私なりの考えを述べたいと思います。

先に感想を言うと、東葛中の授業全体を通して言えることは、アウトプットの比率が多いことです。以下で、授業内容などの詳細を深掘りしてみます。

英語

20名ずつの少人数制で、英語に力を入れている印象です。授業は、英語の歌を歌うことから始まります。中学3年間で英語を話せるようになることが目標で、英会話中心の授業です。授業でのインプットは、英文法よりもチャンク(文節や文章単位のかたまり)で発音して覚えていくスタイルで、2人で組になって発音し合う場面も多いそうです。

教科書は、中高一貫校向けのNEW TREASUREと一般的なNEW CROWNを併用していますが、常に使う訳ではないそうです。授業の進度は、コロナ禍による休校期間の取り戻しを図っていた前期はかなり早いペースで進行しましたが、英文法の範囲だけで捉えれば、最終的には一般の公立中学と同等の進度でした。これは、予定されていたシラバス通りの進行ですが、1年生終了時にNEW TREASUREの全単元は終えないカリキュラムです。2年生になったら新しい教科書に移ってしまうため、英文法目線では、NEW TREASUREのカリキュラムに沿った進行ではありません。また、授業で英文法をしっかりとは教えませんので、インプットである英文法と英単語は自習で知識を定着させないと、定期テストなどのペーパーテストの点数は取れません。

定期テストは、1年生では基本的にリスニング・英作文・長文読解の構成でした。長文読解は、オジリナルの文章かコラム等からの引用で、教科書から問題が出ることはありません。長文には、習っていない文法や単語(熟語)が含まれる場合もあります。

課題は、MYP(Make You Powerful )ノートと称する自習ノートに、毎日2ページ以上の自習を求められます。学校からはMYPだけでなく副教材等の自習指示があるため、もしそれら全てを完璧にこなし続ければ、相当な英語力が付くと思います。但し、自主性が重んじられるため、実際にやるかどうかは本人次第です。

数学

英語同様に、20名ずつの少人数制で、数学も力を入れている印象です。授業では、小さなグループを作って生徒同士が教え合う場面も多く、授業中によく移動するそうです。我が子は、誰かに教えられることの方が多かったかもしれませんが、数学が得意な場合は、我が子のような生徒にどんどん教えることで、自分の理解を深めることに役立つと思います。

教科書は、中高一貫校向けの体系数学を使用しています。一般的な教科書もあるのですが一度も使っていません。進度は、1年間でほぼ体系数学の1年生の内容を終えていますので、私立校と同等です。但し、私立校よりも授業時間が少ないため、実質的にはかなり早いスピードで授業が進行していると思われます。詳しい授業時間については後で述べますが、授業だけでは知識が定着しませんので、インプットとなる自習が必要です。

課題も出されていますが、自主性に任されている部分もあるため、自習量はバラツキがあるようです。

定期テストは、平均点に満たないと追試や補習があります。また、不定期のようですが、放課後の補習も希望者向けに実施されていますので、それなりのフォロー体制はあります。

国語

授業はクラス毎です。教科書を使っていますが、プリントも多く脱線しがちのようです。特徴は、ディベートやビブリオがあることです。ビブリオは、読書が好きでないと少々辛いかもしれませんが、これもプレゼンの一種ですので、将来的には役立つ体験になると思います。

定期テストの現代文は、基本的に教科書からは出題されませんので、この点も特徴的だと思います。インプットとなる漢字や語彙は、漢検目線での自習が求められます。

理科

授業はクラス毎です。教科書を使っていますが、こちらもプリントが多く脱線しがちのようです。休校期間が長かったにも関わらず、1年生の範囲は早めに終了し、3月は範囲を大幅に脱線した、原子力を学んでいました。一般の公立中学の授業内容を聞いた限りでは、実験や観察も多い印象です。

課題は、パワポで資料作りをする姿をたまに見かけました。

定期テストは、特に中学生の理科は知識を問われる面も多いため、インプットとなる知識の定着には地道な自習が必要だと思います。

社会

授業はクラス毎です。理科同様に教科書を使っていますが、こちらもプリントが多く脱線しがちのようです。休校期間の内容は、家で自習していた前提で、その範囲のフォローは特にありませんでした(これは理科も同様)。

課題は、理科同様に家で資料を作っている姿をたまに見かけました。

定期テストは、実際の高校入試やセンター試験から出題されたことが印象的でした。こちらも理科同様に、知識面の地道な自習が必要になります。

総合

授業は2クラス合同です。あるテーマについてグループワークする、ほぼアウトプットの授業です。最も東葛中らしい授業と言えると私は思いますし、我が子も一番好きだと言っています。本来は実際に外に出て情報収集する場合もあるようですが、コロナ禍で実施できなかったことは残念です。

こちらも、家で資料作りをする光景をよく目にしました。コロナ禍のため実際に行けるかはわかりませんが、2年生の春に行く予定の奈良と京都について、グループで作成した動画を視聴する機会がありました。クオリティは様々でしたが、いろいろ演出に工夫があり、どのグループの動画も楽しく観ることができました。

定期テスト

2021年度の予定では、年2回の期末テストがあります。昨年度は中間テストもあったのですが、今年度は中間テストを廃止し、単元毎の確認テストに変えるそうです。テストは平均点のみ発表されますが、順位は出ません。全教科共通ですが、しっかり自習できているかどうかで点数に差が出ると思います。また、テストの内容は、全般的に実際の入試問題に近い印象です。(入試問題そのもののが出題されたこともあります)

また、年3回程の業者テスト(ベネッセ学力推移調査)も受けます。このテストは、主に中堅私立校や公立中高一貫校が受けているらしいのですが、結果が出るのに2ヶ月近くかかるのが難点です。全国順位と偏差値が出ますが、校内順位は出ません。1年生の結果から推測すると、東葛中の平均点で偏差値60前半位のようです。

まとめ

東葛中の年間授業時間(1コマ1時間として計算)は1,085時間です。一般の公立中学の年間1,050時間よりはやや多いのですが、英数国の授業時間は同じです。一方で、私立中学は年間1,200〜1,400時間程のようです。

参考に、私立校と同等の進度と思われる数学と数学同様に力を入れている英語のみ、我が子の私立併願候補校であった学校(開智と広尾学園)と授業時間を比較してみます。東葛中の一週間の時間割では、英数それぞれ4時間ずつです。一方で、開智は英語7時間と数学6時間(中1)で、広尾学園は英語6時間と数学5時間(中1)です。それぞれカリキュラムや教科書の違いはあると思いますが、数学に関しては、仮に1年間で進む範囲が同じだとした場合、私立よりも週1〜2時間少ない授業時間を考慮すると、東葛中の数学の授業1コマの進行はかなり早いかもしれません。一方で、英語は私立と週2〜3時間の差がありますので、現状の週4時間の授業で私立並みの進度を求めることは無理のようで、英文法的には一般の公立中学と同等の進度です。

冒頭で述べたとおり、東葛中はアウトプットが多めな学校で、参加型で趣向を凝らした授業が特徴です。テストの得点力を付けさせるのではなく、時に脱線しながら知識の幅を広げたり深めることに重きを置いているのだと思います。同じ席に座って話を聞き続けるような座学はほぼなく、授業中に移動したり対話の時間が多い印象で、いわゆるアクティブラーニングを体現できていると思います。一方で、限られた時間内に全てを理解したり知識を定着させることは難しいため、ペーパーテスト対策のためには、授業以外にしっかりインプットする時間、即ち自習の時間を意識的に設けることが必要です。つまり、授業で足りない分は、課題も含めた自習によって補うことが大前提のカリキュラムになっていると思います。もちろん、どこの学校に行っても、自習の重要性に変わりはないのですが、生徒の尻を叩くような学校でもありませんので、本人のモチベーションを高めて維持できるかどうかが成長の鍵になります。

東葛中は、決して面倒見の良い学校ではありませんし、いろいろな課題やプレゼン準備などもあり、単に勉強だけしていれば良い訳ではありません。はっきり言ってとても面倒臭い学校です。東葛中は、その面倒臭さを楽しむことと、自主自律の精神が求められる学校なのだと、我が子の1年間を振り返って再認識しています。

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